2011年03月22日

とある飛空士への恋歌 2

とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫) [文庫] / 犬村 小六 (著); 森沢 晴行 (イ...
とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫) [文庫] / 犬村 小六 (著); 森沢 晴行 (イラスト); 小学館 (刊) bk1はこちら

シリーズ第2巻。イスラでの生活を始めたカルエル達。寮や学校での生活を通してクラスメートとの親交を深めていく。そんな中でカルエルはクレアとも仲良くなっていく――という感じのお話。

この巻までは和気藹藹、仲間たちとの楽しい交流の日々という感じのお話のようで、シリアスな場面は特になく平凡ながらも穏やかな学園パートという印象。カルエルとアリエルは時々喧嘩したりもしてるんだけど、それさえも喧嘩するほど仲がいいという言葉がピッタリな様子で、むしろ知り合いもほとんどおらず緊張しているクラスメートたちの中でいつも変らぬペースで振る舞うことで自分たちのペースに巻き込んでしまっている。この二人にとってはきっとそれまでと変わらないことだったんだろうけど、慣れない新生活の場でもマイペースで過ごしている奴らがいれば落ち着かないでいる周囲の人間も安心できたりなんだなんだと関わりたくなって自然と友達の輪が出来上がる。意識はしてなくてもこの二人、周囲をグイグイ引っ張ってくタイプの人間なんだろうな。前回でもそこまで描かれてたわけじゃなかったけど、もともとアルバス一家って元気がありあまってる人ばかりだったし、あんな中で育てば自然と物怖じしない性格になるものなのかも。

驚異的な中毒性を発揮して幾多の人々を虜にしているアリエルの料理とは一体どんな味なのか・・・気になる。ノリアキのコメントは明らかに大げさだとは思うけど、あれほどべた褒めな表現を見るとぜひとも体感してみたいと思わないではいられませんね。

少年少女ばかりではなく、大人たちにも面白いキャラが何人か。
ルイス提督のキザったらしい言動にはいちいち噴き出しそうになってしまうんですが、ルックス的にこれが憎らしいほど様になってるから笑ってばかりもいられない。その上、今は何の役にも立てないクレアに期待をかけたり彼女のことを気遣う態度もしっかり見せているんだから、性格的には軽そうなんだけどなかなかいい人なんだろうな。昔は結構な浮名を流していたというからそのくらいの配慮は朝飯前なのかもだけど。
それに対してバンデラス先生が無駄に濃いダンディズムを漂わせててパッと見けっこう頼れる人っぽい雰囲気なのに三枚目キャラとして定着しつつあるのは対照的なところでしょうか。登場するたび何かドジというかお茶目というかをやらかしてる気がするんですが、この人が先生で大丈夫なのでしょうか。というより、バンデラス先生はカルエル達に何を教えてるんだろう。授業風景もちょっと見てみたいかも。

寮に誘ったり一緒に訓練をしたりして、カルエルとクレアもそれなりに仲良くなってきたみたいですが、その一方で二人の間に隠然として横たわる決定的な溝が露呈しつつあって、今はまだ憶測にすぎないそれがいつ確信に変わってしまうのかと思うと胸が苦しくなってきますね。しかもクレアがそうではないことを願ってやまないでいるというのに、そんなこととは露とも知らないカルエルがクレアと互いの秘密を話し合えることに浮かれてかペラペラと喋り出してしまうものだから、読みながらハラハラするししまいには殴りとばしてやりたくなってくる。決定的なことには触れてないんだけど、それまでに出てきた断片的な情報が結びついて徐々に真実に近づいてしまうのだから、偶然とはいえやるせない気持ちにもなりますね。この巻までのような平穏な日々が崩れ去ってしまうのは恐いけど、でもこの二人なら、このイスラの人々ならば乗り切っていけるのだろうか。確信が持てるだけの要素がないだけに間近に迫りつつあるそのときが恐いです。

次からはいよいよ空戦も始まるようなので結構な急展開になりそうな予感。ここまで築き上げ貯めこまれてきたものが一気に動き出す時が来るんだろうな。イスラで新生活を始めた面々にとってはこの巻こそが期待と不安の入り混じったスタートだったんでしょうけど、読者的には次回こそが期待と不安に満ちた転機になりそうですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 22:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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