2011年02月26日

ミスマルカ興国物語 Z

ミスマルカ興国物語 VII (角川スニーカー文庫) [文庫] / 林 トモアキ (著); とも...
ミスマルカ興国物語 VII (角川スニーカー文庫) [文庫] / 林 トモアキ (著); ともぞ (イラスト); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊)

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残る2つの紋章のうちの一つが眠る神殿教団領へと向かったマヒロ一行。おりしも、教団では急進派と保守派の対立が激化していた。教皇の座に就いた急進派のクラウディスは聖戦の名の下に領内の各地で聖騎士の動員を始めた。マヒロたちは戦火を避けつつ“預言者”と会見するのだが――という感じのお話。シリーズ第7巻にして第一部完結巻です。

これはすごい。まさに圧巻の一言。『お・り・が・み』の方はまだ途中までしか読めていないので“預言者”やその周囲の人物の背景など一部よくわからないところもありましたが、それでもこの怒涛のような勢いには圧倒された。なんというエグイ。そんな終わり方ってあるか。ラスト1ページの文章がまた象徴的で心に響いてきますね。一部だけ抜粋すると、

これがバッドエンドとなるのは、よくできた勇者の物語
これがバッドエンドとなるのは、よくできた英雄の物語

だがこれは、ただ一匹の蛇の物語


このわずか数行だけでも心の奥底からふつふつと湧き上がってくるものがありますね。
そうなんですよ。マヒロっていうのは正義を振りかざして悪を打ち倒すような勇者や英雄なんかじゃない。ただ暴力を嫌い、己の頭のキレと舌先だけを頼りに己の理想を叶えようとする夢想家、大法螺吹きなんですよ。しかし己のわがままばかり並べ立てるだけではなく、引くべきところでは引くし相手の弱みを見つけたら容赦なく抉りつけるような現実主義者でもあるんですよね。だからこそこの一見絶望的な状況でも希望を失わないどころかそこに最強のカードを見出し、決して強がりからではない笑みを浮かべることさえできる。現実主義者に絶望は許されないとはいえ、マヒロはどこまでも徹底しているんだな。シャルロッテとの会談が決裂した時点でもううすうす予測はできていたんだろうけど、その強靭な精神力には驚嘆せざるを得ない。

しかしこれ、前の巻のあとがきで広げた風呂敷を畳みにかかるみたいなことを言ってたように思うんですけど、全然畳んでないですよね。むしろハードルは上がったような。これは第二部を楽しみにせざるを得ない締め方ですね。

途中であった魔人による現実改変は、物語としてはチート以外のなにものでもないある種興醒めな一手なんだけど、それが許せてしまうのはラストが強烈過ぎたからかそれともこの作者ならなんでもありだと思えるようになってしまったからか。間違いなく後者だと思いますが。ここまでぶっ飛んだノリに付き合ってきたらあの程度で動じない程度には訓練されますとも、ええ。とはいえ、ポカーンとはいかないまでもやはり理解はしきれないので、『お・り・が・み』の方も早く読んでしまわないとなと思う次第。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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