2011年09月19日

幕末魔法士 U  ‐大坂鬼譚‐

幕末魔法士〈2〉大坂鬼譚 (電撃文庫) [文庫] / 田名部 宗司 (著); 椋本 夏夜 (イ...
幕末魔法士〈2〉大坂鬼譚 (電撃文庫) [文庫] / 田名部 宗司 (著); 椋本 夏夜 (イラスト); アスキーメディアワークス (刊) bk1はこちら

史実に隠れてひっそりと活躍することになるか史実にガンガン関わってくることになるかと期待しながら読んでみた2巻。個人的にはそっちに行ってくれると嬉しいなと思っていた後者の歴史小説っぽい方向に舵を切ったようで?個人的には大満足。魔法が発達した世界観が幕末の日本のみならず世界の歴史にまで自然に融合させられていることがよく伝わってくる。このどっしりと作り込まれた世界観で伊織たちが魔法をバンバン唱え幕末の志士たちが蠢きなどとするものだからこれが面白くないはずがない。しかも今回は当時の有名人も次から次へとばかりに登場してくるのだからもうたまらない。なんたってあの土方歳三が、沖田総司が、魔法剣士として刀振るい魔法放ち戦うんだぜ!? おまけにその叫ぶ技名がいちいち格ゲーの必殺技っぽく過剰修飾感バリバリで強そうなんだよ! これで興奮するなって方が無理ですよ! まさかライトノベルで斯様な話に出会えるとは、望外の喜びである。

こういう話を読むとだいたいの年代を特定しにかかるのが楽しかったりするのですが、このシリーズは世界観がかなりしっかり作られているので手掛かりは多い。徳川慶喜が将軍後見職の地位にあり、土方と沖田が所属するのは壬生浪士組であり、下関事件はすでに起きており、京都ではまだ長州藩の勢力が衰えてなかったりとするところなので、おそらく1863年の夏。そして八月十八日の政変がそろそろと近付いてる様子なのでたぶん7月頃じゃないかとあたりをつけてみる。

全体的に暗めな印象を受ける話でしたが、そこは維新志士達の熱狂が、それとは縁遠い身の伊織たちからすれば狂気じみて見えるように描かれてるためかなとも思ったんですが、振り返ってみるとどうもそのイメージのほとんど薩摩藩、それも大久保はんに起因してましたよね。大久保さんは悪玉イメージで描かれることが多い気がするのでやはりそっちで来たかというところ。目的のために手段を選ばないところがその印象を後押ししてますしね。まあでも時間とともにイメージが変わりうる人だから今後の描かれ方に注目していきたいところ。岩倉さんは、あまりいいイメージがないのであんなものかというところで。

それはさておき、伊織と冬馬の二人が史実に関わるようになってきたとはいえ今のところは討幕派にも佐幕派にもつかずに自らの正義に従うカタチ。絶対的な力を持ってるわけではないので前回以上の敵を相手に後手後手に回って苦戦しきりでしたが、二人の連携が見れたりなどコンビとしての結束はさらに深まっていていいコンビだと思ったり。恋の方では伊織の鈍感なくせに焼き餅だけは人一倍に焼くところが絵面的に衆道で面白かったです。けどそれ以上に、そんな伊織にため息つきつつもそっちの知識つけてくれるの待ってのんびり構えて伊織についていってる冬馬がいい感じ。この二人のコンビとしてのいい雰囲気は恋愛感情がそれほど絡まないからこそのものだとも思うので、最終的には結ばれてほしいものの幕府が倒れるまではまだまだありそうなのでもう少しこのままでもいいかといったところ。

そういえばこの巻って策謀あり剣戟ありのてんこ盛りな展開の裏では食の描写も結構ありましたよね。蕎麦を食べたり葛餅を食べたりと、その描写がすごくおいしそうで読んでてお腹が減ってくること。今パッと目についた裏表紙も蕎麦食ってる絵だし、と書いてたら何か食べたくなってきた……。

巻題から章題まで鬼を絡めた名前が付けられてましたが、これもまた話に合っててうまいんですよね。こういうところまでしっかり考えられてるんだなっていうのが伝わってきていいですよね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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