2019年02月18日

イサック(1)

イサック(1) (アフタヌーンコミックス)
イサック(1) (アフタヌーンコミックス)

『イサック(1)』(DOUBLEーS,真刈 信二)|講談社コミックプラス

試し読みをしていたらゆるく勉強中のオランダ語が目についたため購入してみた一冊。まあさすがにオランダ語が出てくるのは1話の冒頭だけでしたが。(上記リンク先の試し読みですべて確認できます)

しかしこれ、1話冒頭に出てきてた言語って、実はオランダ語だけではなかったようで。主人公がしゃべってた言葉はオランダ語知識でおおよそ理解できるけど、それ以外の人物のものになるとそれだけではよくわからなかったりする。似てるところはあるんだけれども、単語レベルで違いがあるように思える。気になって調べてみた感じ、どうもそちらはドイツ語であるらしい。とすると、作中、それとオランダ語とで会話が成立してる(すごく訛ってると思われながらも)んだけど、ドイツ語とオランダ語の距離感ってそういう感じなんだろうか? この辺、ドイツ語の知識はまったくないのでわからない。

肝心な話としては、三十年戦争下のドイツで日本人傭兵が戦う話。表紙にも描かれているように、刀よりも鉄砲で活躍するキャラですね。たった一人で戦況を覆すほどの一撃をもたらす狙撃力の見せ方がうまい。敵には次から次へと大物が出てきて、凄烈な恩義と復讐心を胸に欧州大陸に現れた日本人傭兵であるイサックが、ここからさらにどんな活躍をしてくれるのかと期待させられる。

この話がどの程度史実に基づいているのかは不明。近世、それもドイツの知識はほとんどないので。ただ、1620年当時のスペインの王太子の名前はアルフォンソではなかったはずなので、フィクションの度合いは高め? まあそんなことを考えてしまうから、いまや歴史を題材にしたフィクションを純粋に楽しめなくなっているのだけど。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:56| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月08日

微熱空間(2)

微熱空間 2
微熱空間 2

微熱空間 2|白泉社

同い年だからこその、お姉ちゃんぶりながらも幼さを感じる部分もある(義)姉の亜麻音さんがとてもかわいい。家族だからという安心感もあってか隙のあるところを見せられるたびにドキッとさせられて、けど家族だからこそそれ以上に大事にしなきゃと思わされる感じが、なまじ年齢差があって上下関係がはっきりしてる姉弟関係よりも相手のことを意識させられて、ドキドキ感が増して感じられること。家族になってからまだそれほど間もない間柄だからこその、余計に異性であることを意識せずにはいられない感じ。他人から家族へと移り変わる間の微妙な状態だからこその空気がいいですね。まあ一度こうなってしまうとスムーズに移行して終わりという形で納まりがつくのかどうか。恋愛感情とはいいきれないながらも、そちら方面のネタというか雰囲気というかをより濃く取り込んできた感じでしょうか。ひとまず、これはこれでいいですよーということで。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:59| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月05日

とどのつまりの有頂天(1)

とどのつまりの有頂天 1 (ヤングキングコミックス)
とどのつまりの有頂天 1 (ヤングキングコミックス)

とどのつまりの有頂天 第1巻( あらた伊里 ) | 少年画報社

なんだこのむちゃくちゃなテンションの高さは……。まさに有頂天ですか。フルスロットルですか。ともあれ百合ですよ。女の子たちがひたすらハイテンションで、こいつは楽しいマンガでした。

表紙絵を見て、かわいい女の子がわいわいきゃーきゃーするかわいい話なのかなと想像してたんですが、ものすごく意表を突かれたというか。いやまあ確かに「わいわいきゃーきゃー」はまちがいとは言いきれないんだろうけど、もっとこう、なんというかにぎやかな話でしたね。確か1話のハグシーンくらいまでの試し読みで購入決定したはずなので、読む前後での印象の違いがものすごいことになってるんですけど、という。

冒頭から登場してる美古都と猫崎さんのペアだけならまだほほ笑ましい感じの百合ラブコメっぽい話だったと思うんだけど、そこに一度に4人もキャラが追加されて、一気に騒々しくなった感が。勢いまかせにボケたおす女の子がいて、リアクションでキレまくる女の子がいて。どの話も収拾つかないレベルでワイワイキャーキャーはしゃぎまわって……楽しそうだなあオイ!

