2011年04月25日

月光

月光 (電撃文庫) [文庫] / 間宮 夏生 (著); 白味噌 (イラスト); アスキーメディ...
月光 (電撃文庫) [文庫] / 間宮 夏生 (著); 白味噌 (イラスト); アスキーメディアワークス (刊) bk1はこちら

日常に退屈さを感じる少年・野々宮はある日、美人で成績優秀で何かと噂の絶えないクラスメート・月森葉子の落し物であるノートを拾うのだが、そこには「殺しのレシピ」と書かれたメモが挟まれていた。そしてその数日後、彼女の父親が事故で亡くなってしまう。彼女のことを怪しむ野々宮だが、数日後登校してきた彼女はなんと野々宮に告白してきて――という感じのお話。

やっばい! めちゃくちゃ面白かった!!
もうね、この月森さんを疑ってかかる野々宮と、野々宮を秘密の共有者して引き込んでしまおうとするかのように見える月森さんによる、互いの腹を探り合うかのような掛け合いにニヤニヤしてしまってニヤニヤしてしまって仕方がないの!
電車の中で読もうとしてたんだけど、これはムリ。ニヤニヤしすぎて変質者にしか見えなくなっちゃう。
表面上は付き合ってるようなもんだからカップルみたいにも見えるんだけど、でもいちゃいちゃしてるような会話の裏で巧妙な駆け引きがなされてる様子がもうたまらなく面白い。

作中冒頭でワインにたとえられた月森さんとオレンジジュースにたとえられた宇佐美。宇佐美の出番はかなり少ないので月森さん派が多くなるのも仕方ないと思いますが、宇佐美も宇佐美で月森さんさえいなければかなり人気が出てもおかしくないと思うんですよね。好きな人に対するアピールの仕方とか、とても素直でいい子っぽいし。勢い任せで行動して後で思いっきり後悔してしまうところなんかもすごく高校生らしい。年相応の魅力ってやつでしょうか。でも体当たりでぶつかって傷つきながらも日々過ごしてる様子を見ると、大人になってもまた年相応の「いい女」になってるんだろうなと思わせる将来性もあるように思うんですよね。ただいかんせん、このクラスでは月森さんが圧倒的過ぎた。月森さんの魅力はまさに大人の味わい。ちょっと背伸びしたがる高校生のお年頃ならそっちにばかり目が行ってしまうのも仕方がないのかも。

月森さんの完璧さは震えがきてしまうほどのもの。彼女に目を付けられたらそれはもうイチコロですよ。今回の件もまさに完全犯罪。そうと気付かれてる時点で違うじゃんとも言えるけど、気付かれてもなお抜け出せない魔性の力によってなされたという意味でこれは立派な完全犯罪だと言い張りたい。そういえば、なにやらあらすじなどからミステリーを期待する人がいるみたいですが、ストーリー的にはミステリーではないですよね。私もついさっきミステリーっぽい言葉を使いましたが、真相に意味のない事件の謎を解くことを、果たしてミステリーと呼べるのかと。まあそれはさておき、ラストまで読んだら月森さんの魅力にやられること間違いなし。ラストシーンのあの衝撃は半端なかったですから。そしてポロっと漏れ出た素顔がたまらなく愛おしいの。あんなの見せられたらぞっこんになっちゃうしかないじゃないですか。大好きだー!

あとは刑事の虎南もすごく面白いキャラですたね。正直そのネーミングはどうよと思わなくもないですが、そこは置いといて。軽薄そのものな言動をとっていた彼が、後半見せるその本性。その豹変ぶりがめちゃくちゃよかったんですね。初期の『魔人探偵脳噛ネウロ』の犯人役を彷彿とさせる豹変ぶり。お前犯人じゃないだろっていうのにねw そういう意味ではこれ、ネウロみたいな似非ミステリーっていう認識でもあながち間違ってないんじゃなかろうか。大好きなんですよね、似非ミステリー。

それにしても、ホントやばかった。これで最終選考? 全部読んだわけではないですが、読んだ中ではこの年の電撃新人作品としては他をぶっちぎって一番面白かったですよ。というか、この年の刊行作の中でもトップクラスの面白さ。次回作はまた別の話らしいですが、絶対読みますよ。こんな面白いものを読ませてもらったら追いかけていくしかないじゃないですか。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 20:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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