2011年05月18日

氷結鏡界のエデン 4  天上旋律

氷結鏡界のエデン4 天上旋律 (富士見ファンタジア文庫) [文庫] / 細音 啓 (著); ...
氷結鏡界のエデン4  天上旋律 (富士見ファンタジア文庫) [文庫] / 細音 啓 (著); カスカベ アキラ (イラスト); 富士見書房 (刊) bk1はこちら

統政庁との会合に赴くユミィ達の護衛任務を志願しようとするシェルティス達だったが、チームの人数が規定されていたことから4人目の仲間を探すことになった。華宮の推薦でなんとか人数を合わせることはできたのだが、無理やり付き合わされることとなったヴァイエルは任務の選抜試験でやる気を欠片も見せてくれなくて――という感じのお話。

こいつはやられた! 驚いたなあ。前作からこれまで特別な才能を持ち合わせた人達しか活躍する姿が描かれなくて、綺麗でありながらも熱さとは無縁のクールな作風を継続している作家さんだと思っていただけに、この巻で出てきたヴァイエルのような「等身大の人」にスポットが当てられるのはすごく意外だった。こういうキャラも描ける人だったのか。しかもこれがめちゃくちゃ熱いんだもんな。凡人に過ぎずとも一途に己の信念を貫き通す背中はここまで格好良いものなのかと。突出した才能に恵まれずともボロボロになりながらも諦めずに泥臭くあがき続け立ち向かい続ければ壁は打ち砕けるものなのかと。彼の見せた活躍こそが人間の本気であり、彼の為した成果こそが人間の希望なのだなぁとしみじみ感じ入りました。そして特別な才能などなくともここまでのことができるというのはまた、ごく一部の天才たちにだけのしかかっていた世界の命運なんてとんでもない負担を、凡人たちもその一部を肩代わりしてやることができることの証左でもある。この作者の作り出す世界はどこまでも優しく希望に満ち溢れているなあ。そういうところが好きなんですよね。

シェルティスはもうとっくに千年獅になるに相応しい資質を備えきってるし、あとはポイントためて昇進するだけと思っていましたが、さすがにそんなことはなかったですね。昔のような個人の技倆のみが求められる世界ならまだしも、とっくに護士たちの統率者としての能力も求められるようになっていたんでしたっけね。そうなると、これまでチームで連携して任務をこなしてきた経験の皆無なシェルティスにとって、千年獅はまだまだ遠い世界の話だったわけですか。しかもただでさえ今のチームは個性的な面子の集まりなうえにシェルティス以外は戦闘能力の低い人ばかりなのでなかなか大変な道のりなのでしょうね。けれども、みんな根はいい奴ですし、上を目指して焦りがちなところも上手くサポートしてもらえそうな雰囲気。そういう意味ではみな得難い仲間たち。なまじ戦闘能力ばかりが優れたチームよりもはるかに仲間に恵まれているんでしょうね。これもシェルティスが特別たる所以の一つ。

そして、だんだんと世界の背後に隠された秘密が見えてきましたが、そうなるとユミィと前作におけるクルーエルの共通点もいくつか浮かび上がってきました。前作から読んでると気になる単語もちらほらと。本作もメインヒロインたるこの子がストーリーの核となるのでしょうか。次の巻ではきな臭い統政庁に乗り込むことになるようですし、急展開の予感。

そういえば、表紙に出てきた見かけない女の子は誰かと思ったらあの人だったとは…。ツァリといいこの子といい意外だったというか。まあそれでもイリスが女の子という以上の驚きにはなりえませんか。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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