2011年04月01日

ある秋の卒業式と、あるいは空を見上げるアネモイと。

ある秋の卒業式と、あるいは空を見上げるアネモイと。 (一迅社文庫) [文庫] / 朱門 優 (...
ある秋の卒業式と、あるいは空を見上げるアネモイと。 (一迅社文庫) [文庫] / 朱門 優 (著); 鍋島 テツヒロ (イラスト); 一迅社 (刊) bk1はこちら

シリーズ第2巻。ひと夏の「お見合い」を通して特別な関係になった輪といちこ。次の季節は秋。二人はいちこの祖母に言われて川毎町を訪れる。従姉妹の黄と草との数年ぶりの再会を楽しむ二人だったが、町では不思議な出来事を起きていて――という感じのお話。

まさか続きが出るとは思っていなかったので嬉しい続編刊行。綺麗に終わった前回と比べると今回は物語を続ける余地を十分に残した終わり方なので、このまま3巻も期待したいところ。

それにしても今回もまた不思議な雰囲気の話でしたね。当たり前のように神さまと触れ合うストーリーは伝奇っぽいと言えなくもない。けれどこの話に出てくる神様と人は互いに尽くし尽くされる関係であり、その関係はどこまでも互いを慈しむ優しさから成り立っていて、だからこそ幻想的な印象を受ける。とはいえ、どこまでも不思議な優しさに溢れた話ではありました。そしてその不思議な優しさを生み出しているのはおそらく作者独特の言葉の遣い方ではないでしょうか。一種のことば遊びのようでもありますが、ここぞという場面で絶妙な意味合いを見せるその言の葉たちは、より深く心に沁みこんできてより鮮明な印象を与えてくれる。あとから思えばストーリーとしてはそれほど盛り上がりはなかったような気がするのだけど、それでも心動かされる素晴らしい話だったと感じさせられる。じんわりと暖かい読後感を残していってくれる。言葉の力というものを思い知らされます。なんとなくわかったような気になってるだけなのかもしれないけど、たぶんそれでいいんだと思う。不思議な言の葉たちが生みだす幻想的な世界にただただ魅了されていればいい。酩酊してしまえばいい。たぶんそんなお話。

前の巻を読んでから間が空いてたのでそれほど気にならなかったんですけど、実はいちこさん結構キャラ変わってますよね。女の子らしくなったというか。ペットとご主人様的な上下関係が顕著に見えた輪との関係も、いくぶんかその頃の面影も残してはいるもののすっかり恋人っぽくなってて。貞淑なパートナーらしさまで感じさせるその雰囲気はしっかり者の奥さんのようじゃないかと思わせるところも。まあそんな印象抱いてしまうのは黄さんがどんどん危ない攻勢をかけてきたせいであったように思いますが。黄さんは本当に面白い人ですね。「失楽園」にはこの巻の最後の印象を全部持っていかれてしまった感があります。というか、真人間(というと語弊がある気もしますが)としての人生を歩みだした輪くんいきなりピンチに陥ってますね。そんな堕落光線むんむんの黄さんとしっかり者のいちこさんに囲まれた輪くんの明日はどっちだ。待て次回。

夏、秋と来たので次は冬になるのでしょうか。ともかく気長に待たせていただきます。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。