2011年01月08日

されど罪人は竜と踊る (1)  Dances with the Dragons

されど罪人は竜と踊る 1 ~Dances with the Dragons~ (ガガガ文庫) ...
されど罪人は竜と踊る 1 ~Dances with the Dragons~ (ガガガ文庫) [文庫] / 浅井 ラボ (著); 宮城 (イラスト); 小学館 (刊)

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魔法にも似た咒式という力を操る攻性咒式士であるガユスとギギナ。<異貌のものども>や賞金首を追う彼らは、エリダナの街に交錯する<竜>との戦いや大国の陰謀に巻き込まれる。という感じのお話。

元祖暗黒ライトノベルということで以前から読んでみたかったんですけど、2年前に一度手を出した時には物理か化学の教科書のようなあまりにも理系っぽい描写に頭が痛くなって一章でギブアップしてしまいました。今回の再挑戦でもその辺りはやはり読みにくいと感じましたが、そういうものだと割り切ってなんとか読了。読みきってみるとなかなかに面白いお話でした。

あちこちの文化や人間が入り乱れる最果ての地・エリダナ。そんなところが舞台になっているだけあってストーリーにも何人もの人間の思惑が交錯していて、先の読めない展開にワクワクしながら読み進められました。また、主人公であるガユスとギギナについても、作中では軽くしか触れられませんでしたが複雑な過去を抱えて物語がスタートしているようで、そういう意味でもエリダナの街は象徴的な舞台だなと思いました。

ガユス。この男は命懸けの仕事をしているにもかかわらずいまいち何のために生きているのかが掴めない。妹の死や以前所属していた事務所の仲間とのしがらみを背負っている割には普段はそれを感じさせないように振る舞っていたりもする。生きる目的と言えるほどのものはないが、とりあえず死にたくないから生きているということだろうか。そしてそれゆえに相棒のギギナに対して文句を垂れながらもその日一日を生きていければいいと、そういうことだろうか。ギギナやその他のところから次々と転がりこんでくる面倒事の対処でいっぱいいっぱいでゆっくりと我が身を振り返る暇もなさそうな生活をしているようにも見受けられる。逆に言うと、周囲に振り回されるようにしているからこその今のガユスであって、ギギナもその他もいなくなって一人ぼっちになるとやさぐれてしまうのかもしれない。謀略家であるモルディーンの計画の一部を見破る洞察力はたいしたものだが、ばれるのも計画のうちだったようだし、第一その洞察力自体も今の生活が脅かされないようにという方向で働いていたように見えるので、なんだかんだでやはり攻性咒式士はガユスにとっての適職なのかもしれません。

ギギナ。竜族との戦いに誇りを見出すドラッケン族の出自にプライドを持つ美貌の剣士。この男の思考は常に先頭が第一として働いているように見受けられる。事務所の経営はガユスに一任して経済状況など顧みずに高い咒式具を買い漁ったり、洞察力においても政治的な情勢などを考慮して理論立ててモルディーンの計画を見破ったガユスに対して直観的に何か企んでいると看破してのけた点など、非凡な才能を有しているように見える。とはいえ、社交性に欠けていたり車の運転がからきしだめだったりするので、もしかしたら戦うことばかり考えてきたからこそなのかもしれない。椅子や箪笥や棚の収集に見せる情熱は、これはこれで面白い。純粋な戦闘民族のように見えるギギナの茶目っ気溢れる趣味にはどのような由来があるのだろうか。戦いにも家具の収集にも共通していると思われるのは美の追求という点だと思われるが……、気になるところだ。

この巻だけだと「暗黒ライトノベル」と言われる割にはかなりおとなしい話だったなという気がします。むしろガユスとジヴのイチャイチャぶりにニヤニヤしてて、そっちの方に期待し始めてる自分がいるのですが……。しかしまだモルディーンの手の平の上にいることに変わりはないわけですし、またぞろ危ない目に遭いそうな気配はプンプン漂ってるんですよね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:54| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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