2011年05月13日

ルナティック・ムーン U

ルナティック・ムーン〈2〉 (電撃文庫) [文庫] / 藤原 祐 (著); 椋本 夏夜 (イラ...
ルナティック・ムーン〈2〉 (電撃文庫) [文庫] / 藤原 祐 (著); 椋本 夏夜 (イラスト); メディアワークス (刊) bk1はこちら

ウェポンとしてエデンに入隊したルナ。既存種なら問題なくこなしていけると思っていたウェポンの仕事だが、慣れない任務に悪戦苦闘していた。同じ頃、シオンは負傷のため入院中でケモノを殺すことのできない生活にもどかしさを感じていた――という感じのお話。

前回とは所変わっても、やっぱり雰囲気は暗い。それはケモノが跳梁し一時の平和さえすぐに崩れ去ってしまいそうな世界観のためでもあり、それともあっけなく死者が出る過酷なウェポンの環境のためでもあり。なんにせよルナにとってはまたしても心挫けそうな展開が待ち受けていた。さすがに前回ほどのダメージではないにしても、傷つかなければ前には進めないのかのような非情な展開は見ててとても心が痛む。失くしてからようやく大切なものだったと気付かされる。平素は周囲からもたらされる期待に応えられない自分をふがいなく思い、その苛立ちをぶつけたりしていた相手だけど、ルナのことを気長に優しく教え導いてくれていた人なのだ。世界はルナにこれでもかとばかりに厳しい現実を突き付けてくる。だが、ルナの周りの人はルナに優しい人ばかりだ。その優しさが暗くなりがちな雰囲気さえも緩和してくれている。でも、ルナが気付くのはいつだって手遅れになってからだ。そうして心ボロボロになりながらも決して折れず、それを受け止め強くなっていく。すごく応援したくなる主人公だなあ。

そしてそれはシオンにもいえる。強さは一流ながらもケモノを殺すことのみにすがり心の安定剤とする歪んだウェポンとしての動機。その生き方から受ける印象は危うさだ。誰の力も借りず、誰にも借りを作らず。痛々しくさえある歪んだその心はいつか任務中に野垂れ死んでしまう未来を予感させるものがあり、決してそのままであっていいはずはない。かつて壊れてしまいそうだった心を安定させるための措置だったそうだが、次のステージへ移行させなければならない時が訪れていることは明らかだった。レインの意図したやり方ではなかったものの、シオンにとってはボロボロになっていた体に鞭打っての一歩前進。傷つきながらも得たピースは彼女の心の糧となっていくのだろう。

直接の会話はほとんどなかったものの、孤独に戦うシオンと友人のために無茶するルナと、意図せず互いの心理を理解することとなった二人の間にはいつのまにやら戦友のような絆ができていて。最後に二人が強くなると話し合ってるシーンは、いいなああの空気。

裏では何やら悪意が蠢いてて、バベルの偉い人たちは警戒を強めたりもしてるみたいですが、次回は一体どんな展開になることやら。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 22:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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