2011年07月04日

レジンキャストミルク 3

レジンキャストミルク〈3〉 (電撃文庫) [文庫] / 藤原 祐 (著); 椋本 夏夜 (イラ...
レジンキャストミルク〈3〉 (電撃文庫) [文庫] / 藤原 祐 (著); 椋本 夏夜 (イラスト); メディアワークス (刊) bk1はこちら

シリーズ3巻。【無限回廊】が姫島姫の体を乗っ取ったことに動揺を隠せない硝子。晶にも言いだせず無為に時間が過ぎていくうちに【無限回廊】が次なる魔の手を伸ばしてきて――という感じのお話。

面白くなってきました。姫島姫の体で硝子の前に姿を現すというただそれだけの一手が、機械のように平坦だった硝子の心に罅を入れ、それが徐々に軋みを立てて広がっていく音がまざまざと聞こえてくるようでした。辛い離別を迎えたはずの親友が敵にその体を乗っ取られて再び目の前に現れるというのは、なまじ一度悲しい別れを越えた後だけにかなり堪えるものがありますよね。気持ちの整理がつかないまま晶にも言い出せず、ただただ気ばかり焦ってしまう。この辺のもどかしい心理描写が秀逸でした。そしていざ心が落ち着いて言い出す決意を固めるも、それをあざ笑うかのように最悪のタイミングで【無限回廊】登場と。このいやらしいくらいに悪い方へばかり傾いていく展開もとてもよかったです。晶も晶で突然の再会にいつものクールさなんて微塵も残さず吹っ飛んでただただ怨念の塊となり果ててしまってたのは意外と言えば意外だった。けれど自分の手で管理された日常を作り出してやろうなんて考えてそれを実行に移すような奴が、狂ってないわけがありませんでしたね。普段は日常を演じるための仮面とともに包み隠し、危ういところで保たれてた歪んだ情念が、予期せぬ事態を前にして一気に浮き彫りになってしまったというところでしょうか。いいですね。そうですよ。主人公たる少年ならばやはりクールに振る舞っててもこういう熱いところを秘めててくれないと。思いっきり負の感情ですが、それでもなんだかこの少年の心の奥が覗けたようでなんだか嬉しかったですね。いまさらながら一方的につっかかってくる【無限回廊】をいかに迎撃するかというだけの話ではなかったんですねと。かつての父親に抱いていた感情とも合わさってか相当に強烈な思い入れとなっているのですね。それにしても、進学してからもこの戦いが続くことまで想定していながらいざ再会すると即座に我を忘れてしまうのを見ると、やはり晶の中で【無限回廊】に対する思いが育まれてきた時間というものを感じさせられますね。相手を憎み殺すことだけを考える関係とはいえなんだか二人の繋がりというものも考えさせられたり。なにやら語弊がある気もしますが。

舞鶴密という子。この子は人を寄せ付けない性格してると思いきや、普通に不器用な子だったのですね。直川君子のように関わりを持った人にはついお節介を焼いてしまいたくなる。けれど彼女の能力は人を救うためのものではなく、近づく者皆傷つけてしまう。ならばクラスメートだろうと何だろうと最初から人と関わりを持たないようにすればいいと、そんな風に考えてしまう子だったのですね。そう考えると、酔ったときの絡みようは、もしかすると日頃抑えてる分の反動だったりしたのかも。

なにはともあれこの巻は二巻続く話の一冊目。つまりまだ事態はゆったりと確実に混迷中というわけで。次の巻も早く読まねば。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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