2011年04月11日

おやすみ魔獣少女  暗黒少女の《領域》

おやすみ魔獣少女 暗黒女神の《領域》 (角川スニーカー文庫) [文庫] / 川人 忠明 (著...
おやすみ魔獣少女  暗黒女神の《領域》 (角川スニーカー文庫) [文庫] / 川人 忠明 (著); 紺野 賢護 (イラスト); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊) bk1はこちら

貧しい山村に暮らす少女エストは猟のために出掛けていたところを皇都アズュールから来たというスハイツとミビに連れ去られてしまう。突然の事態に混乱するエストだが、わけもわからぬまま親皇家当主の座を継ぐことを迫られ、さらには身の内に魔獣を飼う領域魔術師となって血生臭い戦場に赴くことになり――という感じのお話。

戦う少女は美しい。それについてはおおいに同意したいところ。しかも身の内に醜い化け物を飼い、血生臭い戦場で戦うとなればその美醜の対比はどれほど艶やかなものになるかと期待してみたのですが・・・。ううむ、なんというか美醜を際立たせるための描写がいまいちインパクトに欠けるんですよね。美については大皇ガラクアの登場シーンなんかが、このキャラの持ち合わせる圧倒的なオーラと合わせてそれはもう女神のような美しさを思わせるものがあったのですが、それを際立たせるための肝心な醜の方でそれほど印象的なシーンが無かったせいでしょうか、それほど鮮烈な印象を与えてはくれなかったのが残念なところ。救おうとしても救えず無残に散っていった命や、おぞましい魔獣に体を内から貪り食われるような恐怖など、確かにそれっぽい描写はあるんですけど、もうちょっとエグイというか気分が悪くなってきそうなくらいの醜さがほしかったですね。

エストにとってみれば今回はなんの覚悟もできてないところでいきなり過酷な戦場に放り出されて散々な目に遭ったわけですけど、どうもこの件はスハイツの思惑に沿って進められてたみたいですし、エスト視点では理不尽な扱いを受けるのもむべなるかなと。終盤明らかにされるように、これはスハイツにとっての仇討ちの戦。エストはそのための駒でしかなかったと。敵を討てたことで最終的にはエストと信頼関係を築いていくことにしたようですけど、中盤くらいまでは明らかに利用するだけの腹づもりだったとしか思えない。それでもスハイツ自身が優れた戦術的な能力を持っているならまだあそこまで追い詰められた末での辛勝にはならなかったと思うんですけど、いかんせん大切な人の死に平静を失っていたか自分一人だけで真王国軍を相手取っているかのような感覚に陥ってしまってたみたいなんですね。その結果として同じく仇討ちに燃えるミビや勝利の要であるエストにすら作戦の徹底を怠り、一度はそのために勝手な行動をとったエストのせいで作戦が台無しになってしまうという体たらく。こいつに指揮をとらせてしまったのがそもそもの間違いなんじゃないかと思えたりもしてしまいますが、まあそこはそれ、結果オーライというやつでしょうか。エストに相当な無茶をさせた代わりに一応目的は果たせたわけですし。とはいえ、次の戦こそが真に将才の問われる時。さすがに次もやらかしたら擁護しきれません。

ロシエッタさんは真王への忠誠心篤く、戦いにおいても礼儀正しく、それでいて自称箱入りらしくどこか抜けてるところもあってと、なかなか好感の持てるキャラだと思ってただけに、いきなり退場してしまったのは寂しいなあ。けど、この人にあそこまでの忠義を寄せられる真王がどんな人物なのかというのが気にはなりますね。

あと、この絵師さんの絵はすごくいいですね。繊細さと可愛らしさが同居しているというか。そうかと思えばカラーのロシエッタとガラクアの絵なんかはダークな雰囲気が出ててすごくそれっぽいし。イラスト買いしたようなところがあったんですが改めて眺めてみても満足満足。ちょっと可愛らしさが勝ちすぎてるきらいはありますが、イラストとしては美醜の対比は結構いい感じに思えますね。あとは文章の方でもそこがなんとかなれば…。


posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 08:21| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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