2020年02月14日

The Girl Who Speaks Bear

The Girl Who Speaks Bear - Anderson, Sophie
The Girl Who Speaks Bear - Anderson, Sophie

主人公の年齢が12歳なので、対象年齢もその前後くらいでしょうか? イギリスの児童書ファンタジー作品。

"Yanka the Bear"――熊のヤンカーー、それは村の誰よりも体の大きな少女ヤンカのあだ名であり、それとともに実は森で拾われた子であるヤンカ自身にとっては、皆と同じ「村の子」ではなく「森の子」なのであるという疎外感を覚えさせるあだ名でもあり。そんな彼女の疎外感が臨界点を超えたとき、ヤンカの足が熊の足のようなものに変化してしまう。自分はいったい何者なのか。自分の居場所はどこにあるのか。そんな葛藤を抱えたヤンカは森へと逃げだし、そこでまるでおとぎ話のような冒険をすることになる。これは、人とは違うところのある少女が自分のルーツと向き合う物語。

おもしろい一冊でした。ストーリーは児童小説的に王道の展開。なにより、合間合間にはさまる作中作的な挿話がいい雰囲気を出してまして。全体的にロシア系の民話などをモチーフにしてるんでしょうか、そっち系の単語がぽつぽつ出てくる世界観で。雪国であり、深い森と隣り合う村に住まうヤンカがいくつも聞かされることになるのは、森を舞台にしたおとぎ話。木こりの話、熊の話、狼の話……そうした物語がほとんど毎章のようにはさまれる。それが、おとぎ話が身近に存在する村という雰囲気を感じさせてくれていいものなのでして。

そして、それらの物語は、それ自体はおもしろいおとぎ話なのだけれど、ヤンカが森に入っていくことになったとき、それらのおとぎ話が大きな意味を持ってくるのが作りとしてうまいなと思わされるのであって。ただのおとぎ話、作り話だと思えていたものがヤンカの生きる現実に入りこんでくる。それは森という異界と村という現実が混ざり合うようなできごとであり。けれどその生い立ちから、ヤンカにはそのどちらにも引き寄せられるものがあるのであり。つまり異界と現実とがすっぱりと区別されえないのがヤンカという少女なのであったという。そんなヤンカの森での冒険は、児童書的なファンタジーとして、おとぎ話的な雰囲気のもと、次々と展開する話を楽しませてもらえる、おもしろい物語ではありました。

タイトルは、「熊と話した少女」でしょうか、それとも「熊の言葉を話す少女」でしょうか? ともあれ、人とは違うことは不安になることもあるけれど、それこそがありのままの自分なのだと、そんな自分を受け容れてくれる人は思っている以上にたくさんいるのだと、そんなことを気づかせてくれる話だと思いました。

作者さんが以前に書いたという本のキャラクター(?)も登場してるっぽいので、次はそっちを読んでみるのもおもしろそうですね。まあどうするかわかりませんが。


posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:33| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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