いや本当に、これほどうざキャラっぽく騒ぎまくって、顔面崩壊レベルでかわいさなんてふっ飛ばされてる場面も多々ありながら、それでいてどの女の子にも百合を感じさせる瞬間があるのって、実はめちゃくちゃすごくないですか? 序盤の百合からギャグレベルのコメディへの転調があまりにも激しいものだから、コメディ主体の百合ラブコメなのかとも思ってしまったんだけど、一冊読み終わるころには百合もギャグも境目がわからないほどに入り混じった、ひたすらハイテンションな百合ラブコメだったと思えて、とにかくすげえという感想になるという。

そしてそんなギャグと百合の境界線を主に破壊してくれるのがタクヤと夜空のカップルであり。3話にしてもはやおなじみになりつつあったボケたおしの間にはさまれる「学校では(キスは)しない」のひと言があまりにも衝撃的で……いや、だってこのセリフが発されたとき、まだまだギャグ展開する空気だったじゃないですか。それなのに突然こんなまごうことなき百合セリフをはさまれて。まじかよ、ふーん……って、え、ちょっと待って、この子いまなんて言ったえええええ!?みたいな。すぐに頭が切り替わらないんだけど、遅れて理解できたときの衝撃たるや。その後もワイワイやってる合間にときどき甘えたな夜空とぐいくい引っ張ってくタクヤという関係性を見せてくれるものだから、ギャップで好感度の上がりかたがすごい。特に本編後のおまけマンガ。なにこのかわいいカップルは。いいぞもっとやれ。

一方で主役(?)である美古都と猫崎さんのペアは、まだカップルとは呼べなさそうなラインながら、徐々に相手を意識する気持ちが高まってきて自分たちでも持て余しぎみになってる様子が、上記の幼なじみカップルとは違って初々しくもあり、それが百合の空気感としてとてもかわいらしくもあり。にぎやかな四人組に釣られるようにこちらにもハイテンションさが混ざってきてもいるけれど、それはともかくこれからの展開に期待が高まるふたりではあります。

巻末には作者の以前の作品の番外編が載ってましたが、こちらはこちらで本作に輪をかけて掛け合いでの顔面崩壊がひどいというか、フルスロットルさが半端ない。ということは、これがこの作者さんの持ち味ということなんでしょうか? それはともかく、しかしこの連載一話分にも満たないページ数でしっかりキャラをつかめてそのうえ笑いもとってくれるからすごいというか。『総合タワーリシチ』、こちらも気になってきますね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:14| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月04日

金色のマビノギオン ―アーサー王の妹姫―(2)

金色のマビノギオン ─アーサー王の妹姫─ 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)
金色のマビノギオン ─アーサー王の妹姫─ 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)

金色のマビノギオン ─アーサー王の妹姫─ 2|白泉社

おお! おもしろくなってきてる。おもしろくなってきてますよ。もともとキャラクターの雰囲気はすごくいい感じではありましたけど、ストーリー展開もおもしろくなってきました。

舞台は当初のアヴァロンを離れ、アーサー王子の戴冠式(代理出席たまき)が行われる都カーレオンへ。先見の力で流血が予見された戴冠式で、いったい何が起こるのか……という危惧を含みながらの進行。

うーん、なかなかにシビアな展開でした。ついに犠牲者が出る展開。アーサー王子の御一行を含めた当初からの登場人物はいわば主要なキャラクターであり、そこから欠けていく者が現れるのを見るのはショックを受けずにはいられない。そのうえ、それを契機にしてメンバー間でも感情的な齟齬が生じている展開。なかなかにつらいものがあります。

