2011年06月14日

マラザン斃れし者の書 T 碧空の城砦 2

碧空の城砦2 (マラザン斃れし者の書) [文庫] / スティーヴン・エリクスン (著); 佐伯...
碧空の城砦2 (マラザン斃れし者の書) [文庫] / スティーヴン・エリクスン (著); 佐伯経多&新間大悟 (イラスト); Steven Erikson (その他); 中原尚哉 (翻訳); 早川書房 (刊) bk1はこちら
女帝の腹心に見出され、大尉となったパランはブリッジバーナー隊に配属された。見た通りの存在ではないらしい少女兵ソリーを監視するためだ。だがパランは襲われて死の淵をさまよいながらも生還し、ソリーと同じく神々の駒として数奇な運命をたどることになる。一方帝国軍の次なる標的ダルジスタンでは、空中要塞の領主が錬金術師と手を結び、さらに暗殺者や盗賊らの勢力が蠢いていた……傑作叙事詩、激動の第2巻。
バラバラに思えた各登場人物たちの行動に明確な方向性が定まってきたことからかなり話の流れが掴みやすくなってきました。登場人物がほぼ全員一カ所に集まりつつあるのも読みやすく感じられた一因かと。

そうして多少流れを追う以上のことができるようになってきて気付いたことは、このシリーズにおける人物というものは皆、運命とでも呼べるかのような抗えないものにその身を流されていて、けれどもその中で必死に自らの力で自分の道を切り開こうとしているということ。運命というものは、超越的な力で以って介入してくる神々だけでなく、作中の多くの人物たちが所属するマラザン帝国、ひいては一人ひとりの人物たちがその形成に関わっている。そのため、各人物たちの言動からは主導権を他人に譲るまいとするかのように緊張感が抜け切ることはない。会話においても自分たちが持ち合わせる知識にハッタリを加えて相手より有利な立場に立とうとするなんてのは日常茶飯事であり、駆け引き抜きで心許せる関係なんてほとんど存在しないと言っていい。そのため会話部分だけ読んでいてもよく状況がつかめないなんてことも別段珍しいことではなく、これも慣れるまで読みにくさを感じた一因かもしれません。

肝心なストーリーとしては次が第一部の最終巻らしいのですが、この巻のラスト付近でもそれほどクライマックスに向けて盛り上がってきたようには感じられず。ただ、その点は一冊辺りの密度が濃いので次の巻に期待しておけばいいのかもしれません。

とはいえ主人公と思しきパラン君のキャラがいまいち好きになれないのはどうしたものか。パランからは主人公のくせに自らの手で運命に立ち向かおうっていう気概がほとん感じられないんですよね。というか、運命に流されているというよりも感情に流されてしまっているような…。ソリー同様、神の駒にされた人物はときたまイレギュラーな動きをしてくれるから意表をつかれるというか、油断がならない。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 09:17| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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