2011年02月21日

烙印の紋章  たそがれの星に竜は吠える

烙印の紋章―たそがれの星に竜は吠える (電撃文庫) [文庫] / 杉原 智則 (著); 3 (...
烙印の紋章―たそがれの星に竜は吠える (電撃文庫) [文庫] / 杉原 智則 (著); 3 (イラスト); アスキーメディアワークス (刊)

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かつて高度な知能を持った竜が支配し、魔素を利用した文明に支えられた世界。
十年の間、戦争を繰り広げてきたメフィウスとガーベラは王族同士の政略結婚により、その長い戦いに終止符を打とうとしていた。
幼い頃、戦争により故郷を追われ剣闘士となったオルバは、瓜ふたつの容姿をしていることから、婚礼を控えた、うつけと噂されるメフィウスの皇子とすり替わることになる。一方、勝気なガーベラの姫、ビリー名は皇子を籠絡して自国の利益を図ろうとひそかに決意する。そんな二人の婚礼の途中、何者かの襲撃があり――!? 二人の思惑と和平の行方は?
杉原智則が贈るファンタジー登場!

虐げられてきた者が皇子になり替わるという設定は面白い。自分から家族を、故郷を、あらゆるものを奪っていった者たちから奪い返すことだけを考えてきたオルバが、それをすることができる立場に立ったことでいかにその目的を果たしていくのかが今からとても気になります。まだ一時的な代理という情報しか知らされていないので迂闊なことはできないのだろうけど、いずれ完全に皇子としての立場を掌握したらどんな行動に出るのか。想像しただけでワクワクしてきますね。そんな感じのお話なので、皇子との入れ替わりといっても華やかな雰囲気はほとんどなく、むしろ血生臭い展開・陰謀渦巻く謀略劇などが待ち受けていそう。とても期待できそうな作品ですね。

しかし、人の上に立って行動するためにはそれまで自分が最も憎悪を向けてきた末端の人間を切り捨てる選択をしなければならないというのは、皮肉なもの。軍隊のような巨大な組織を動かすともなれば個人の命よりも全体の趨勢が優先されるのは当然と言えば当然だし、兵士の命を尊重するあまり勝利を逃しては元も子もなくなってしまう。いわんやそれが国政が舞台となれば町単位、地方単位で切り捨てなければならないことも起こるかもしれない。そのような場面でオルバがどう心の葛藤と向き合っていくのかというのも結構重要な問題になってくるのかもしれませんね。

皇子をたらしこんで国の内部からメフィウス帝国を掌握してしまおうというビリーナ姫の思惑もこれまた面白い。一方の主人公たりうる覚悟を決めて乗り込んできた女性であるが、肝心の相手の皇子がオルバと入れ替わっているためにその目的はやや空回りぎみなのだけど。まああまり女性らしい愛らしさを備えているわけではないので、そもそもどうやってたらしこむつもりだったんだという話なのですけどね。しかしまだ年若いながらも連れ去られた先で旧知の賊将リュカオンに決死の交渉を仕掛ける胆力など、何かどでかいことをやってのけそうな素質は十分なのでそれが楽しみでもあったり。

なんにせよこの話、本物の皇子ギル・メフィウスの死を知っているのが現状では反メフィウス皇室派のフェドムとその側近数名に限られているというのポイントでしょうか。様々な人物の思惑が絡まり合っていて先の展開が予想できないのが面白そうですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 10:19| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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