2011年07月10日

火の国、風の国物語 11  王都動乱

火の国、風の国物語11 王都動乱 (富士見ファンタジア文庫) [文庫] / 師走 トオル (...
火の国、風の国物語11  王都動乱 (富士見ファンタジア文庫) [文庫] / 師走 トオル (著); 光崎 瑠衣 (イラスト); 富士見書房 (刊) bk1はこちら

シリーズ11巻。アレスが再起を果たす間にフィリップは王宮にて着々と地盤を固めていた。一方でジェレイドも自分たちの勢力を確固たるものにしようと行動を起こしだし――という感じのお話。

クラウディア「これだけは使いたくなかったが……」
クラウディアは赤の召喚術・オディウスを唱えた。
万夫不当の豪傑・アレスが現れた。
―――――――――――――――――――――――
クラウディア様は召喚術が使えたのか…。さすがはクラウディア様である。

という冗談はさておき、記憶が正しければ5巻以来待ちに待った再びのクラウディア様の見せ場。あれでクラウディア様に惚れ惚れとさせられた身といたしましてはまことにもって嬉しい限り。とはいえ伸び伸びと活躍していたあの時と比べると、フィリップに首根っこ捕まえられてるかのような現状ではやや覇気に欠けるのは致し方ないところでしょうか。思えば今回のクラウディア様は相当に危ういところまでカルレーンの肩を持ってましたからね。次期国王の最有力候補であるフィリップにとって血縁的な根拠となる存在なだけに最悪殺されることはないだろうとはいえ、さすがに言い逃れは利かないしそれなりの対価を支払わざるをえないでしょうね。頭の回る彼女のことだからある程度は計算の上なのかもしれませんが、これ以上血が流れる事態には耐えられなかったという思いから覚悟決めて一線を越えたのかもしれませんね。なにせその後に最終手段まで取ってますからね。クラウディア様はとことんまでベールセール人のことを慈しんでいるんだなぁ。争いが回避できない時でも、一方に立ってもう一方を徹底的に弾圧するのではなく、なるべく犠牲が少なく済むような道を模索する。この人はやっぱり人の上に立つべき、真に王たる心得を持った王女様だよなぁ。ベールセール国民はかの王女を戴きしことを誇るべし。

かたやアレスは前回再起を果たしてまたその雄姿を見せてくれましたが、かっこよさでいうならば見開き4ページに亘る挿絵も付いた前回よりも今回の見せ場の方が上だったように思う。なにせ彼は騎士なのだ。ここ数巻で英雄としての資質が磨かれつつあるというが、それ以前にアレスとはクラウディア様の騎士なのだ。ならばクラウディア様の威風を背に獅子奮迅の活躍を見せる方が見栄えがするのは道理というもの。やはりこの二人が揃ってこそですなぁとしみじみ。けど、ファノヴァール家の真実というのはちょっとやりすぎじゃないかなという気も。そんな設定なくても納まるところに納まれるだろうに、過剰なお膳立てと感じられてしまいました。

対するフィリップですが、力任せの手法が少々目立つものの、脆いと思いきやこれがまた結構支配者らしくなってきてるんですよね。暴力以外に即位の根拠がないから力に頼るのは言ってしまえば当然だし、反発する者も多いんだけどパンドラの加護があるからちょっとやそっとでは足元を掬われることなんてありえない。そうした自信を背景にしてどんどん大胆な手が打てるから権力に擦り寄ってくるもののほかに魅了されて忠誠を誓うものも出てくる。そうして一人だけだった覇道に少しずつついてくる者も現れと、だんだんアレスのライバルに相応しい強敵に成長してきてるから激突の時に向けて期待が高まって仕方がない。アレスと同じく力とカリスマを備え、もともとある程度は知恵も働くので、アレスに対するガルムスやレオンなど、ジェレイドに対するミーアなどのように対等な側近こそいないものの、だからこそというべきか専制君主としてかなり強固な地盤を築きつつありますからね。それにフィリップのやってることって、恐怖政治の方に目が行きがちになってしまいますが、実際かなり進歩的ですよね。貴族たちの代表くらいの地位に過ぎない王の権力を絶対的なものにしようとしているし、妖魔に協力を要請するなんていっそ革新的ですらある。まだまだ時代が追いついてない気もしますが、紛れもなく一方の雄となるべくして成長してるなぁ。最終決戦までにどれほどの男になっているのか、ちょっと楽しみになってきたぞ。

そしてここにきてエレナという人物の重要度が急浮上してきた。パッとしない立ち位置のキャラだと思ってたのがいつのまにか無視できない隠然たる勢力を形成してて驚いたのなんの。そういえば、アレス譲りのまっすぐさと度胸と頑固さなどを兼ね備えてるから、人を引き付ける才能はある子でしたね。それがここにきて一気に開花したなぁ、と。ここにきて名前を覚えきれないくらいのキャラの多さが活きてきた感がありますね。一度理想の灯に火がついた彼女はアレスにだってちょっとやそっとじゃ止められそうにない。突如出現したこの勢力は一体どんな役割を果たすことになるんだろう。信条的にはクラウディア様に近いところがあるようですが、はてさて。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 06:12| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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