2011年06月16日

アーサー帝戦記 T  曙光のエクスカリバー

アーサー帝戦記 I -曙光のエクスカリバー- (幻狼ファンタジアノベルス) [新書] / 本田...
アーサー帝戦記 I -曙光のエクスカリバー- (幻狼ファンタジアノベルス) [新書] / 本田 透 (著); 前田 浩孝 (イラスト); 幻冬舎 (刊) bk1はこちら
部下ロットの裏切りによりブリテンの大王[ペンドラゴン]である父を失い、最愛の家族や親友のランスロットと引き離された王子、アーサー。
復讐の刃を磨く彼の前に、父の軍師であった魔術師マーリンが現れる。
彼の導きに従い、正当なるペンドラゴンの後継者のみが抜けるという聖剣カレドヴルフを抜き放ち、アーサーは諸侯に自らの即位を宣言した――。
ここにブリタニアの未来を賭けた、アーサーと円卓の騎士の戦いが始まる!
タイトル通りアーサー王の物語。それもあとがきにて解説されているようにファンタジーでありながらもかなり歴史小説風味。アーサー王についての知識はほとんどないに等しい状態でしたが、まっとうに史実(伝説的な人物でもあるので史実と呼べるものが存在するのかどうかはわかりませんが)を取り上げようとしているみたいなので事前知識を要求されることもなく楽しめました。

それにしてもこの作品で描かれるアーサーという男、かなり浮き沈みの激しい人ですね。いまだ敗北は喫してませんが乾坤一擲の戦ばかりなせいか、勝つ時は大戦果を挙げるんだけど追い詰められる時はもうとことんまで追い詰められる。もしかして大勝利か大敗北しかしない人なのかも? 仕える家臣たちにしてみれば大変なのだろうけど、物語として楽しむ分にはこういう勝つも負けるもとにかく派手なタイプというのは面白くって仕方がない。実にエンタメ性に優れた主人公である。

けど、この物語から浮かび上がってくるアーサーからは英雄っていうオーラは全く感じられませんね。でっかい理想掲げてブリタニアの諸豪族の心を束ね上げているようにも見えますが、実際相当綱渡りですよ。途中まではまさに英雄と思えてたけど、最初に犯した失敗が致命的過ぎたんですよね。もういつ破滅してもおかしくないぎりぎりの状態。だからこそのハラハラ感というもありますが。とはいえその失敗については同情の余地もありますか。モルゴスの受けたあの仕打ちはね、さすがにむごすぎると思うんですよ。黒い展開スキー的にはたまらないものもありましたがもう少し過程の描写もですね(黙れ というのはともかく、壊れた心を救ってやりたいと思うのは肉親として当然の情。ただし、アーサーが心理的欠陥を抱えていたがゆえにややこしい問題になってしまったわけで。まあそれをいうならランスロットも同じなんですが。というか、今やランスロットが最大の爆弾になってるわけですが。親友だったはずなのに再会後ずっとぎくしゃくしっぱなしなのが悲しくもありましたが、きっちり修復されないままここに至ってしまうともう行きつくところまで行っちゃってくださいと逆に煽りたくなってくる不思議。

アーサーが英雄か否かについては、作中でアーサー自身が口にした言を当てはめるならばこれは最後まで見届けるしかないということになるのでしょうけど、今のところはまだ既存の秩序の破壊者でしかないような。政策立案能力は抜群だけど組織内の調整能力がないというか。窺える施策を眺めてるとローマ帝国の後継者としてなら結構いい線行ってるような気もしますが、ブリテンの王としてはどうなのよとも思ったり。

まあなにはともあれ、崖っぷちのアーサーがどこまで行きつけるのかというのは楽しみですね。最後のその瞬間まで楽しませてくれそうな予感。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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