2011年03月08日

神と奴隷の誕生構文

神と奴隷の誕生構文(シンタックス) (電撃文庫) [文庫] / 宇野 朴人 (著); きくらげ...
神と奴隷の誕生構文(シンタックス) (電撃文庫) [文庫] / 宇野 朴人 (著); きくらげ (イラスト); アスキーメディアワークス (刊) bk1はこちら

敵国の侵略に晒され滅亡の危機に瀕するロケィラ皇国。その皇族唯一の生き残りとなったセレィの前に『若き神』と称する若者が現れ助力を申し出る。彼は、別世界からやってくる侵略者を撃退するためにこの世界を統一する必要があると言い――という感じのお話。

これは、すごい。別世界とか植民地主義がどうのこのうのとか、とにもかくにもスケールのでかさが半端ない。序盤ではハイ・ファンタジー特有の(?)重厚な空気にとっつきにくさを感じたし、中盤までは戦術的にどうなのよそれとツッコミたくなる部分が多々あったけど、後半のオオクルァシン登場で一気にそんな不満は吹っ飛びました。あれはもう、半端ない。一方的に赤子の手を捻るがごとく敵を圧倒する姿はまさに圧巻。全体的にファンタジー戦記っぽい展開ではあるけれども、実はこの作品の魅力はこのバトルシーンなのではないかと思わずにはいられませんでした。困難な状況をクルァシンの助言で何とか切り抜けた先に絶望的な状況。それを覆すのがあの恐るべき力であってみれば、それまでの戦記っぽい描写すら実はオオクルァシンの凄まじさを演出するための装置だったのではないかと思わずにはいられないわけですよ。基本的に戦術面でもクルァシンの人を越えた力に頼りっきりだったわけですし、やはりその能力をフルに活かせるバトルシーンこそが一番の見せ場となるのでしょう。こういう話は大好きなので期待せずにはいられませんね。

しかし、セレィもよくもまあ突然現れて自分のことを『神』とか言い出す胡散臭い奴を信用する気になったものですね。自分で考えて戦った結果が冒頭の惨敗なので藁をも掴むような気持ちだったのかもしれませんが、昔ながらの側近とかいなかったものですかね。まあでも、そんな頼りない君主がシリーズ通して成長していってもらえればいいでしょうか。むしろそっちの方が燃えますしね。オルワナ制圧時に見せた皇としての威風はその将来性を感じさせるに十分ですし。そういえば、東に行けば行くほど文化的に低く認知されているという設定からすると、先に待つのは強国ばかりっていうことになるのかな? そうなると戦争そのものも徐々にスケールアップしていきそうで楽しみが広がりそうですね。

クルァシンこと奄倉信の過去は、これが重たい重たい。あんな自分を罰するような在り方を規定している彼がまた失敗してしまったら、今度こそ耐えられるのか、いずれ心が壊れてしまうのではないかと不安になってしまう。しかし、イドとオドを排除したことで“発展界”から更なる強敵が派遣されてくるだろうことを考えると、厳しい戦いが続くことになるのでしょうね。ポセイドンを超える神様の登場もあったりするのかな? いずれにせよ今後の展開は予断を許しませんね。

イラストについて、オオクルァシンの絵はほしかったけど、まあそれはしょうがないから諦めるとして。カラーページのメリェ、これはありえなくないですかね。いや確かにああいうシーンもあったけど、作品の冒頭を飾るカラーとしてはあれだけ明らかに浮いてましたよね。もうちょっと他のシーンでなんとかならなかったのでしょうか。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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