2013年06月29日

姫君達の晩餐 彼方からの氷菓

姫君達の晩餐 彼方からの氷菓 (B’s‐LOG文庫) [文庫] / 山咲 黒 (著); 起家 ...
姫君達の晩餐 彼方からの氷菓 (B’s‐LOG文庫) [文庫] / 山咲 黒 (著); 起家 一子 (イラスト); エンターブレイン (刊)

おっとりとしててどこから見てもいい人にしか思えない早苗の計算高い一面が見えてきましたね。前の巻で夜花ちゃんが早苗を苦手に思ってるんじゃないかと指摘されて初めて気付いたことではあるんですが、当然のように人のために奉仕する姿が板についていたというか。家事が嫌いということもなさそうではあるんですが、それを差し引いてもネタ元のシンデレラのような周囲の皆からも義姉たちにいびられてると思われてた程の状況でも本心から義姉たちに感謝し続けた状況はちょっと異常ではあったんですよね。とはいえその点ではすでにはっきりしていることですが、彼女からしてみればそこからも十分に見返りとなるものを得ていたわけで。大切な人のために尽くすというだけでも満たされるものはあるのでしょうが、加えて義姉たちから大切に匿われたり、夫となった広兼から愛されたり友人となった珀蓮や新祢と楽しい時間を過ごしたりすることで、幸福感を抱いているのかなと思えたり。こう書くと、与えられた環境に工夫を加えることで満足していたようにも思えるのですが、彼女の場合はむしろ自分からそんな環境になるように仕向けてきた、あるいはそんな環境になることをよしとしてきた節があるんですよね。義姉たちに虐げられているように思われていた時だって、赤い森の屋敷で家政婦のように甲斐甲斐しく働いている今だって、その気になればそれらの雑務を放棄することは可能なんですよね。でもそんなことをしたら、大好きな義姉と仲違いしてしまったり、広兼たち心許せる人たちだけとの暮らしに無粋な侵入者を立ち入らせてしまうことにもなりかねない。後者の方は現状の皆の総意だったようにも思いますが、ともかく彼女が周りの人のために尽くすのにはそんな裏もあるのかなと思えてきたのでした。

上でも触れましたが、彼女の利己的な一面がそれとはっきりわかるのは夜花ちゃん改め葫への接し方を見ている時なんですよね。基本的には大切な人たちが振る舞いたいように振る舞わせておいて一緒に楽しむのが早苗嬢のやり方だったと思うのですが、葫に対しては自分の希望を押し付けがちになってるんですよね。そして彼女に対してだけそのような態度を取る理由は、それが嫌だからという感情以外にはありません。さらには、そのように接されるのが嫌ならここから出ていけばいいとも言ってのける。本人を前にしてではなく冗談めかしてでもありましたが、あれは本音であったように思えるんですよ。大切な人だからこそきつく当たっているのかもしれませんが、早苗がただのいい人ではないことを思い知らされるには十分なエピソードではないでしょうか。とはいえ、個人的にも葫にはいつか心を開いてほしいと思うんですよね。シリーズ当初の事件を引き起こした張本人であるとはいえ、早苗の大切に思う家族ではありますし、なによりその心に抱える弱い部分を知ってしまうと、可愛らしくすら思えてきますからね。

珀蓮の髪が……。肩のあたりでバッサリ切ってしまうとは、なんという嘆かわしいことでしょうか。この原因をつくった公亥とかいう野郎、許せない。というのはさておき、珀蓮はまっすぐな性格をしてるから、誰かが迷いを見せている場面ではとても頼もしくもありますが、ちょっとした戯言にも答えてくれるからからかいがいもある人なんですよね。葫とはいいコンビですよ。葫としても夜花ちゃん時代から変わらず素で接することができる貴重な相手ではあるようですし。鳥代さんがそろそろ欲求不満気味のようですが、まあ耐えろということで。というかこの二人、鳥代の告白からして意地張った末のものだったんですね。変わらないというか、微笑ましいですね。そういえば、この巻でと思っていましたが、北の国に行くのはいつになるんでしょうね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 12:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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