2010年07月02日

征服娘。


征服娘。 (集英社スーパーダッシュ文庫)

征服娘。 (集英社スーパーダッシュ文庫)

  • 作者: 神楽坂 淳
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/01/25
  • メディア: 文庫


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名門貴族の娘として生まれ何不自由なく過ごしてきたマリア。だが、そんな彼女にも一つだけ不満があった。女は、貴族に生まれたが最後、よい男に嫁ぎ、子を生み、サロンでたわいないおしゃべりをするしか人生の選択がない。マリアにとってそんな人生はまっぴらだった。この国のすべてをこの手につかみたい。親友のアッシャとともに、マリアの野望が動き出す――という感じのお話。


これは、すごく惜しい。女の身でありながら国家を手中に収めんとする野望はとても面白そうだし、マリアやアッシャのキャラクターもラノベっぽく上手く作られている。ただ、その魅力を覆い隠して余りあるほどに設定や展開に首をかしげたくなる点も多いのがすごく気になった。

マリアが父親に従順な娘としての顔と冷徹な野心家としての顔を使い分けるところは読んでてゾクゾクするし、ときどき13歳の少女らしい世間知らずな一面を見せてしまうところではニヤリとしてしまったりも。アッシャはマリアと似た者同士という感じで気の合う親友というか姉妹というか、和気藹藹としてるときの二人のやりとりは見てて微笑ましかったです。マリアと出会わなければ、アッシャも独自にマリアのような行動を始めていたのかもしれませんね。とはいえ、彼女たちの野望のことを思うと年齢相応の世間知らずぶりがかなり危なっかしい。むしろ、その程度の知識でよく貿易を成功させることができているものだと驚いてしまうくらいなのですが。

警察長官のジュゼッペやヴェニエル家のラウラとも手を組むことに成功したように見えますが、特にジュゼッペはあまり人物像を推し量ることができないので油断ならないキャラですね。ラウラの方は裏表のなさそうな性格なので幾分か気を許せそうな印象ですが、これも一族の事情が絡むとどうなるかというのは不安要素かも。まあこのあたりは忠誠を期待できる主人と部下の関係とは違う対等な関係ゆえの悩みでしょうね。とはいえ、実際のところマリアよりもこの二人の方が頭が回るように見えるので、いついいように操られてしまうかと思うとかなり不安です。

あと、文化的な支配というのはやはり逃げの一手に見えました。そもそも国の支配者として君臨してしまえばカフェなんて建て放題なわけですし。カーニバルの件からどうも当初の目的からぶれてきているように思えるのですが、この続きはどうなってしまうのでしょうね?

作者の次の刊行が新シリーズになっている点から考えると打ち切られてしまったと考えるべきなのでしょうが、マリアの野望自体はとても面白そうなだけに、またいつか同じような題材で書いてもらいたいところですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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