2013年05月16日

女戦士エフェラ&ジリオラ(5)

女戦士エフェラ&ジリオラ〈5〉 (幻狼ファンタジアノベルス) [単行本] / ひかわ 玲子 (...
女戦士エフェラ&ジリオラ〈5〉 (幻狼ファンタジアノベルス) [単行本] / ひかわ 玲子 (著); 芳住 和之 (イラスト); 幻冬舎コミックス (刊)

エフェラのターンだったかー。しかしエフェラの恋は、ジリオラのようなさばさばしたものではなく、どろっとしたというかじめっとしたというか、そんな感じになったものですね。頭で考えるよりも体が動いちゃうタイプなジリオラとは反対に、行動に移る前にあれこれ頭を悩ますタイプなエフェラにかかれば、長年想い合ってた相手であってもうだうだ考えちゃっていつまでたってもあと一歩が踏み出せないでいることになってしまうんですよね。落ちこぼれた自分では相手に相応しくないとか、自分のために嘱望される将来を諦めてほしくないとか、そういうことをぐるぐる考えて思い切った答えが出せないでいるもどかしさも、それはそれでいいものがあるのですけどね。ジリオラがいらいらとさせられ通しだったそのじれったさも、しかし、言ってしまえば最後には落ち着くべきところに落ち着いてくれるだろう安心感があるからこその過程の楽しみなんですよね。いつかきっかけがあって結ばれることになると思っているからこその、昔はあんなじれじれな関係だったのに今となっては……と振り返ってにやにやするネタとしてのうじうじ期間なわけですよ。それが、このエフェラとユーリックの場合、とうとうエフェラが踏ん切りをつけられないままになってしまったんですね。ユーリックの方から手を差し延べてくるような場面はあったにもかかわらず……。あれはもう、時機がよくなかったと言うほかないですね。エフェラの方でも好意を寄せてたのは確かなわけで。ただユーリックがいてくれればそれでいいと、お互いの立場やら何もかもを忘れてそう思えるような場面ではなかったというだけのことなんですよね。出会ってから短期間で距離を縮めたジリオラとバローシュとは違って、なまじ幼馴染でありいつから好意を抱いていたのかわからない程に長い付き合いになっていると、あと一歩の距離を詰める時機が難しくなってしまうものなんでしょうね。手を差し伸べられてはみても、これまでだって悪くない仲でやってこれていたし、今の時点でそれに応えなくてもまたいつかがあると思えてしまう。他に頭を悩ませていることがあり、それに絡んでユーリックを含めた魔道士ギルドの人たちにちょっとした悪感情を抱いていた時でもあり、エフェラとしてもなんというか、本当に、今はちょうどそんな気分じゃないからという程度の理由で彼の手を取らなかっただけのように思えるんですよね。ああもう、こんな二人を見せられて、どんな言葉をかければいいのかわかんないですよ。しかも、それに追い打ちをかけるようにして、エフェラの心に新たな恋が生まれてしまうんですよね。あれは、エフェラ自身も言っているように、完全に理屈じゃないものなんでしょうが。おそらくその少し前からの悩み事が、答えは出したと思ってはいてもそれに伴う行動に対する不安やそもそも出した答えが本当に正しかったのかという悩みが、レディシオンのほの暗い感情に共鳴して引きずられてしまうことになったのではないでしょうか。彼は彼で、無二の親友を何年も昔に失くした孤独をかこち、エフェラもエフェラで、長年連れ添ったジリオラ達と離別するという決断は孤独を催すものでありましたから。交わるはずのなかった二人の運命が、図らずも入れられた横槍によって交わり合ってしまった感じですよね。シャーガン公およびその一味には責任を取ってもらいたいところ。それはともかく、エフェラとレディシオンの関係は、お互い理屈でなく感情で結びついてしまったがゆえに、ユーリックとの間ではうだうだと屁理屈をこねてたエフェラも自分から駆け寄っていっちゃうんですよね。既成事実があったというのも後押しになったのかもしれませんが。まあでも、エフェラを相手にするなら、あれこれ考える暇を与えてはいけなかったということなのかもしれませんね。あと一歩というところまで近づいたのなら、反論させる隙を与えず後戻りできないところまで押し切ってしまう度胸がないといけなかったのかもしれません。レディシオンにとっては捨てるものがないがゆえの考えなしの行動で、そんな度胸があったとは決して言いませんが。ユーリックとしては、静かに手を差し伸べるまではできましたが、彼にとってはそれが限界だったんでしょうね。激しい感情の揺れを抑える訓練を受けた魔道士の悲しい性か、それ以上の思い切った行動を期待するのは無理というものだったでしょう。悲しいことではありますが、こうなってしまっては仕方のないことでしょう。それでもエフェラも、ユーリックも、生きているのですから。ジリオラや、オーリンやディオラたち仲間も皆、これから先もエフェラと旅を続けていくのですから。

それにしても、あとから思ってみると、4巻5巻はシリーズ終幕に向けてのお話だったようにも思えますね。4巻でジリオラに転機を与え、5巻でエフェラに転機を与え、傭兵生活はそのままながらも落ち着くべきところは落ち着かせた感があって。我儘を言えばもう一冊、その後の子連れ旅の様子を読んでみたかった気持ちもあるのですが、二人から始まったこの物語を、最後の区切りまで読めたことに感謝の念を表しつつ。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:21| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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