
ハイランドの復讐 (マグノリアロマンス)
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復讐劇だー!
スコットランド北西部の高地地帯ハイランド。いまだ王の支配下に組み込まれず、いくつもの氏族たちによって抗争が繰り広げられるその地。
少年のころ、配下であった氏族の裏切りによって領土を奪われ、族長であった父も母も殺され、追っ手から逃れてあらゆる氏族の人々と離ればなれになり、生き残った戦士の一人とふたりきりで生きることを余儀なくされて育った男ニール。それから十年以上が経過し、名実ともに歴戦の戦士となった彼が、復讐の計画を胸に秘め、かつての居城に住まう仇の前に現れる。
もうこれだけでワクワクしますよね。生まれ持った権利の奪還、血のあがない。奪われたときの記憶が強烈に刻みつけられていればいるほどに陰惨さを増すであろう断罪の場面。復讐劇の華ですよね。この話でも、ニールついに仇の目の前で名乗りをあげた場面での高揚感はたまらないものがありました。自分こそがこの城の真の主なのだと、おまえたちの過ちに対してついに審判のときが訪れたのだと、ニールひとりだけによってでなく、部族の生き残りたちが結集して高らかに復讐のときいたれりと宣言がなされる。しびれるような演出でしたね。
とはいえ、この話のヒロインは仇の娘であって、作品ジャンル的にはロマンス小説であることもあって、復讐劇としてのクライマックスはそこまでというか、この話自体のいちばんの終着点は、そこにいたるまでにも紆余曲折あった、主役ふたりの関係性の落ち着き先にあったのですけど。
しかし、終盤のどうにもおさまりの悪い結末を読んでると、これ続きがあるんじゃないかと思えてくるし、調べてみると実際、本国ではそれぞれふたりの弟が主役になった話と合わせて三部作になってるようで。いまのところ邦訳はされてないようですけど、予定はあったりしないのかなと気になるところでもあり。