2011年06月18日

ゆらゆらと揺れる海の彼方 B

ゆらゆらと揺れる海の彼方〈3〉 (電撃文庫) [文庫] / 近藤 信義 (著); えびね (イ...
ゆらゆらと揺れる海の彼方(3) bk1はこちら

シリーズ3巻。神聖アールガウ帝国との敵対を余儀なくされたローデウェイク辺境州。圧倒的な戦力差を少しでも埋めるべく、ラシードは隣国バストーニュ王国に救援を求めに向かい、ジュラたちは戦備を整える。そしてついに決戦の時が訪れる――という感じのお話。

対神聖アールガウ帝国軍、第一戦。
2巻で非の打ちどころのない英雄として如何なくその人と為りを見せつけてくれた英雄・シグルドと戦の天才・ジュラによる決戦ということで、どれほど高度な戦術合戦が繰り広げられるのかと思いきや、戦術的にはけっこう地味だった? けど、よく考えなくても二勢力間の戦力差は圧倒的なんだから、アールガウ側が奇を衒った戦法を採る必要なんてないわけで。弱小のローデウェイクがいかに策をめぐらし大国アールガウに立ち向かうのかという話にしかなりませんよね。そういう意味ではアールガウの採った戦法が大国側としての正攻法ならローデウェイクの採った戦法も迎え撃つ弱小国側としての正攻法。派手さが感じられなくてエンタメとしては物足りなさもありましたが、戦術的にはあれこそ正解なんでしょう。
それにしても、ろくに対アールガウの対応策を構える時間もないまま決戦の時を迎えてしまったことから、圧倒的な戦力差を覆すことなんて無理じゃないかと思っていたら、ジュラの指揮の下に戦術レベルで一気にその差を縮めてしまうのだから面白い。とはいえさすがに埋めきれるものではなかったか、最後の決め手になったのが計算外の出来事だったのでまぐれ勝ちという印象は否めませんが。それでも、アールガウ軍としてもダメージは大きく再戦までの時間的余裕が生まれたことから、今後しばらくは大国に立ち向かう弱小国という構図での一番の楽しみでもある、戦略レベルでの対策を練るターンになるのでしょうね。あとがきによるとバストーニュの内情に主眼が移るということで、そちらに対するアールガウの出方も含めて楽しみです。

今回のロンベルグはまさにシグルドの信奉者というところを見せてくれましたね。その度を越した忠誠心が鼻につくところがあってあんまり好きになれなかったんですけど、相手の思惑にはまって劣勢になりかけてた流れをなりふり構わない行動で無理やりにも挽回してみせた、あんなところを見せられたら見方を変えるほかない。ロンベルグの軍が総崩れになりかけた時、あのときって別に無理せず退却を指示して出直しを期すこともできたんですよね。けど、これまで無敗を誇ってきたシグルドの勢威に傷がつくことなどあってはならないと断じ、迷うことなく死すら覚悟で突撃を敢行してのけるその気概。とんでもないよなあ。こいつは確かに根っからシグルドの信奉者だ。こういう一見気にくわないと思ってたら土壇場になって惚れてかけてしまう程の行動を取ってくれる奴がいるから戦記ってたまらない。

バストーニュでできた暗殺者の二人。こいつらっていわゆる二重人格者というやつですかね。なんか久々にこういうキャラを見たような気がするんですけど、最近ほとん見ないのはなんででしょうね? まあそれはともかく、こういうキャラのよさといえばいわずもがなギャップの可愛らしさである。特に暗殺者モードのフェイウェンがたまりません。次以降で出番が増えてくるだろうことを思うととても楽しみですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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