2011年07月10日

そして花嫁は恋を知る  黄金の都の癒し姫

そして花嫁は恋を知る 黄金の都の癒し姫 (そして花嫁は恋を知るシリーズ) (コバルト文庫) [...
そして花嫁は恋を知る 黄金の都の癒し姫 (そして花嫁は恋を知るシリーズ) (コバルト文庫) [文庫] / 小田 菜摘 (著); 椎名 咲月 (イラスト); 集英社 (刊) bk1はこちら
突然の結婚を言い渡された、ブラーナ帝国の皇女エイレーネ。相手は隣国ファスティマの若き王アルファディルだという。十五歳にもなれば覚悟はしていた政略結婚だが、まさか言葉も宗教も違う国だなんて……! けれど、少なくとも、皇后にいじめられる毎日からは解放されると思ったエイレーネは海を渡る。切なく胸を締め付けるような恋と、思いがけない運命が待っているとも知らずに――。
すごく素敵なお話でした。もともと居場所のなかった故国ら言葉も宗教も異なる完全なる異郷の地へと嫁ぐこととなったエイレーネが、かの地にて居場所を見つけ出す展開がすごくドラマチックなんですよね。嫁いだばかりの頃はお相手のアルファディルとの出会いも好感とは程遠く一時はどうなることかと思いましたが、終わってみれば故国よりも安らげる居場所を手に入れてるじゃないですか。これは半ばやぶれかぶれな心理が引っ込み思案を和らげてくれたおかげか、それとも親身な侍女を得たおかげか、それとも出会いの印象のせいかアルファディルが近寄りがたさを感じさせなかったおかげか。いずれにせよ、居場所すらなかった少女が、知己を得、恋を知り、嫁ぎ先の国のなくてはならない一員となる、その過程がしっかり描かれていたのがよかったです。そればかりか、ブラーナに対して抱いていたわだかまりもきれいさっぱり解消されるのだからエイレーネの物語としては大満足の出来。割とロマンスより陰謀劇としての側面の方が強かったり(一番盛り上がったのはアルファディルとのシーンじゃなくてグラケィアとのやりとりのシーンだった気が)、皇后の豹変ぶりはちょっと付いていけないところもありましたが、それを差し引いてもお気に入りの話ですね。

エイレーネの姉のグラケィアも、これまたすごく魅力的な女性だったんですよ。当初はエイレーネとも疎遠として描かれててあまり好感を持てなかったのですが、とある事件をきっかけに政治に私心を挟まない鉄壁の公人の鎧をまとった皇太子としての姿が見えてきてやばかったですね。家臣団の意を汲みとる君主としてのあるべき姿に従おうとする理の心とそれに抵抗を感じる情の心に揺れる心理というのが、これがはっきりとは描いてくれないんですけどそそるそそる。あとがきに書かれている通り結婚する相手の男性というものは想像できないくらい強い女性なのですが、あのちょっと弱ってるときというのはぐっとくるものがありました。彼女にもいつか、素敵なお相手が見つかるといいなぁ。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 11:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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