2010年01月13日
七歳美郁と虚構の王
タイトルと拡大人的破壊などの設定が面白そうだったので買ってみたように記憶しています。
主人公・今近衛久遠たちが「救済の女王」九重白雪を追う話、だと思ったのですが、そう考えるとこの巻はシリーズ序章という位置付けなのでしょうか?でも、小学館ライトノベル大賞の受賞作ですし続きが前提ということはあり得ないはず。そうするとこの話の主軸って何なのでしょうか?絶望的な未来に悲観しない美郁の生きる姿でしょうか?過去に美郁を救えなかったことを悔やむ久遠の苦悩とそれでも美郁を幸せにしようとする生き様なのでしょうか?その辺りよくわかりませんでした。
美郁の視点と三人称の視点で書き分けられていのが特徴的でしたが、全体的に見てこういうストーリーはちょっと苦手ですね。具体的にどういうストーリーと一言で言い表せる語彙を持ち合わせていないのが歯がゆいですが、とにもかくにも個人的に合わなかったように思います。拡大人的破壊やプログラムなどの設定は興味深かったですが。
そんな中でも、美郁視点で綴られる諧謔的な文体はとても面白かったです。途中で何度もクスリとさせられました。美郁ちゃんは本当にいい性格をしてますねw
そういうわけで、個人的にこの話で一番よかったキャラは美郁。久遠に対するひどい扱いも面白いですが、自分で自分のことを美少女と言ってしまうあたりなかなかいい性格(笑)をしています。真面目なところでも、自分を守ってくれる人のために成長していこうとする様子は印象的でした。周りに心配をかけないために隠し事をしながらも、そうして頑張って生きる姿は健気に光るものがあります。そういう意味ではいい娘ではありますね。
次点は久遠。過去の失敗に後悔し自責の念に駆られる姿はなぜだか強く印象に残ります。これだけなら枯野にも同じところがありますが、そこから久遠の場合は何があろうとも美郁を守ることが自分の責任であると感じ自らの命のことなど顧みることなく美郁を守ろうとしている。美郁の前では道化を演じながら。
その姿は泥臭いんだけど、かっこいい。こういう人にこそ幸せになってもらいたいのですが、久遠自身はそんなこと少しも望んでいないのでしょうね。
イラストは、表紙や口絵などカラーの画では美郁は可愛いしその他の大人のキャラ達もかっこいいし割と好みなのですが、白黒の挿絵ではなんか違うんだよな〜と感じました。
こんな感じで今回の感想はここまで。ストーリーがちょっと微妙だったので続きを読むかどうかは本屋で見かけたときに買いたいと思うかどうか、その時になってみないとわかりません。が、今のところは買わない可能性が高いかなと思ってます。
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