2011年05月13日

ウェスタディアの双星  真逆の英雄登場の章

ウェスタディアの双星―真逆の英雄登場の章 (電撃文庫) [文庫] / 小河 正岳 (著); 津...
ウェスタディアの双星―真逆の英雄登場の章 (電撃文庫) [文庫] / 小河 正岳 (著); 津雪 (イラスト); メディアワークス (刊) bk1はこちら

弱小国家を支えてきた徳王を亡くしたウェスタディア王国でのお話。太子を始めとして偉い人たちが皆、衰運確かな国を見捨てて亡命してしまった中、先王から気に入られ後事を託された客将チェザーリはルリシア内親王を盛りたてていくこととなった。ところが、彼女が王位を継いで間もなく、動揺絶えないウェスタディアを狙って隣国が侵攻してきて――という感じのお話。

これはスペースオペラに分類されるのだろうか。スペオペというものはSFを彷彿とさせるものがあって苦手意識があったりしたのですが、読んでみるとなかなか面白い。感じた限りだと普段よく読むファンタジー戦記との違いは、宇宙での戦いというものは平面的にではなく空間的に陣取って戦うものだということくらいでしょうか。宇宙船に乗って戦うなんて感じではあるんでしょうけど、細かいところでは変わりなかった印象。これなら食わず嫌いせずにもっとスペオペに手を出してみるもいいのかもと思ったり。まあえてしてこのジャンルは読みたいと思う話自体が少ないというのもありますが。

閑話休題。いくら小国家とはいえ、それまで問題なくやれていたのが国王を亡くした途端に将来を悲観して亡命者続出って、それはいくらなんでも非道すぎるぜ、この家臣たち。などと、つっこみを入れたくなるような出だしではあったものの、そこからはまずまずの展開。つーかですね、その後の展開はどう見てもチェザーリによる専横でしょう、これは。太子が逃げてしまった後の後継者選びからして、外戚をのさばらせたくないから先王の血族の男子は問題外っていうのは理屈として納得してもらえないでしょうよ。要は早い者勝ちで即位させた形。先例のない女王即位に加えて肝心のルリシア内親王は修道院で育ちのため政治のことなどまるでわからず。少しずつ帝王学を学んでもらっているとはいえ、当分はチェザーリが実権を握ることになるんですよね。しかも主だった貴族は逃げたか滅びゆく国家の重職なんて願い下げなんて連中ばかりなのであって。こうしてやすやすとチェザーリがやりたい放題できる状況が誕生したのであったという。100%善意からの行動とはいえ、非常時にこれ幸いとばかりに自分本位の体制を築き上げてしまうとは、なかなかあくどい男やなチェザーリ。しかも国王崩御後の事態を掴んでからとんとん拍子でそこまで仕立て上げるとは、鮮やかなものだ。

それと、今回の戦にて大活躍の書記官さんも相当やりますな。コツコツと数年かけたシミュレートの結果なんでしょうけど、敵将の思考すらトレースして策を立てれるって、敵将完全に子供扱いですがな。政治方面でも応用できそうですけど、そちらの要職の席は埋まっているようですし、やはり軍で頭角を現していくことになるんでしょうね。バドエルともども一見頼りなさそうな外見でありながらも抜群の成果を出してしまうものだから侮れない。

今回はなんとか凌げたものの、先王の死をきっかけに崩れ出した均衡はこの程度では元に戻ってくれない様子。だんだん話が広がってきたところで続きが楽しみです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 07:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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