2011年06月19日

四方世界の王 2  あるいは50を占める長子

四方世界の王2 あるいは50(ハンシュ)を占める長子 (講談社BOX) [単行本(ソフトカバー...
四方世界の王2 あるいは50(ハンシュ)を占める長子 (講談社BOX) [単行本(ソフトカバー)] / 定金 伸治, 記伊 孝 (著); 講談社 (刊) bk1はこちら

シリーズ2巻。バービルム内の争乱を治めたハンムラビ王子。だが、北の傭兵王による謀略の手はさらにバービルム支配下の都市シッパルに伸びる。シャズはその動きを牽制するべく策を巡らすのだが――という感じのお話。

おいおいおい。エレールは、この娘はマジだったのかよ!? いや、まあ冗談で口にするようなことではないのだけれども、あそこまでの論法を使って迫るあたり本気なんだよなあ。驚いた。面白いなあ、エレールの理屈は。確かにその理屈で行くとエレールを娶るしかなくなる。論法自体はシャムシ=アダドが言う通り結論ありきで強引なんだけど、つい納得しかけてしまう真剣さがあるんだよなあ。うん、もうありでいいでしょう、この父娘。
エレールはシャムシ=アダドを愛し、シャムシ=アダドはエレールを利用しと、こう書くと依存関係みたいな歪さを孕んでるようにも思えるんだけど、話を読んでるとお父さんっ子な娘とそのわがままに付き合う父の図のようにも見えて微笑ましいという。一粒で二度おいしいこの関係。とってもおいしいです、もぐもぐ。

それはともかく、三人の英雄として描かれているうち前回はその一人であるハンムラビに焦点が当たっていたのですが、今回は主に北の傭兵王シャムシ=アダドに焦点が当たった回。前回でもちらっと登場して底知れぬ不気味さを見せてくれたのですが、その実像が見えてくるにつれてこれは強敵だという感が強まってくる。けれどその割に息子には甘いっていうのは、意外なところで愛嬌を見せてくれるというかなんというか。原因を手繰り手繰っていくとおそらくエレールに辿り着くんでしょうけど。まあでもその辺は力で強引に押していくだけじゃないってことで、今回ちらっと登場してやたら威圧感ばかり放っていた南のリム=スィーンとは違うということでしょうか。

英雄は3人ということだったけど、それ以外でも傑物が登場したようで。しかも古代オリエントなのに男の娘と来ましたよ。それはそれとして、この子の野生的な勘であっさりと打つべき手を見極めていく才覚も相当なものだと思うんですけど、3人の英雄として数え上げられているわけではないということは、彼らと肩を並べる程ではないということなんでしょうかね。それ以外に考えられるとしたら、3人の英雄たちの共通点として挙げられるのが才覚以外にもおそらく全員が神の力たる小胞の力を扱えるということ。それに対してイバルピエルにはそれがない。つまり人の世の天才であるということ。この辺りは冒頭で触れられてた神の世から人の世へ移り変わりつつある時代性を象徴する差異なのかもしれませんね。

今回、情勢的には次回への布石的な動きに終始した感がありますが、それらがどう動き出すのか、楽しみです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 06:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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