2011年06月25日

ツァラトゥストラへの階段 2

ツァラトゥストラへの階段〈2〉 (電撃文庫) [文庫] / 土橋 真二郎 (著); 白身魚 (...
ツァラトゥストラへの階段〈2〉 (電撃文庫) [文庫] / 土橋 真二郎 (著); 白身魚 (イラスト); メディアワークス (刊) bk1はこちら

シリーズ2巻。ビリオンゲーム関係者からゲームの招待状を受け取った福原。失踪した姉の手掛かりに近付くべく正体に乗ることにしたのだが、そこで始まるゲームとは――。
「このゲームはチェスをモチーフにしています。」
そうして第3のゲームが幕を開ける。

ゲームの盤面で交錯するプレイヤーたちの思惑を描くのが上手いなぁ。これは引き込まれる。焦点の当てられる福原だけでなく、他プレイヤーの戦略もしっかり描かれてるからゲームをモチーフにした話としては前作以上に面白味が増している。自らの思い通りにゲームを進めるべく主導権を奪いあうこの展開、これぞゲームの醍醐味ですよね。前作では内部での亀裂を含みながらもほとんど全員が運命共同体のように描かれていましたが、それと比べるとこの巻のプレイヤーは皆目指すところは一緒でありながらもそこに至る過程は一人ひとりの肚の内でそれぞれ別のルートが出来上がっており、周囲の状況次第で様子を見たり焦れて勝負を仕掛けたりするなど目まぐるしく移り変わっていく展開が素晴らしかった。各プレイヤーの思惑を孕みながら混沌とした情勢のまま進展していくゲーム。前作があまりにもよかったので1巻時点ではあれ以上は無理なのかなと思いましたが、そんなことはありませんでしたね。面白さを感じた部分は少し違いますが、決して劣らぬ面白さだったと思います。

ゲームの展開だけ見てもすごくよかったんですが、それに加えて主人公の頑張りも忘れてはならない。これも前作以来続いていることだと思うんですが、この作者の主人公は自分一人ではどうしようもない巨大な事象の前に自らの能力のあらん限りを尽くして立ち向かっていく姿がすごくかっこいいんですよね。前作ではそのすべてで限界にぶちあたって悲惨な末路を辿っていったわけですが。今回だって、限界を超えてパルスの力を酷使し続けたことで頭をオーバーヒート寸前にさせながらも最後のその瞬間まで壁に挑み続けるがむしゃらな姿勢に目を釘付けにさせられました。舞にこれ以上は無理だと止められようと、こんな所で諦めてたら自分の目的は果たせないと頑なに限界を認めない諦めの悪さ。いいなぁ。こういうキャラは普段軽薄だろうがなんだろうがついつい応援したくなってしまうから大好きだ。
前巻にて帰るべき日常の大切さに気づいたような描写はあったくせに由紀とすれ違ったりしてたのにはダメだこいつとがっかりさせられたりもしましたが、この巻を読んだ印象的に福原ってなんというか斜に構えたところのある奴だったのかな。表面的なやり取りなんて興味がなくてすぐと深読みして自分のペースで物事を進めてしまう。だから、そういう他愛のないところからコミュニケーションを始めようとする由紀とは気持ちの面での行き違いが生じてしまう。そういうミスは、もしかしたら今回のゲーム中の失敗に通じるものがあったと言えるのかも。そうして気付いた目の前の大切な人の笑顔は、とてもいい顔でしたね。なにげにこういういい感じの雰囲気の演出もうまいですよね、この作者。

それにしてもこの「Overload Game」、ゲーム危険度的には安全ですなんて言っておきながら、蓋を開けてみると相当血生臭いことになってるじゃないですか。支給品の時点で血を見ること前提だったし、これはもう詐欺じゃないかな。いやでも、この作者的に死人が出てないっぽいことを考えると軽い、のか? もし本当にそういう意味だったとしたら、囚人ゲームってこわいなー。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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