2011年06月05日

ファンダ・メンダ・マウス

ファンダ・メンダ・マウス (このライトノベルがすごい!文庫) [文庫] / 大間 九郎 (著)...
ファンダ・メンダ・マウス (このライトノベルがすごい!文庫) [文庫] / 大間 九郎 (著); ヤスダ スズヒト (イラスト); 宝島社 (刊) bk1はこちら

K泉ペンキさんの感想で興味を持ち読んでみました。

しみったれた倉庫の管理システムの監督作業をする仕事に勤めながらネーネと二人で暮らすマウス。そんなある日、佐治まことという女の子が彼に助けを求めてくる。彼女の友人がその父親の借金のかたに売り飛ばされそうになっているという。まことの父道太郎に対する恩義から頼みを引き受けるマウス。そこから横浜港を牛耳る皆鳥・力丸を相手取った戦いが幕を開け――という感じのお話。

読みにくいという評判は事前に何度も目にしていましたが、そういうものかと構えてかかってみればそれほどではなく、独特ながらもしみったれた港町やくそったれなストーリーの雰囲気にとてもふさわしい文体だったように思います。

このラノ文庫は初めてということもあり、レーベル自体の特徴もよくわからないまま読むことになったのですが、確かにこれはよくあるライトノベルの話とはちょっと雰囲気が異なりますね。いわゆる「萌え」というものがほとんど含まれていない。全くなかったとは言いませんが、あざといくらいにそれで押してくるという作品ではなかった。何人もいるヒロインについてもそれなりに描かれますが、話の中心で立ち回るのはどこまでも主人公であるという描き方は好感が持てます。

そんなマウス。20代・醜男というこれまた珍しいタイプの主人公ですが、そのくそったれなキャラもさることながらこいつの周りに集まる奴らからの愛されぶりが面白いんだ。姉・男・機械とアブノーマルな奴らばっかりだけど、唯一まともなヒロインたるまことがたじたじとなってしまうほどには皆マウスにべったりなんだ。なくてはならないってくらいに頼らずにはいられないんだ。けれど、マウスは問答無用に皆の愛を受け入れてえこひいきなんてしない奴なんだ。まことが机バンバンするのもわかるけど、そこにはもうマウスという樹とそれを必要とする人々によるコミュニティが既に出来上がっているのだ。だからこそ誰もその気をひとり占めしようとはしないし、マウスも誰かが困っていればそれを助ける。まことというのはヒロインズ(?)の中では唯一マウスに依存しているわけではなく少女らしい恋心を寄せている子ではあるけれど、マウスの彼女に対する扱いは他の奴らと変わらない。同じマウスという樹の陰に集まった人々の内のひとり、ということなんだろうか。しかもマウスはその4人ともきっちり守りきってみせるんだよなあ。なんという懐の深さ、広さ。ときに道化のようにふざけた言動をとったりするかと思えば根っこはどこまでも義侠心に富んだ熱い男だから頼りがいがあってかっこいいこと。マウスコミュニティはなにやらさらに拡大傾向にあるようですが、この分ならまあなんとかなるんじゃないかな。

ロンという人物の登場だけがやや唐突に感じられましたが、続きもあるようなので、もしかしたら続けるための設定だったのかも? まあなにはともあれ面白いお話でした。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。