2019年01月22日

偽りのフレイヤ(2)

偽りのフレイヤ 2 (花とゆめCOMICS)
偽りのフレイヤ 2 (花とゆめCOMICS)

偽りのフレイヤ 2|白泉社

泣き虫な村の少女が、将来を嘱望されていながら命を落としてしまった王子になりかわる。難易度無理ゲー級ファンタジー少女マンガ第2巻。

今回も至難の展開がつづいてた。命を狙う者との対峙、決闘裁判……それら村娘時代には縁のなかった血と争いごとの世界で生きていくことをひきつづき強いられる。しかも、周りを以前の王子を知り、かつ王子のなりかわりを知らない家臣や側近たちに囲まれながら……。相変わらず無理ゲー感が強い。

共犯者はいまやふたり。幼馴染の兄弟の片割れで従騎士のアレクシス(アレク)と、その主人であり王子本人の腹心でもあった近衛騎士ユリウス。降りかかる危機をはね除け、偽りの王子をサポートしていくには人員が不足しているのは明らか。

けれどそんな状況であろうとも、フレイヤは偽りの王子を演じることを求められるわけで。決然とした態度、周りの者を引きつけずにはおかない強気さ、傲慢なほどの自信とそれが様になる美しさ……。それらを持ち合わせていた王子と、ただ容姿が瓜二つだっただけの自分との乖離はとても埋めきれるものではないにもかかわらず。

それでも、この少女は「王子」になってしまうんですよね。側近の危機に、領民の危機に、彼ら彼女たちを救えるのは「王子」しかいないからと、「王子」ならば救えるかもしれないのにと、その「王子」とはいまや自分のことなのだと、内なる声に従うように。まるで理想の「王子」を演じるかのように。内気な少女としての一面は変わらず存在しつづけているからこそ、その姿とのアンバランスさにハラハラさせられることといったら。

無理をしているフレイヤを見るたびに、アーロンのことを残念に思わずにはいられない。最大の心の支えでしたからね。アレクとユリウスでは、ふたり合わせてもまだ足りない。けれど、だからこそ、ふたりとの絆がすこしずつ強くなってきているのを感じさせられもする。ユリウスとは、いちばん大切な者を亡くした心の傷を抱える者同士として。アレクとは、王子らしさを求められる環境下で少女としてのフレイヤをさらけ出せる相手として。

くわえて、王子の側近にも、事情は知らずとも支えになってくれる人はすこしずつ増えてきているのが救いではあり。偽りの王子としての振る舞いにも確かにカリスマ的な魅力の片鱗はあるけれど、ここぞというとき以外のフレイヤはやはり心優しい少女であり。そんな「王子」の意外な一面によって忠誠心を増していく者を見ていると、彼らの存在がフレイヤの心の支えにまでなれる日がくればと願わずにはいられません。

とはいえ、フレイヤもただ泣き虫なだけの少女ではないんですよね。柱のところでジャンプ力はすごいと書かれてたように、身体能力に関してはもともとそれなりのものを持っていたようで。腕力はともあれ脚力についてであれば、ユリウスにサルと罵られたりするほどのものを何度か発揮してくれてたりもする。なので、剣を持っても一概に非力とはいえない一面に驚かされたりもするんですよね。

秘めたポテンシャルを知るにつれて、もしかしたらそのうちに偽りの王子としての演技も板についてくるのかもしれないと期待させてくれるものはある。けれど、平時ならばともかく、フレイヤたちの国はいま戦争をまっただ中にあるのであって。しかも形成は不利。そんななかでの「希望の王子」だったんですよね、もともとのエドヴァルト王子は。やっぱりこれは荷が勝ちすぎてますよ。

いよいよ戦争の最前線に飛び込んでいく流れになって、果たしてフレイヤはどれほどの衝撃を体験することになるのか。不安で不安でしかたなくて、だからこそ目が離せないシリーズです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 03:32| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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