2013年02月07日

そして花嫁は恋を知る 黄土の大地を潤す姫

そして花嫁は恋を知る 黄土の大地を潤す姫 (コバルト文庫) [文庫] / 小田 菜摘 (著);...
そして花嫁は恋を知る 黄土の大地を潤す姫 (コバルト文庫) [文庫] / 小田 菜摘 (著); 椎名 咲月 (イラスト); 集英社 (刊)

もうちょっと、あと数ページでいいからその先を書いてほしかった……。この巻もまたタイトル通り「恋を知る」話。恋仲になった二人のあれこれを楽しむ話ではないというのはわかってるんですが、勘違いとかあった二人の気持ちがようやくつながるようになって、ぎこちないながらもここからようやく恋が始まるんだーというところで終幕ですよ。一応終章でその後は書かれているのですけど、できたらその間の場面も一つくらい欲しかったかなー。このカップルがこのシリーズ読んできた中でかなり気に入っただけになおさら。

今回のヒロインは、母から「利発」と評された、先のエリスセレナとは違って可憐で思いやりのある、あとがきにもある通り「姫らしい姫様」。悪意を持つ人でなければそうそう嫌いはしない人柄だと思うのだけど、初っ端の出会いが悪かったよね。嫁ぎ先の国について早々、夫となる国王が刺客を返り討ちにしてお出迎えなんてくれば、血生臭い世界とは縁遠そうなマリアアンナではなおさら恐怖感が染み付いてしまうというもの。エリスセレナの時も国内は少々ごたついてましたが、あちらは守ってくれる騎士様がしっかりいましたし。それに比べてこちらは国王その人が日常的に命を狙われているという不穏な情勢。優しく教え諭されるのではなく、利害対立を通じて嫁ぎ先の国や祖国のためにできることは何かが突き付けられるという。結構ハードな展開だったんじゃないでしょうか。けど、逆境でも夫と心通わせようとつとめ事件を乗り切っていく姿というのは、こういう正統派っぽいお姫様であるだけになおさら映えていたと思うのですよ。しかし、大勢いる娘を国内外のあちこちに嫁がせてって、バリバリ婚姻外交推し進めてますよね、ここの母帝は。姉妹による横の繋がりもしっかりあるようですし。

ヒーローの方も忘れちゃいけない。初めのうちは、作者の狙い通りムスッととしてるとこわいキャラだと感じていたのですが、次第に酷薄というより自分を殺すのがうまい人なのかなと思えるようになってきました。母が自分の地位を利用するならその結果を受け入れよう、それによって冷酷という風評が流れるならそれも利用してやろう、という感じに周囲のあり方にていこうするよりも自分を合わせていった姿がこのキャラクターになっているんじゃないかなーと。そのせいでマリアアンナと行き違いが生じたりもしてましたが、基本的にはいい人ではあるんですよね。私生活でも我を抑えてしまうからもどかしくもなるわけですが、表面の冷たさの下に隠れているものが見えてくるとそこに愛嬌も感じられたり。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 20:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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