2019年02月04日

金色のマビノギオン ―アーサー王の妹姫―(2)

金色のマビノギオン ─アーサー王の妹姫─ 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)
金色のマビノギオン ─アーサー王の妹姫─ 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)

金色のマビノギオン ─アーサー王の妹姫─ 2|白泉社

おお! おもしろくなってきてる。おもしろくなってきてますよ。もともとキャラクターの雰囲気はすごくいい感じではありましたけど、ストーリー展開もおもしろくなってきました。

舞台は当初のアヴァロンを離れ、アーサー王子の戴冠式(代理出席たまき)が行われる都カーレオンへ。先見の力で流血が予見された戴冠式で、いったい何が起こるのか……という危惧を含みながらの進行。

うーん、なかなかにシビアな展開でした。ついに犠牲者が出る展開。アーサー王子の御一行を含めた当初からの登場人物はいわば主要なキャラクターであり、そこから欠けていく者が現れるのを見るのはショックを受けずにはいられない。そのうえ、それを契機にしてメンバー間でも感情的な齟齬が生じている展開。なかなかにつらいものがあります。

特に、犠牲はつきものであってそれを状況を勘案してどうコントロールするかが大事と考えていそうなマーリンと、現代的な価値観から犠牲を許容するなんてありえない真との師弟げんかは、かなり根深い価値観の対立になりそうで、どうなることかというところ。マーリンのいうように慣れてしまってほしくはないけれど、でも物語の舞台であるアーサー王伝説って悲劇の物語じゃなかったっけと思うと、そのままでは心が参ってしまうのではという不安はつきまとう。ただ、マーリンとしても待ちの姿勢に入っているわけではなく、可愛い子どもが駄々をこねているのを見つめているような鷹容な態度でいるように見受けられるので、そこまで悪いようにはならないのではとも思いたいところであり。というか、そうした弟子に手を焼かされることに困ったようでいて、けれどどこか楽しんでもいる感じが、なかなかに師匠感があっていいですよねというか。そうして齟齬がありながらと師弟でやいのやいのやってる様子はほほ笑ましかったりするのは、まあなんだかんだいっていい師弟コンビということなんでしょうか。

逆にパッと見はいい雰囲気ながらも不安があるのがエレインと広則のペア。広則が純情な恋心を発揮して(本人的にはたぶん)さりげなくアプローチをかけてるのはほほ笑ましくもあるんだけど、一途な感情であるがゆえに入れこみすぎるあまりに後戻りのできないところまでもずんずん進んでいっちゃいそうなこわさがあるんですよね。そもそも住む世界が違う者同士なんだけどと、こちらとしては思ってもしまうんだけど、でも当人からすればきっとそんなことはどうでもいいんだろうなという気もしたり。好きになった女の子のためだもんなあ。よくないなりゆきにならなければ。いまはまだそれで……。

とはいえ、そうしてひとつの惨事でやや変化はありつつも、アーサー王伝説の登場人物たちと現代日本の高校生たちとの組み合わせが織り成す雰囲気は1巻からひきつづきとてもいいものだったのではありまして。

たまきはアーサー王子と瓜二つな顔で無邪気な言動をとっては周囲を和ませてくれるのが楽しいキャラであり。本物のアーサー王子に古くから仕えるガウェインとの組み合わせが多くなる関係上か、ガウェインまで若干たまきっぽくなってきてるところがあるのはご愛嬌ということで。

というか、番外編読んであらためて思いましたけど、たまきって本当にアーサー王子にそっくりなんですね。疑ってたわけではないんだけど、たまきって普段からナチュラルに広則の恥ずかしい秘密を暴露したりとあまりにも無邪気な感じなので、その外見で王子っぽさが出るんだろうかと思ってしまう部分があったんですよ。でも、番外編でアーサー少年の姿を見てると、可愛らしいながらも生意気さを感じたりしっかり男の子っぽさを感じさせる表情になってて、おおっと驚かされるものがありましたね。それと同時に、こっちのアーサー王子を知ってる人が、同じ顔で無邪気すぎるたまきを見てるとギャップで笑っちゃう気持ちもわかってしまっておもしろいところであり。

その他、真もアーサー王フリークスぶりはあいかわらずで、カーレオンの宮廷での新キャラたちを目の前にしてテンション上がりまくりな様子は笑えました。というか、アヴァロンの推定地っていくつか説があるんですね。ウーサリアンの世界は深い……。

あと、今回の陰謀の裏で手を引いていたモルゴースに関しても、魔女と呼ばれてたり悪役っぽい印象付けをされてはいるものの、玉座を巡る争いの席に着くものとしてはまだまだこれ以上に狡猾にもなろうというもので。というよりむしろ、外見的には妖艶な美女だったり、かと思えばロット王とのやりとりでは痛いところをつかれてかわいらしさを感じさせる表情も見せてくれたりと、なかなかに憎めないキャラであるように思ったり。

そんなこんなで、物語が大きく動いたとまではまだ言えないだろうものの、確実におもしろくなっているし、もっともっとおもしろくなっていきそうな期待も持たせてくれる一冊でした。これは次の巻にも期待が高まります。すごく楽しみなシリーズですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:53| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする