2011年03月23日

東京皇帝☆北条恋歌 3

東京皇帝☆北条恋歌 3 (角川スニーカー文庫) [文庫] / 竹井 10日 (著); 要河 オ...
東京皇帝☆北条恋歌 3 (角川スニーカー文庫) [文庫] / 竹井 10日 (著); 要河 オルカ (イラスト); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊) bk1はこちら

シリーズ第3巻。一斗と恋歌のキスシーンを来栖が見てしまったことから、恋歌と来栖の仲はぎくしゃくしてしまっていた。周囲は気をもみつつも何もできないまま臨海学校に行くことになり――という感じのお話。

なん・・・だと・・・。このラストはまるで予想してなかった。むしろ誰がこんな展開予想できるというのか。予想の斜め上とかそんなものじゃないですよ、これは。唐突に超展開寸前のぶっ飛んだ方向に話が転がり出しましたよ。この作者は天才か? 突然の転機にこちらの心まで鷲掴みにされてそのまま連れ去れてしまいましたよ。半端ない衝撃。これが放心というものか。ああ、こいつはとんでもない。

これまでとは打って変わって険悪なムード漂うシリアスな空気で話が進んでいくんだけど、それをそこまで感じさせないのはさすが。ドロドロしてるんだけどちょくちょく挟まれるコメディなタッチがそれを緩和させて、というよりシリアスクラッシャーとしての役割を果たしててうまく深刻にならない程度に着地させてる感じがたまらなく面白い。このギャグを挟むペースも、くどくならないぎりぎりなラインで絶妙に収まってるんですよね。怪作っぽくもなってきましたけど、でもこの作者ならまだまだとんでもないものを見せてくれるだろうと思えてしまって、わくわくする心を抑えきれません。

今回一番笑わせてもらったのは四菜ですね。なまじ気配りのできる常識人でもあるだけに国家のトップ2による三角関係に心悩ます羽目になってしまい・・・と、これはもうストレスで胃に穴が空きそうなものですよね。しかも周りは持ち前の天然さを活かしてボケ倒すキャラばかりなのでろくに頼れる相手もおらず、一人でうがーと頭抱えてる姿からはツッコミとしての立ち位置に回ってしまったキャラの悲哀が・・・。笑っちゃいけないような気はするんですけど、それでもクスクス笑いが止まりませんでした。ゆかり子さんがもっと頼れる人ならこうもならなかったんでしょうけど、いかんせん恋愛事については彼女も初恋中の恋する乙女だから点でお話にならないんですよね。というより、ゆかり子さんが上手くフォローしてできたらもしかしてここまで事態は深刻にならなかったのではないかとも思えるわけで。アイドルとしても売り出し中とはいえ、やっぱ一軍人の四菜だけで取り持つには荷が重すぎたんですよ、VIPな少女二人の恋の諍いは。

夕鶴が空気化してたのはちょっと残念だったかも。ほとんど「なにこれこわい」くらいしか記憶に残ってないんですが・・・。この子は最初から一斗に対する好感度がメーター振り切れてる上に、隙あらば手段なんて選ばず、むしろ常識外れの手段意外一切考慮してないんじゃないかと思うほどの手で一斗に迫ってくるような子なので、恋歌・来栖の二人でさえ手に負えなくなってるときに乱入されたら収集つかなくなりそうなものですが。だけどそれなりの存在感も発揮してほしいところ。なんだかんだで一斗に対して一番熱烈に想いを伝えてきてるのはこの子なわけですし、いずれただのギャグ要員ではないところを見せてほしいなとも思ったり。

恋歌と来栖の二人が冷戦状態に突入してしまったのは、一斗が態度をはっきりさせなかったのが悪いと言ってしまえばそれまでなんですけど、それでも一斗はしっかり来栖を愛そうとしていたわけで。恋歌にも恋心を抱いていることを自覚してうじうじ悩んではいたけども、いずれはっきりとその答えを出せそうな奴ではあったんですよね。かつて劣等感ばかり抱いていたのが今ではそれを感じつつも周囲の美展に素直に敬意を向けれるようになってきているように、揺れる恋心にも時間さえかければきっちり向き合うことはできたはずなんですよ。その暇を与えてもらえなかったのは、危機感を抱いた来栖の焦りのせいですね。一斗を失うかもしれない。それも親友に奪われてしまうかもしれない。恋歌が和人に告げようとしていた想いは、おそらく婚約者というアドバンテージをもつ来栖に対抗して少しでもその差を縮めるため。けれどそれは決して一斗と恋歌によるゴールインと同義ではないんですよ。正々堂々たる宣戦布告の意図しかもたず、その後はまた皆と過ごすうちに時間をかけて一斗に決めてもらうつもりだったはずなんですよ。来栖に対して相対的に不利な状況にある恋歌がとりうる手段としてはこれしかないと思えるほどド直球な正攻法だったわけですけど、来栖にはそうして恋歌が自分のことを猛追してくる未来を想像してしまいその恐怖から逃れられなくなってしまったんだろうな。なまじ恋歌以上に一斗との心の距離が近いだけに一斗の心が揺れ出したのがわかってしまった。そして婚約者という関係がいずれ下されるであろう一斗本人の決断の前にはどれほど脆いものであるかということにも気付いてしまった。一斗が自分のことを本気で心の底から愛してくれているわけでもないこともおそらく知っていただけに、あとから現れた恋歌に一斗を取られてしまうかもしれないというとてつもない恐怖と戦っていくよりは、まず確実に一斗を自分のものにしておかなければならないと思ってしまった。冷酷宰相として名をなしてはいながらも一人の少女として傷つくことを恐れる臆病な心も持ち合わせていることを思えば、来栖の決断も拙速ではあったけど無理はないわけで。いやはやなかなか皆ハッピーにとはいかないものですね。

しかし、こうなってしまと二人の関係は今後どうなってしまうんだろうかと危惧せずにはいられない。それぞれ皇帝と宰相という立場なわけだけど、政治とかどうでもよくなってきちゃいそうな展開ではありますよね。そしてそれ以上に、仲の良い親友だった二人の仲が修復される日は来るのかな。ゆかり子も含めてかなり息の合ったトリオでもあっただけに、いがみ合う姿を見てるのは寂しいものがあります。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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