2012年09月04日

ソードアート・オンライン 6 ファントム・バレット

ソードアート・オンライン(6) ファントム・バレット (電撃文庫) [文庫] / 川原 礫 (...
ソードアート・オンライン(6) ファントム・バレット (電撃文庫) [文庫] / 川原 礫 (著); abec (イラスト); アスキー・メディアワークス (刊)

●迫る過去の因縁。再燃する“罪”の記憶。立ち向かう“強さ”とは――

真剣に向き合う世界に仮想と現実の区別などない。両者は地続きでなくとも、それぞれがそれぞれのままに現実なのである。相当に入れ込んだ末に至る境地だとは思いますが、現実で手にした手掛かりは確かなものとして心に残り続けるのでしょうね。別の世界に行けば別人として生まれ変われるわけではない。そうして別人のように振る舞う自分もやはり現実の自分なのである、と。ゲームの世界で演じるキャラが元の世界の自分とまるで無関係でいられるわけでもなく。人に知られたくないコンプレックス、それを隠そうとする強がりなど、元の世界においてきたはずの諸々を知らず知らずのうちに持ち込んでいたり、それらがふとした拍子に顔を出してしまったりする。VRゲームをプレイするキャラクター達はそれらに直面しながらも前に進んでいく。ゲームの世界でこそはそれらのしがらみから逃れて強くありたいと思うがゆえに、元の世界でそれらと向き合うよりもいっとう真剣に。真正面から壁にぶつかっていく少年少女というのは、すごくいいものですよね。

それにしてもこのシリーズの話はやっぱり、舞台はVRMMOでも、その中だけにとどまるもなじゃないんだなあ。VRMMO物の作品はだいたい、ゲームを進めていくことが話の中核になってる印象なのだけど、このシリーズはアインクラッド編を除けばフェアリィ・ダンス編でもファントム・バレット編でも、キリトがそのゲームにログインしたそもそもの目的が話の核になっているんですよね。その過程で攻略が進んだりイベントで活躍したりすることにもなってはいても、それらはどこまでもキリトが目的を果たすついででしかなくて。そのためゲーム自体の詳細はキリトが関わった部分以外ははっきりしなかったりもするんですが、ゲームの世界の紹介をざっくり割り切ることで、そのゲームを通じて浮き上がるキャラクターたちの心情がよりインパクトのあるものになっているように感じます。こういう、VRMMOを題材としつつもゲームの内容よりもキャラクターの心の動きを優先しているように見える描かれ方は、とても小説的だなあとも思ったり。

ゲームのシステム的には、今回のガンゲイル・オンラインはアルヴヘイム・オンラインと同様「ログアウト可・非デスゲーム型」のVRMMOでしたね。《死銃》の持ち込んだ手法によって一部プレイヤーの死がもたらされたりはしましたが、ゲームのシステムによるものではないのでデスゲームに分類することはなかろうということで。デスゲームは一度経験させてしまうと二度目以降は厳しいところなのかもしれませんが、今後またそういうゲームも登場するのだろうかという期待もしつつ。それはそれとしてこのGGO、VRMMOではあるものの、FPS要素も強いということで。ネトゲ経験者の友人曰くFPSはリアルのネトゲでも一番ガチな人たちが集まるジャンルらしく、そういうこともあってかGGOの世界ではALOの世界で見られたようなまったりプレイをしてるキャラを見かけなかったような気がしますね。それなのにこのゲーム世界がこれまでで一番お遊びのゲームっぽく感じられたのは、そういう真剣さの裏に実際の命が保証されているという読み手側の安心感からか、はたまたキリトが前回までほどに切羽詰まってはいないと思えたからか。

それにしても、キリトから彼女持ちの余裕が窺える。頼りにならない記憶を辿ると、アインクラッド編の序盤では人付き合いが苦手そうな内気なキャラで、むしろ恭二に近いキャラだったと思うのだけど、今や女の子相手にその方が都合がいいからとネカマプレイできるまでになってるんだぜ。というのは冗談にしても、変に構えたりせず自然に振る舞えるので向こうから好感持たれやすくなってるとも思うんですよね。この巻で恭二とキリトを分けたのはその辺の経験なのかもなーなんてことを思ったり。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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