2011年06月11日

境界線上のホライゾン 1<上>・<下>

境界線上のホライゾン1〈上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) [文庫] / 川上 稔 (...
境界線上のホライゾン1〈上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) [文庫] / 川上 稔 (著); さとやす (イラスト); アスキーメディアワークス (刊) bk1はこちら

境界線上のホライゾン1〈下〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) [文庫] / 川上 稔 (...
境界線上のホライゾン1〈下〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) [文庫] / 川上 稔 (著); さとやす (イラスト); アスキーメディアワークス (刊) bk1はこちら

完結してから一気に読もうと思っていたんですが、アニメ化が決定したこともあり予習も兼ねて読むしかないということで。

GENESISシリーズ第1作。とある理由から過去の歴史を再現している世界。歴史再現の手本書である聖譜の記述が途絶えたことからまもなく末世が訪れるだろうとささやかれていた。そんな中、分割統治される神州・日本の各国間を飛び交う航空都市艦“武蔵”上のアリアダスト教導院に通う総長兼生徒会長の葵・トーリはある少女に告白する決意を固めたのだが――という感じのお話。

うおお! これでもかとばかりに並べたてられる膨大な設定量。それでいて細部までしっかり考えて作り込まれた世界観。これですよ、これ! やっぱ川上稔さんの作品はたまりませんわぁ。信者補正があるのは疑いようもないですが1巻から最高に面白かったです。あとがきにて「最終話のような1話目を書こうと思った」とある通りの盛り上がりでいきなりテンション最高潮。もうバカみたいに面白れー以外の言葉が出てこなくなりそうな面白さですわ。

それにしてもこの懐かしい膨大な設定の数々は『終わりのクロニクル』読んでた時のことを思い出しますね。あちらの1巻上は世界観の概要を掴むのでいっぱいいっぱいで、下巻の中盤くらいになってようやくストーリーを楽しむ余裕が出てきた感じでしたっけ。ただ、そこで苦労したおかげか、共通している設定が多いいこともあり、このシリーズでは最初からストーリーを楽しむことができました。設定の提示の仕方も工夫が凝らされてたように思えましたし、川上稔作品は初だったとしてもおわクロほど苦戦はしなかったんじゃないかなーと。それでも面喰ってしまう程の設定量だとは思いますが。あと、シリーズの方向性が見えてくるのはやっぱり下巻なんですよね。というかこの1巻の話って、他の作者が書いたら普通に300ページ前後の1冊でまとめちゃいそうな気がするくらい展開自体はゆったりめなんですよね。そこを多数のキャラの掘り下げをしたり、読者に負荷がかかり過ぎないように設定を細かいところまで見せたり、時に難しくなりがちな展開の解説を加えたりすることでこのページ数にまで至ってしまったという感じでしょうか。つまるところは一つ一つの場面が、普通なら軽く流されてそうなところまでとにかく濃い。キャラに至っては主要なキャラが30人近くいたんじゃないかってくらいにスポットライトを浴びるキャラの多いこと多いこと。この辺はメインの2人と各巻ごとに特定のキャラに絞って焦点を当てていたおわクロとはまた違った面白さが感じられました。とにかく皆かっこよすぎるんですよね。好感が持てるキャラばかりでもうどうしたものかと。

というか、この作者が描く作品では最初から固定されたカップルが登場してくれるのが実にいいんですよね。女の子はいっぱい出てくるんだけど、別にハーレムラブコメ化はしないという。主人公のトーリにしたって、本人はホライゾン一筋だし周りからもそういう認識されてるし。
なかでも個人的には東―ミリアム組が好きですね。あの距離感、東に惹かれつつあるミリアムの胸の内、生唾物でしたねあれは。ああいう空気大好きですハイ。立花・宗茂―ァ組のお熱さも負けず劣らずたまりませんでしたが。

ここで一転、世界観的なところについて。だいたいは作中で細部まで述べられてるのでそれで十分わかるとは思いますが、作中触れられてなかった点で話が始まった当初の極東人の立ち位置ってこれ、日本史的には当時の安土桃山〜江戸前期あたりを再現してるとは言いつつも、一方のスペイン絶頂期の欧州に当てはめるとどうもユダヤ人っぽいですよね。各国で迫害されてるところとか、イスラーム・キリスト教圏では禁止されてる金融業を担ってるところなどでそう思ったり。最終的に対末世の主導権を握る立場に躍り出たことからズレが生じてきてますが。
それにしても当時の歴史をかなり調べ込んできてますよねこれは。ゲームなどで強調されがちな誤ったイメージを排除してかなり忠実に再現されてるんじゃないでしょうか。しかも通史としての大まかな流れだけじゃなくてシロジロたちに学術的な観点からも解説させせてたことから、けっこうな量の資料あたってますよねこれ。すっげえわ。ここまで調べこんだ上でやってくれるファンタジーがあったら理想的だろうなって思ってたものに真っ正面から取り組んでらっしゃる。感服ものですわ。というかこれは確かに以前挑戦しようとした時は設定がまとまりきらなかったというのも頷けます。しかしこうなると川上稔作品としてだけでなく歴史好きとしてもめちゃくちゃ期待せずにはいられませんね。
個人的には戦国時代が個人の武勇が強調される時代ではなく集団戦の時代だってことがしっかり述べられてたことが嬉しかったり。一人ひとりにしっかり焦点が当たるせいか個人の活躍が強調されがちな戦場ではありましたが、各々がその役割をしっかり果たした上での勝利というチーム戦的な側面がしっかり描かれてたのはよかったですね。
まあそもそも主人公が武闘派じゃないですしね。皆をその気にさせて衝き動かすタイプといえるのかな。むちゃくちゃな目標を掲げて突っ走りだすとあとからあとから皆がついてきて一人じゃ辿りつけないゴールまでの道を取り付けてもらえる感じ。バカばっかりやっててもいつの間にか皆の中心に立ってる奴なのよね。相手の懐に入っていくのが上手いというか。ここまでバカだと助けてやらなきゃって気にさせられるというか。天性のタイプ・賑やかしですよね。

対論でもって掛け合うシーンは、わかりやすい派手さがないので最初に読んだ時は盛り上がりに欠けるようにも思えましたが、注意深く読み返してみると確かにここも熱いですね。演出の巧みさもあると思いますが、取り付く島もないと思えた二者間の重なる点が両者のやりとりから少しずつ浮かび上がり、ついにはピタッと重なる点が目の前に現出した時のあの高揚感といったら。派手なバトルでなくともここまで盛り上がれるものなのかと驚かされました。

あとはまあ、賢姉マジかっけえなあと。トーリ同様いつでもどこでもマイペースでお調子者なだけのキャラだと思ってたら、まさかそんなところでという意外な場面で独壇場の活躍を見せてくださる。オパーイに見とれてたらいつの間にか惚れ惚れとするような美々しさに魅せられているという。ただのエロいお姉さんだと思ってすいません。そして賢姉と呼ばせてください。

そういえば女の子だと知られちゃった正純の女の子化が激しいんですが。それまでは悩める少年っぽかったり堂々と教皇に立ち向かったりと男っぽい言動ばかりだったのでギャップでものっそいかわいく見える。最後に新鮮なインパクトを残していきおるとは、くそぅ、あざとい奴め。

という感じで長々書いてきましたが、つまるところ予想以上の面白さでしたと。自分なんかがいまさら〜という気もしますが、絶賛オススメ!


ついでに、バナーを貼ってみんとす。
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posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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