2013年02月04日

天冥の標(5)羊と猿と百掬の銀河

天冥の標X: 羊と猿と百掬(ひゃっきく)の銀河 (ハヤカワ文庫JA) [文庫] / 小川 一水...
天冥の標X: 羊と猿と百掬(ひゃっきく)の銀河 (ハヤカワ文庫JA) [文庫] / 小川 一水 (著); 早川書房 (刊)

こわい。なんだこれ。何も考えずに読み進めてたら先の展開がこわくてこわくて気が滅入りそうになってしまった。忘れかけてましたが、そういえばこのシリーズで今やってる話って1巻のアレにつながる展開なんですよね。3巻4巻では希望に満ちたとは言わないまでもまあまあ悪くはない終わり方が続いていたので油断してました。いや、この巻でも希望のある終わり方になってはいるんですよ。けど、あんな展開やられたからには、これまで何の疑いもなく見てきた先進的な未来世界のあれやこれやが一遍に恐怖の源にしか見えなくなってくる。思えば1巻のアレも人類社会が進歩の末に袋小路に辿りついてしまったように感じられましたっけ。いや、参った。ある程度先のことはわかってるはずなんですけど全然予想が付かない。続きが気になるんだけど、それと同時に知ってしまうのがこわくもある。すごいシリーズだなあ。

最初は、地球の外の惑星で反抗期の娘に手を焼きながら細々と生活を営む農夫の苦労を察しつつ、どこかもわからない惑星の海の中から進化を見せる意識体の可能性にワクワクしつつ、二つの場面を交互に楽しんでたはずなんですよね。タックの方で農業経営やザリーカに不穏な影が近づいてこようと、多少の不安を感じることはあっても最終的にはなんとかなるだろうと楽観してましたし。一方のノルルスカインの方では、世間知らずな生真面目さをからかうミスチフとのやりとりにボーイ・ミーツ・ガールな期待を感じたし、二人の情報伝達の様子は無駄にえろくて笑ってしまいましたし。

それが一転、こわさに震えだしたのは一の五から。侵略SFの恐怖ですよね。格下と思っていた者たちに、気付いた時には八方塞がりに追いつめられてしまっていた絶望感。警戒心を持って臨んでもあっさりと侵され尽くしてしまう無力感。宇宙の果てまでとばかりに遠く逃れようともひたひたと迫ってくる恐怖感。もう勘弁してくれという叫びが喉元までせり上がってきました。そしてノルルスカインの方で不穏な展開になりだすと、タックの方でも表面化してる問題の他にとんでもないことが進行してるんじゃないかという疑いが湧き出てくる。誰が敵で誰が味方なのかわからなくなってくる。そのうち混乱してしまって何もかも悪い方向にしか考えられなくなってしまう。もうささやかな希望くらいじゃ全然安心できないくらいガッタガタに揺さぶられてしまった。ホントどうなっちゃうんでしょ、このシリーズ。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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