2018年09月28日

クリフトン年代記(2)死もまた我等なり(上)(下)

死もまた我等なり(上): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫) 死もまた我等なり(下): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)
死もまた我等なり(上): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)
死もまた我等なり(下): クリフトン年代記 第2部 (新潮文庫)

https://www.shinchosha.co.jp/book/216135/
https://www.shinchosha.co.jp/book/216136/

あいかわらず話の進行が早い。アメリカの対独参戦前からはじまって、もう終戦後にまでたどり着いてしまった。死別した戦友への気持ち、ぶん殴りたくなるようないやな奴らのその後など、掘り下げようと思えばそこここに見いだせる余地をあれもこれもうっちゃりつつ、メインキャラクターである視点人物たちの物語に焦点をしぼって進行していく。そしてそれが次々と移り変わっていく物語のテンポのよさを生み出している。

命をかけてでも祖国イギリスを守らんとする意志。思いがけなくも出会った戦友との絆。その出会いを通して過ごされる稀有な戦場体験。そして、それによって世界の見える角度が広がったような新鮮な変化。ハリー・クリフトンとジャイルズ・バリントンのふたりが経験した戦争は、いかにも忘れがたい青春の一ページとして、鮮烈な記憶と華々しい活躍に彩られた様子が印象的で。のちの生涯に多大な影響を及ぼす日々といった感じでしたよね。特にジャイルズは、大学前の問題行動のいくつかを思えばすっかり好青年になって。見違えるような立派な変貌ぶり。それだけに、戦後に起きたいざこざが気の毒ではありますが、それはともかく。

一方で、女性のキャラクターとしてはエマ・バリントンが印象的で。前回のラストで、いろいろもつれにもつれた状況からどうなるのかと思いのほか、泥沼感を感じさせることもなくするすると自らの道を切り開いてしまったから驚き。まあするするいったとはいっても、それは手に入れたい幸せの形をつかみとるためならどんな望みのうすい冒険もいとわないと感じさせるほどの想いと決意の末にようやくたどり着いた先の再会でしたからね。あれはもうひとつの冒険の旅といってさしつかえなかったでしょう。それにしても、思わされるのは当時の英米間の上流階級のつながりでしょうか。大西洋を渡った先でも頼れる当てがあるというのは、強い。アメリカの独立からはすでに100年以上もたってますが、そういうこともあったんだろうかと、ちょっと興味深くもなってくる。そしてアメリカの親戚がやや特殊な王党派っぽいのが地味に面白くもあり。

そしてこの第二部も、ラストはクリフハンガー。どうなるんだろう、どうなるんだろうと思っていたところに、えー、そのラストなのー!?と衝撃を受けつつ、でも俄然つづきが気になっちゃうのがこのシリーズであり。いやー、これホントどうなっちゃうんでしょ? 第一部の時点ですでに懸案の対象とされていたことではありましたけど。ハリーおよびジャイルズが戦場で名声をあげたからこそ、それが世間的にもクローズアップされることになってしまった形であり、何が幸運・不運の基になるかはわからないものとうならされる話運びではあります。この辺の安心させてくれない感じはさすがというか。しかも、当人同士では希望は一致しているにもかかわらず、すでに事態は彼らの手を離れてしまっているのがなんとももどかしい。

しかし本当にどうなってしまうのか? つづきが気になりすぎるので、早く第三部も読みたいですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 23:01| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする