2011年04月23日

墜落世界のハイダイバー

墜落世界のハイダイバー (角川スニーカー文庫) [文庫] / 六塚 光 (著); オサム (イ...
墜落世界のハイダイバー (角川スニーカー文庫) [文庫] / 六塚 光 (著); オサム (イラスト); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊) bk1はこちら

幼なじみ二人とともに突然、異世界イセス・メリアへと召喚されてしまった要。そこは引力を操り自在に空を堕ちる引導士(ハイダイバー)たちが活躍する世界だった。神護と可憐と離れ離れになってしまった要は、引導士の少女アッシュとともに彼らを探すことになったのだが――という感じのお話。

異世界であるならば、元の世界と価値観が同じでなければならないということはない。むしろ、異なる概念を持つ世界では異なる価値観が存在していてしかるべきというもの。イセス・メリアという世界において最も特徴的なのは引導術の存在。浮島に住まう人々にとってとても重要な役割を果たすものであるだけに、その引導術に長けたハイクラスの引導士は皆から尊敬される人物となりうるという。しかし、女性については胸の大きさがそのまま引導士の能力を表すものであるそうで、すなわち巨乳至上な世界であるというわけです(巨乳な女性にはサイコーな世界)。けれど、裏を返せば引導術の素質に恵まれない人は蔑まれる世界というわけで、貧乳女性は奴隷的な待遇を受けているという。おっぱいカーストというつっこみが実に的確な世界なのであったと。なんという清々しいほどに割り切った世界設定を作り上げてしまうんだ、この作者は。こういう自重しないで突き抜けた作品は好きですよ。いいぞ、もっとやれ!

そしてもう一つの特徴。それはこの世界が現在争いの真っただ中にあるということ。すなわち人が簡単に殺されていくということ。人の死にさしたる感慨も抱かない世界であるということ。要や神護たちはそのことにうろたえっぱなしではあるけども、この世界に長くいたらそのうち慣れてしまうんだろうか。神護はすでにその気が見られつつあるのでちょっと不安。イセス・メリアの常識に慣れるということは、日本の常識から離れてしまうということ。それはつまり将来帰る方法が見つかってもイセス・メリアに残らざるを得ないことに繋がりかねないですから。

戦乱が起きている原因としては例のおっぱいカーストの原因となっている宗教がらみのこともあるそうですが、さすがにそんな制度が長年続いているというのはちょっと考えにくいので、絶対的な位置を占めた宗教が退廃期を迎えて一部の過激な意見を持つ人々が主流派を占めてしまった結果、くらいに考えておくのがいいんでしょうか。あんまり深く考えるだけ無駄なのかもしれませんが。まあ世界情勢のことは今回まだほとんど触れられてないので追々明らかにされていくのを待とうかと。

それと、要たちがまだイセス・メリアに来たばかりというのもあるのかもしれませんが、この世界における正義というものがよくわからない。今回はアッシュとアリメルドが何やら争っていて、主にアッシュ側の視点で話が展開されるので一見アッシュが正しいようにも見えるんですが、今のところ窺えるアッシュの復讐の動機はただの個人的な恨みに過ぎないし、アリメルドの言い分の方が尤もではある。どうやらアッシュはとある人物の依頼で行動しているようなのだけど、判断材料となる情報をあまり明かしてくれていないためにアッシュが正しいとはとても言いきれないんですよね。かといってアリメルドも言い分は尤もなんだけどまだ隠してることがありそうで、こちらも信用ならないキャラであって。つまるところ、現状は善悪定かならぬ状況なわけですよね。まあ要たちは突然召喚された異世界で生きることに精一杯でそんなことまで気を回す余裕なんてないみたいですけど、もしかしたらいつのまにか抜き差しならない状況に追い詰められてるって展開もありうるだけにもう少し周囲の情報に気を回してほしいところ。

いずれにせよ、今回はまだまだキャラの顔見せっぽい感じに終始してたので、次回から本格的に動いていくんでしょうかね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 04:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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