2009年11月28日
薔薇色にチェリースカ5
魅力的な設定と美麗なイラストが気に入って読んできたこの作品もとうとう最終巻。リアルタイムで追いかけていたわけではないのですが、それでももう終わりなのかと少し残念に思いながらこの巻を買ったように記憶しています。
ストーリーとしては、4巻のラストから続いてリバースサイド方面の話で一気に決着がつくところまで進むのですが、ダミア・オルトーや姫園さんやヘンゼルがこれでもかとばかりに動き回るので、読み終えてから振り返ってみるとこれで230ページしかなかったのかと驚くほどに濃い内容となっています。
ヒロは過去の姫園さんへの想いを断ち切ってチェリースカを選んだのですが、あれだけのことをされたのなら想いが消えるのも頷けようというものですね。ただ、別れの際に残した言葉から考えるにまだ完全に想いが消えたわけではないということでしょうか?いずれにせよ、真希やアンのフラグもそのまま残っているし、ヒロ自身も結構フラフラしているので、この後に続く話として素直にチェリースカと結ばれるかどうかはわからないですね。個人的にはそのままチェリ−スカ一筋であると信じたいです。
ヘンゼルは前回登場時と同様、虐殺往時の名に恥じぬ暴れっぷり。あそこまで歪んだ想いを見せつけられるとサディストでもいっそ清々しいというもの。最期も壮絶で、かなり強烈な印象を残してくれました。
真希やソフィーは、ヘンゼルたちリバースサイド方面のキャラの濃さに押されて影が薄めな印象。さすがに一般人が関わるには荷が重い戦いですからね。真面目モードになってもあまり活躍できないソフィーに涙目。
個人的に一番印象に残ったのは姫園さん。入学直後にリバースサイドに送られて、全く知らない世界で酷い扱いを受けようものなら性格も冷たくなってしまうというもの。元の世界に変えるためなら手段を選ばなくなるというのも頷けます。最終的にはヒロにも見捨てられてリバースサイドから帰れなくなってしまうなど一番救われないキャラでした。できれば続刊で姫園さんの復讐を描いてほしいところですが、これが最終巻ということなので、それは自分の脳内で妄想しておくことにします。
イラストは、相変わらずネツマイカさん最高!という感じで、もう満足満足大満足でした。回想シーン以外では初登場の姫園さんもダークな感じがよく出ていますし、カラー絵の中にあるラストシーンのイラストからは本当によく雰囲気が伝わってきます。そしてあとがきのイラストではノックアウトされました。なんというわたし好みのイラストを描いてくれる人でしょうか。これはもうイラスト買いしてもいいと思えるレベルです。
というわけで、もう少し続けてほしいとは思うものの、このシリーズも無事完結。海原零さんの作品はこれの他には『銀盤カレイドスコープ』を2巻まで読んだだけなのですが、そちらの方ももっと読み進めてみたいと思えるいい出来でした。新作はまだ出していないようですが、そちらにも期待が掛かります。
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