特に、犠牲はつきものであってそれを状況を勘案してどうコントロールするかが大事と考えていそうなマーリンと、現代的な価値観から犠牲を許容するなんてありえない真との師弟げんかは、かなり根深い価値観の対立になりそうで、どうなることかというところ。マーリンのいうように慣れてしまってほしくはないけれど、でも物語の舞台であるアーサー王伝説って悲劇の物語じゃなかったっけと思うと、そのままでは心が参ってしまうのではという不安はつきまとう。ただ、マーリンとしても待ちの姿勢に入っているわけではなく、可愛い子どもが駄々をこねているのを見つめているような鷹容な態度でいるように見受けられるので、そこまで悪いようにはならないのではとも思いたいところであり。というか、そうした弟子に手を焼かされることに困ったようでいて、けれどどこか楽しんでもいる感じが、なかなかに師匠感があっていいですよねというか。そうして齟齬がありながらと師弟でやいのやいのやってる様子はほほ笑ましかったりするのは、まあなんだかんだいっていい師弟コンビということなんでしょうか。

逆にパッと見はいい雰囲気ながらも不安があるのがエレインと広則のペア。広則が純情な恋心を発揮して(本人的にはたぶん)さりげなくアプローチをかけてるのはほほ笑ましくもあるんだけど、一途な感情であるがゆえに入れこみすぎるあまりに後戻りのできないところまでもずんずん進んでいっちゃいそうなこわさがあるんですよね。そもそも住む世界が違う者同士なんだけどと、こちらとしては思ってもしまうんだけど、でも当人からすればきっとそんなことはどうでもいいんだろうなという気もしたり。好きになった女の子のためだもんなあ。よくないなりゆきにならなければ。いまはまだそれで……。

とはいえ、そうしてひとつの惨事でやや変化はありつつも、アーサー王伝説の登場人物たちと現代日本の高校生たちとの組み合わせが織り成す雰囲気は1巻からひきつづきとてもいいものだったのではありまして。

たまきはアーサー王子と瓜二つな顔で無邪気な言動をとっては周囲を和ませてくれるのが楽しいキャラであり。本物のアーサー王子に古くから仕えるガウェインとの組み合わせが多くなる関係上か、ガウェインまで若干たまきっぽくなってきてるところがあるのはご愛嬌ということで。

というか、番外編読んであらためて思いましたけど、たまきって本当にアーサー王子にそっくりなんですね。疑ってたわけではないんだけど、たまきって普段からナチュラルに広則の恥ずかしい秘密を暴露したりとあまりにも無邪気な感じなので、その外見で王子っぽさが出るんだろうかと思ってしまう部分があったんですよ。でも、番外編でアーサー少年の姿を見てると、可愛らしいながらも生意気さを感じたりしっかり男の子っぽさを感じさせる表情になってて、おおっと驚かされるものがありましたね。それと同時に、こっちのアーサー王子を知ってる人が、同じ顔で無邪気すぎるたまきを見てるとギャップで笑っちゃう気持ちもわかってしまっておもしろいところであり。

その他、真もアーサー王フリークスぶりはあいかわらずで、カーレオンの宮廷での新キャラたちを目の前にしてテンション上がりまくりな様子は笑えました。というか、アヴァロンの推定地っていくつか説があるんですね。ウーサリアンの世界は深い……。

あと、今回の陰謀の裏で手を引いていたモルゴースに関しても、魔女と呼ばれてたり悪役っぽい印象付けをされてはいるものの、玉座を巡る争いの席に着くものとしてはまだまだこれ以上に狡猾にもなろうというもので。というよりむしろ、外見的には妖艶な美女だったり、かと思えばロット王とのやりとりでは痛いところをつかれてかわいらしさを感じさせる表情も見せてくれたりと、なかなかに憎めないキャラであるように思ったり。

そんなこんなで、物語が大きく動いたとまではまだ言えないだろうものの、確実におもしろくなっているし、もっともっとおもしろくなっていきそうな期待も持たせてくれる一冊でした。これは次の巻にも期待が高まります。すごく楽しみなシリーズですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:53| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする