2011年05月14日

絶望系 閉じられた世界

絶望系 閉じられた世界 (電撃文庫 1078) [文庫] / 谷川 流 (著); G・むにょ ...
絶望系 閉じられた世界 (電撃文庫 1078) [文庫] / 谷川 流 (著); G・むにょ (イラスト); メディアワークス (刊) bk1はこちら
 この世には、うんざりすることが多すぎる。
 たとえば、八月なのにやたらに涼しいとか。
 呼んだ覚えのない者たちが突然部屋にやってきたりとか。
 その連中が何を言っても出ていこうとしないこととか。
 あるいは、幼いころから知ってる少女が連続殺人犯だったりとか。

 ――そんなわけで、「杵築」が送る異常で不条理な七日間の物語が始まる……。
 鬼才が贈る実験作、解禁!

あー…、うん。最初に読んだ時は全編通して理解の遙か彼方を飛んでいかれたんだけど、いくつか感想等を参考にしながら読み返してみたらなんとなくわかったような気になれた、かな?

そもそもこの話、無条件に信用してはいけないキャラが存在するんですね。杵築や建御などの人間たちは振り回されたりしながらも基本的には彼らなりにめいいっぱいの生活をしているので裏表がない。けれど天使や死神たちはそもそもが人間よりも上位の存在であり、杵築や建御たちにかかずらわっているのはすべて遊興、ただのきまぐれに過ぎない。人間が何やら面白そうなことしようとしてるじゃん、どうせ暇だし見物してやるかーみたいな。どこまでもお遊びのノリ。だからときに全く話に関係ないやり取りをさも意味ありげにしてみせたり、頼まれもしてないのにストーリーの補足説明をしだしたり、唐突にメタな発言をかましだしたり。作中での彼女たちの言動の半分くらいはストーリー展開上ほとんど意味がない。それなのにそのやりとりに結構スポットが当てられてたりするものだから騙されてしまう。かといって完全に無視してしまおうにも、一番肝心なことはこいつらが語っているものだからある程度は注意して読んでいかないといけない。厄介だ。

でまあ、天使たちの気まぐれな解説をもとに考えてみるとこの話、ストーリー展開の主体となるのはカミナで、よくある作品では建御を主人公にして話を広げていくところを杵築をその座に据えることで先の二人が視界から消えてしまえばはいお終いと、そんなところでしょうか。終盤のミワの言動がトリッキーではあるものの、ばれていたのならどこまでも主導権はカミナにあったと考えれるのかなと。

それにしてもわかりにくい。二回三回読んでみて初めてなんとなくわかってくる話だと思います。装置としてのキャラの役割なんかまで触れられてたのは、そういう要素についても考えてみるきっかけになって面白かったですね。

それにしても人間界と天使や死神たちの世界を結ぶシステムの説明はすごく興味深かったですね。確かにあれなら人の世界は絶望に満ちてる。絶望系というタイトルはそこのところから来てるんだろうか? 閉じられた世界の方は、カミナが作り出さんとするところの地獄のような世界のことだろうか? ただ、これはあくまで天使たちによる解説であって、カミナ自身の口から語られてことではないんですよね。カミナ自身がどこまで深くこのシステムのことに気づいていたのかは不明なところ。ただ、天使たちの解説にほとんど驚いたような様子もなければ特に付け足しもしなかったことから、朧ろげながらも直感的にそれに近いところまではわかってたのかな。まあ見ようによってはカミナの突拍子もない発想や行動はすべて中二病をこじらせた結果と取れなくもないですが、周囲への無関心を貫く杵築にしてみれば、本人がいなくなってしまった以上どうでもいいことになるのでしょう。

杵築の心がぶっ壊れてるのは建御にも指摘されるようにすぐに伝わってくるものがあったのですが、それに対してミワの心も壊れているというのはそう明かされてもなかなか腑に落ちませんでしたね。終盤で決定的なものを突きつけられてようやく納得できました。杵築の異常が外向きに現れていたのに対して、ミワの異常は内向きにぐるぐると形成されていたからわかりにくかったのですね。それが明らかになる終盤は、それはもうカミナを主役の座から蹴落とすに十分なゾクゾクくるインパクト。ぶち上げる計画が壮大すぎて本当に装置と化してしまってる感のあるカミナよりよっぽど人間らしくて好感持てましたね。

という感じで、感想以前にストーリーを把握するだけでいっぱいいっぱいでしたし、実際まだまだわからないところもたくさんあるんですが、これはこれで楽しかったです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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