2011年04月06日

ダブルブリッド

ダブルブリッド (電撃文庫) [文庫] / 中村 恵里加 (著); 藤倉 和音 (イラスト);...
ダブルブリッド (電撃文庫) [文庫] / 中村 恵里加 (著); 藤倉 和音 (イラスト); メディアワークス (刊) bk1はこちら
 特異遺伝子保持生物――通称“怪”の血を受け継ぐ少女、片倉優樹はその力と銀髪から「白髪頭」と呼ばれ怖れられていた。
 ある日、特殊部隊『EAT』へ協力中、優樹は1人の人間の青年と出会う。青年の名は山崎太一朗。『EAT』の一員である太一郎の直情的な言動に最初は不安感を覚える優樹であったが、徐々に彼の飾らない性格に好意を抱くようになる。
 一方、片倉優樹を付け狙う甲種“怪”が1人。その人物、3年前殺人鬼として日本を騒がせた高橋幸児と優樹とは浅からぬ因縁があった……。
 第六回電撃ゲーム小説大賞〈金賞〉受賞のホラーファンタジー、登場!!!

「この作品の根底にあるのは愛」――まさしくですね。“怪”の血を引く女性と人間の青年の出会い。当初は人ならざるものである優樹を快く思っていなかった太一郎が、警視庁の捜査第六課という同じ職場で働くうちに互いに敬意を払うようになり、強い絆を感じるまでになるというように気持ちが移り変わっていく展開は見事というほかない。種族の壁を越えて通じ合うのはまさに愛のなせる技ですよ。作者が恥ずかしさでのたうち回ろうがこれは譲れませんね。優樹の真の姿を目の当たりにしても恐れずかつての通り優樹に接する太一郎の姿には優樹ならずとも驚きと感動を覚えずにはいられませんでした。一度こうと決めた思いを曲げようとしない太一郎の気性は、初めこそ自身の信念に酔っているようで嫌悪感すら抱いてしまうほどだったのですが、“怪”という異なる存在と交流を持ったことで程良く丸くなったのか、ラストではとても頼りがいのある人と思えるまでになっていたのは感慨深い。めったなことでは決めたことを放棄しない人であるだけに、優樹にとってはこの上ない心の支えとなるんだろうな。できればこのまま人と“怪”が共存できるんだというところを見せつけてほしいんですけど、そこかしこで見かけた評判だとそうはいかないのでしょうか。なるべく評判のことは忘れて読むようにしてますけど、このラストからシリーズを読み進めるのはこわくもあり・・・。

横田のマッドサイエンティストぶりはなかなかによかったですね。国家機関でもある研究所の所長でありながら、研究のために国を裏切ることに何のためらいも感じていないというのは、話の雰囲気が現実的であるだけによけいにその異常性が際立ってました。しかも自分が殺されそうになっても決して命乞いなどせず常軌を逸した研究者としての正体を失わないというのは敵役として非常によかった。そのどこまでもぶれない狂いっぷりは清々しかったですね。いかんせん一研究者であるだけに一対一の戦闘になるとまともに相手にならないというのが惜しくはありましたが、戦闘訓練を積んでいない人間が“怪”に対抗しうるのはこの辺りが限界なのでしょうね。そういう意味では見事な戦いぶりだったと言うこともできるのかも。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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