2011年05月09日

白と黒のバイレ  黒き、呪いの舞台にて

白と黒のバイレ 黒き、呪いの舞台にて (角川ビーンズ文庫) [文庫] / 瑞山 いつき (著)...
白と黒のバイレ 黒き、呪いの舞台にて (角川ビーンズ文庫) [文庫] / 瑞山 いつき (著); 結川 カズノ (イラスト); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊) bk1はこちら

解呪の方法を探ってフラマ王国内の禁書を調べて回るブランカ姫一行。そんなとき、ブランカの代わりにフラマ王国王太子のロベルトに嫁ぐために入国していた妹のレオノーラが病気で倒れたという情報を耳にする。心配しつつも禁書の調査を優先させようとしていた一行だが、魔王マルディシオンの肉体がロベルトの居城にあるらしいと判明し――という感じのお話。

面白くなってまいりました。黒幕の正体は既にはっきりしていながらも、暗雲立ち込めるような感じで終わったためにこのまま引っ張っていくのかと思いきや、躊躇なくサクサクと進めてきました。なのでこれといったお膳立てもなく黒幕が小物っぽく見えてしまうのは否めないのですが、ノンストップの進行はテンポの良さを感じさせます。そしてあっさりと事態は次のステージへ。で、これがとてもいい。正直、前巻から続く陰謀劇とか霞んでしまうくらいの盛り上がり。うおお、やはりこのシリーズは陰謀劇なんかより魔術士方面の展開で魅せてくれるんですね。この盛り上がりはよかった。今読んでる数少ない少女系レーベルのライトノベルの中ではこのシリーズが一番面白い。今後の展開に目が離せません。

この巻でよかったのは何を置いてもレオノーラ! 王家始まって以来の才を謳われる姉姫ブランカと事あるごとに比較されながらもそれを気にした素振りなど一切見せずにブランカを慕ってやまなかった彼女の心が壊れてしまう瞬間はたまらなかった。劣等感を抱えながらも必死に押しとどめてきた心が、姉姫の代わりということを意識せずにはいられずとも期待を抱えながらやってきたフラマ王国で無残にも踏みにじられ、ついには決壊してしまった瞬間のなんとゾクゾクしたことか。そして、ロベルトの陰謀に加担したと知ってもなお自分のことを信じ気遣ってくれる姉姫に劣等感を刺激され、溢れ出る醜い心、言葉のなんと甘美に響くことか。素晴らしい。彼女自身自覚はしてなかったのだろうが、そうと鬱屈とした感情を抱え込んでたんだろうな。いじけたりしなかったのは、空元気を出してでも気にしてないふりをしないとやってられなかったがゆえの習慣だろうか。慕っていたからこそ、奥底に眠るドロドロとした感情が抱える闇は深い。この表裏一体の愛憎は、この事件を経てどう決着がつけられるんだろう。楽しみで仕方がない。そういえば、表紙のブランカの色香もなかなかのものですが、見開き挿絵のレオノーラはさらにその上を言っていたと思います。うん、あれはあいつが煩悩に負けたとしても頷けるしっとりと儚げな色気漂ういいイラストでした。

そして胡散臭い雰囲気がよく似合うリリアナの婚約者トマス。飄々として本心を見せてくれないものだからつかみどころのない人ではあるけど、リリアナのことを愛しているという言葉本当だと思う。ただ、リリアナへの愛が一番じゃないというか、それだけがすべてじゃないというか。商人らしく利益を得るための様々な行動も重視していて、それらすべてを優先順位として並列上に並べてるような印象を受ける。リリアナと愛し合うこと、新たな商いのパイプを作ること、商品を得意先に運ぶこと、商売相手の信を得ることなどなど。それらを同時に目標とし、その成否すらも楽しんでいるような印象を受ける。もちろん商売事に関してはいっとうシビアに取り組んでいるんだろうけども、失敗したならそれもよしという雰囲気が窺える。それは既にある程度の地位を築いているものの余裕か、それとも商売人特有の強かさゆえか。いずれにせよ面白い人ではある。しょっちゅう殴り倒されたりしてうまくいっていないようにも見えるリリアナとの仲も、あれはあれでイチャイチャしてるようにも見えるんですよね。なんだかんだでお似合いなんでしょう。いつまでたってもぐずぐずと理由をつけてリリアナをブランカにとられっぱなしになる可能性もなきにしもあらずですがw

ロベルト殿下については、まあ確かに覇気のある方ではいらっしゃいましたが、戦乱の気配の見えぬ世界に要らぬ騒乱を持ち込もうとするのは迷惑極まりないですねと。とはいえそこは才気溢れる一国の王太子。事前にその野心をくい止めるにはブランカのとろうとした選択が一番手っ取り早いところなんでしょうね。こうして振り返ってみても、強敵となりうる素質を秘めていただけによくもまあ思い切って切り捨てたものですよね。とはいっても、さすがに息の長い戦記にでもならないと活躍は難しかったでしょうか。

そして、マルディシオンの扱いが・・・。ギリギリ人って…、まあ人間離れした実力の魔術師ではありますが、なんだか魔王というよりも駄犬っていう扱いになってきた気が。それでいいのか魔王? 個人的には駄犬かわいいよ駄犬というところですがw

サブタイトル的に次が一つの区切りとなるのでしょうか。どう決着がつくのか楽しみです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 07:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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