2013年05月08日

エレニア記(5)聖都への旅路

聖都への旅路―エレニア記〈5〉 (ハヤカワ文庫FT) [文庫] / デイヴィッド エディングス...
聖都への旅路―エレニア記〈5〉 (ハヤカワ文庫FT) [文庫] / デイヴィッド エディングス (著); David Eddings (原著); 嶋田 洋一 (翻訳); 早川書房 (刊)

エラナ様、そのようなことをなさってはいけません。そんな、はしたな……あーーーっ!!

というわけでシリーズ5冊目。至宝ベーリオンを手に入れ、ようやく女王エラナが目を覚ましたわけですが、この人がまたとんでもない人でして。目を覚ますやその場でスパーホークに夢見るような調子で愛の言葉をささやくという熱烈ぶり。しかも、それはさすがに10年ぶりの再会を果たした嬉しさも相まってかと思えばその後はさらに情熱的に迫ってくるからたまらない。女王様と不適切な関係とかなにそれ素晴らしい。教え子時代の純真な姿しか記憶にないスパーホークとしてはたじたじするばかり。かといってエラナ様のアプローチを妨げられる者とてなく、気付けばすっかり婚約者としての間柄を既成事実化されているというスピード攻勢。周囲の人々に有無を言わせぬ事の運びようはさすが女王、権力の使いどころを心得ていると言いますか。スパーホークとしてはちょっとした手違いからすかさず持ち込まれた不本意な展開ではあるのですが、女王としての立場でもって言い募るエラナ様に断固として拒絶を突きつけるのは難しそうな情勢。そのうち子供時代の記憶が今の女としての姿に上書きされていってる感もあって、このまま押し切られるどころか後腐れなく合意にまで達してしまいそうな予感もあり。この女王様かなりやり手ですよ。ぶっちゃけ読んでるこっちまでどぎまぎしてくるようで刺激が強すぎるところもあるんですが、たいへんに素晴らしい展開であったことは間違いありませんね。次の巻も目が離せませんよ。

それはそれとして、王都にまで帰ってしまえばあとはすぐに物語は幕引きを迎えるものと思っていれば、そう簡単に事は運びませんでしたね。金にあかせてとはいえ、相当力を入れて工作が為されていたアニアスの策謀は、既にちょっとやそっとで止まらないほどの影響力を持つに至っていたようで。総大司教選挙にて陰謀が成就する一歩手前のところからなんとかアニアスの勝利を遠ざけるべく手を打っていく展開は、まさに手に汗握るようでしたね。しかしこの対立する陣営同士の、対抗策を練ってはごり押して相手の鼻っ柱折っては得意げに笑いかけ合う、嘲笑と屈辱に満ちた雰囲気といったら。読み手としては敵を負かす快感なのかブラックな笑いまで出てきますが、当事者としてはすごく胃に悪そうな感じがしますね。勝てなかった方はストレスがやばいことになってそう。

フルートちゃんとはさすがにお別れとなってしまいましたが、やはり惜しまれますね。別れを悲しむ様子で皆からの愛されぶりが伝わってくるのはいいもの。間近であんな奇跡を見せられては、教会の信者を奪いそうな勢いなのも頷けるというもの。けど、もう登場しないと思っていたら、こっそり裏から手を貸してくれるんですよね。スパーホークは愛すべき偉大なる存在に対する信愛のようなものを抱いてますが、フルートちゃんからも力添えになりたい存在に対する親愛のような感情がうかがえますよね。訳語の関係でそんな風に感じられるだけでしょうか?

なんにせよ、残すはオサとアザシュ。強大な敵との決戦が待つのみでしょうか。期待。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 14:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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