2010年06月05日

B.A.D. 1繭墨は今日もチョコレートを食べる


B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)

B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)

  • 作者: 綾里けいし
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2010/01/30
  • メディア: 文庫


bk1はこちら


「理由なく人を殺せるくらいでないと、狂っているうちには入らないさ」
そんな物騒なことを口にするのは、異能の少女・繭墨あざか。
繭墨霊能探偵事務所のもとには探偵らしい依頼が来たことはない。従業員の青年・小田桐勤はそんな事件に嫌悪感を感じながらも、とある事情から彼女のもとで働き続けていた。
そんな彼らが関わる醜くも美しい現代異能劇、ここに開幕!――という感じのお話。


ミステリアス・ファンタジーというあらすじや、綺麗な終わり方を予想させてくれる口絵などに興味を持って読んでみました。

すごくよかったです。話が進むにつれてどんどんストーリーに引き込まれてしまう。その上で最後のX章はとにかく圧巻でした。狂気じみた事件の話ばかりで進んでいく中で、小田桐があざかのもとで働くようになった事情が明かされるシーンがひときわ綺麗に感じられました。それまでのダークな世界観だからこそ映える、あのなんとも儚げな美しさは一度読んだら虜になってしまう魅力があります。これはおススメです。
とはいえ「ミステリアス」というのはちょっとあらすじ詐欺ではないかなと。前半部はむしろホラーと言っていいくらいな気がするのですが。

あざかのキャラが魅力的。基本的には悟ったような口ぶりで話すけど、ときに少女らしい一面を見せるのでハッとさせられる。とはいえ、少女らしい純粋さが残酷な方面でばかり垣間見えるのは、彼女もまた歪んだキャラなんだなと思わされたり。チョコレート好きの描写は読んでるうちにこっちまでチョコが食べたくなってくるのだけど、少なくとも何か食べながら読むべき作品ではないよなーと。

小田桐の過去話は、入りに比べると終わり方はやや勢いに欠けるかなと思うところもあったけど、あれで一気に好感度が上がりました。どこか現状に対する諦めが見え隠れしていたそれまでとは打って変わって激しい感情の起伏が見えたことでようやく感情移入ができるようになったというか、ただの傍観者ではなくなって存在感が増したというかそんな感じかなと推測してみます。

そう言えば、繭さん然り、小田桐君然り、この作品はキャラの呼び方が非常にイメージにぴったり合う作品だとも思いました。これほど合ってると思ったのは初めてではないでしょうか。
あと、和枝や雄介や静香など、ヤンデレなキャラが多いのもよかったですね。作品全体に漂う狂気を演出するための装置としての役割もあったのでしょうけど、ヤンデレ好きにはとにかくたまらなかったです。


それと、ファミ通文庫のホームページで「僕が彼女を『繭さん』と呼ぶ理由【わけ】」というタイトルで番外編が連載されてましたね。こちらも、この巻のあとに読んでみるととても楽しめる話だと思います。というよりも、この番外編を読むことで、怪異の世界に引きずり込まれた人間としての小田桐の生の感情により触れることができて、より好感が持つことができました。まだ読んでいないという方はこちらからぜひ読んでみてください。

posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 03:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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