
弱キャラ友崎くん Lv.2 (ガガガ文庫)
小学館::ガガガ文庫:既刊情報
対戦ゲームのNo.1とその挑戦者という間柄からはじまった日南さんとの関係が、生徒会の選挙では立場を逆転して勝ち負けを競い合う。それぞれの持てるすべてを駆使して勝ちにこだわるふたりの姿勢がおもしろかった。そして結果が出た後にも、とにかく楽しい試合だったみたいなふたりの表情が清々しくてすごくよかった。やっぱりこのふたりの関係、いい感じですよね。まあ約一名、重傷者を出してしまった感はあるけれど。
ともあれ、勝負を通じてお互いわかりあってる感じのある友崎くんと日南さんだけど、わかってきたこととして、ゲームに対するスタンスにはやや違いがあるっぽい。日南さんは、作中でもいわれているように、正攻法をひたすら量をこなすことで総合力をつけてどんな壁も正面突破してみせる正統派。求めるのはその先にある勝利のみでありながら、その努力量は常人からしてみれば恐れ入るばかりであって。それが彼女のかっこよさの源泉になっているんですよね。
一方の友崎くんは、今回の戦い方が特にそうだったんだけど、正攻法よりも彼我の長所と短所を分析して、今のリソースで可能なベストな攻略法を追求していく感じ。対策型の戦略ではあるけれど、彼我の距離を冷静に見据えてその間を一歩ずつ縮めていくことに意義を見いだすタイプのゲーマー、だろうか。
彼我の間にあまりにも距離がある場合、いきなり勝利ばかりを求めてしまうと今回の七海さんのようにダウンしちゃう危険性が高そうなんだけど、その日できる少しずつの成長を積み重ねた末に達成を目指す方向性のほうが現実的に思える。まあでも今回はとにかく相手が悪かったとしか。というか、日南さんはそのスタイルでどこを目指してるのかという。本当にとんでもない人ではある。