2013年04月02日

おこぼれ姫と円卓の騎士

おこぼれ姫と円卓の騎士 (ビーズログ文庫) [文庫] / 石田リンネ (著); 起家一子 (イ...
おこぼれ姫と円卓の騎士 (ビーズログ文庫) [文庫] / 石田リンネ (著); 起家一子 (イラスト); エンターブレイン (刊)

これはとても凛々しいお姫様。初代国王である騎士王の生まれ変わりの人物のみが訪れることのできるという「王たちの会議の間」。レティーツィアはそこに入ることができたために優秀な二人の兄を差し置いて女王となることを知っていたという。兄二人による水面下での張り合いに巻き込まれないよう中立派として立場を保ちつつ将来の王たらんと振る舞い続けてきた気構えが美しいんですよ。レティーツィア本人からすれば手に入れるべくして手に入れた王位継承者の立場ですが、彼女以外からすれば二人の兄による一触即発の争いの末に転がり込んだ、まさに「おこぼれ」に与った形。しかしいつまでもそんな不名誉な字名を冠しているのは不愉快だからと、むしろその字名を誇れるものに変えてやろうと決意を胸に秘めて行動する姿はとても魅力的に映ります。

普段は気位高く構えているので隙がないようにも見えるのですが、話が進むごとにデュークがレティーツィアの心の琴線に触れるような言動をとるようになっていくことで、どんどん可愛い反応を見せてくれるようになっていくところもいいんですよ。「残り者の中で一番マシ」って選らばれ方じゃ嫌だという思いは、レティーツィアの心理にばかり気を取られていただけにこちらとしてもドキッとさせられる一言でしたが、こういう王位継承者としてや名誉騎士としてのいわば原点となる部分で同じ思いから始まるというのは、この二人けっこういいコンビになれそうだと思わせてくれます。とはいえ、レティーツィアの諡が諡なのでどうなるのかなというところ。「好みの男は〜」みたいな発言も、それを考えるとあるいは……というところですが、それはさておき。じゃあそんな夫を得て、レティーツィアはどんな女王になろうとしているのかなというのはちょっと気になるところではあります。

デュークを自分の騎士の第一席に迎えようとする態度なんか、初っ端からあまりにも堂々とした上から目線すぎて、デュークならずとも面喰らってしまったところではありますが、侮られないようにと構えてかかった結果なんでしょうかね。想定した以上にデュークがいい奴だったせいで逆に毒気を抜かれたようになったりとか、可愛いところあるんですよね。何度となくかける誘いの言葉も直球で熱烈で、デュークも時にドキッとさせられてたようですが、読んでるこっちのどぎまぎ具合ときたらその比じゃなかったですよ。身悶えするあまり机バンバン叩くレベル。その実、デュークに断られて悔しがったり、ようやく受け入れてもらえて浮かれてみたりと、他人には見せないところで結構子供っぽいところもあったりするんですよね。なかなかの逸材ですよ、この王女様は。

デュークといい、フリートヘルム兄といい、男性陣も素直じゃないところが可愛いんですよね。デュークは初めレティーツィアの誘いを言下に断っていたのに、何度も関わり合いになるうちにだんだん脈ありになっていく様子がよくわかってニヤニヤできますし。けど、騎士の誓いを歴代の王の肖像画の前でさせたのはずるいよなあ。彼らと深い関わりを持つレティーツィアにとって、他のどんな王侯貴族に見守られながらの儀式よりも感慨深いものになるのは確かだもんなあ。一番のクライマックスはこの場面だったようにも思います。

一方のフリートヘルム兄は、表面上いがみ合っていても本当はよりを戻したいと思っているという本音を時々見せてくれるのがいいというか。気付けばデュークみたいにだんだんツン気が薄れてデレ度が上がってきてませんかね? そんなお兄様のナイツオブラウンド入りとかどうでしょう? より諡が引き立つようになるんじゃないかと思いますが、さて。

なにはともあれ、かなり期待の持てそうな王女様でございました。要注目ですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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