2013年02月12日

烙印の紋章(10)竜の雌伏を風は嘆いて

烙印の紋章 10 竜の雌伏を風は嘆いて (電撃文庫 す) [文庫] / 杉原 智則 (著); ...
烙印の紋章 10 竜の雌伏を風は嘆いて (電撃文庫 す) [文庫] / 杉原 智則 (著); 3 (イラスト); アスキー・メディアワークス (刊)

多くを目にするにつれ、憎むだけだったはずの貴族にも敬意を覚えずにはいられない人たちが見つかっていく。一人か二人の例外としてではなく、あちらこちらに何人も。実際に接してみればさらにその数は増えていく。メフィウスの支柱の一人であったシモンの死に対して衝撃に打たれるオルバから、さらなるステージへ移りだしたオルバの変化がはっきりとうかがえますね。今や皇太子の身代わりとして後には退けない立場になっていることが、貴族として、皇太子としての姿というものを強く意識させるようになっているのでしょうか。鉄仮面をはめた武人としての姿を捨て去ることはないのですが、人の上に立つ者として、貴族すらも束ねる者として如何にあるべきかということが問われるようになってきました。もはや自分一人のためだけの命ではないということは、頭でわかっている以上に体の方も自覚してしまっているのですが、シークを亡くしたのも大きいんでしょうね。剣闘奴隷上がりで武辺に一辺倒なきらいのあったオルバに代わってあれこれと気の付くキャラでしたし、それでいてお母さんかとツッコミ入れられるくらいにオルバのためにおせっかいを焼いてくれちゃう人でもありましたから、もしシークがいればいつまでも頼りきりになっていたような気がします。今はその穴を埋めるべくせっせと成長中ということですね。それでも、シークほどの気の回し方がそうそう身に付くわけではありませんが。特に女性関係。

ビリーナ姫は、当初のギル皇子を意のままに操ってやろうとばかりの、一方の主人公のような燃え盛る気概は円くなり、今となってはすっかりヒロインが似合う立ち回りを見せるようになってますが、オルバにやや欠けている自然と人を惹きつける行動が取れる性質を持ち合わせているのも事実。行動が読めないというのはありますが、オルバにはできないことで風を呼び込んでくれるキャラとして非常に心強くありますよね。まあ、行動が読めないのはビリーナにとってのオルバも大概そんな感じなんでしょうが、そこは……なんなんでしょうね。色々と驚かされ過ぎてもうあれこれ思い悩んでも無駄だと悟ってしまったか、それでも悪いことをする人ではないと思えているのか。なんにせよ、ここまでの時間が育てた信頼関係ですかね。自らの為すべきことを果たした後、朦朧とする意識の中で「ギル皇子」にメダルを渡してくれるよう近衛兵の一人に託すシーンからそんなことを考えてみたり。「オルバ」に対してと「ギル皇子」に対してと、心の開き方に差はあれど信頼感に関してはどちらも同じくらいの強さなんでしょうかね?
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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