2011年04月07日

いつも心に剣を @

いつも心に剣を 1 (MF文庫J し 5-1) [文庫] / 十文字 青 (著); kaya8...
いつも心に剣を 1 (MF文庫J し 5-1) [文庫] / 十文字 青 (著); kaya8 (イラスト); メディアファクトリー (刊) bk1はこちら

兄妹同然に育ったレーレとユユは家を飛び出し旅を続けていた。ある時、二人はいわくありげな指輪を拾うのだが、のちにそれが魔女の婚約指輪であると判明し魔女裁判にかけられてしまい――という感じのお話。

ラノサイ杯の結果を見て読んでみました。

これはよかった。文章は一文一文が短いことが特徴的。その短い文からユユやレーレの心情がダイレクトに伝わってくる。特に切羽詰まった状況で一言一言で切れたりするところは、焦ってる感じなどがよく伝わってきたしリズム感もとてもよかった。これもまた文体の妙ですね。

レーレは育ちのせいもあるけどユユに全く頭が上がらず、というより考えるのは全部ユユに任せちゃってる感じで「バカなレーレ!」ってユユのセリフがとてもしっくりくる木偶の坊っぷり。離れ離れになってしまうとユユのことしか考えられなくなってしまうところなんかは非常に依存的でもあったり。けれど、そんなレーレの視点で語られる物語は儚い関係の中でどこまでも相手を想い焦がれ求める強烈な気持ちが伝わってきて、いつの間にかレーレに自分を重ね合わせてユユのことを心配したり不条理に憤る自分がいたりとすごく臨場感がありました。ラストでは感動のあまり一緒に涙流しそうになるくらい。レーレの抱く心情は子供のような幼いものではあるんだけど、だからこそ心を揺さぶるものがあるんだと思います。

それに対するユユも、レーレには常日頃から理不尽な言動をとったりするんだけど、レーレと引き離されたシーンで吐露された内心から実はそれも想いの裏返しだったんだなと気付かされると、その後はその言動の一つ一つが微笑ましく、愛おしい。失ってから初めて気付くなんていかにもありふれたきっかけなんだけど、自分がいなきゃだめだと思ってた奴に実は自分も依存してたなんてのは、なんともいじらしい関係じゃないですか。共依存というのでしょうか、いいものですね。ユユが「バカなレーレ!」なんて言ってるカラーイラストも、最後まで読んでから見直すとそれだけで胸がいっぱいになってしまいますね。

レーレとユユの関係は二人だけで完結していて他人という存在は邪魔でしかないけれど、魔女の婚約指輪を拾ったことで好むと好まざるとに関わらず魔女狩りや本物の魔女たちによって脅かされることを運命づけられてしまっているようですね。人間社会そのものから疎外されるような形になってしまった状況で、風前の灯火のような儚い子供である彼らはいったいどう翻弄されていくことになってしまうのか。期待できそうなシリーズですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 04:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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