2017年05月18日

おとぎの森の幼女姫

おとぎの森の幼女姫 (ホワイトブックス) -
おとぎの森の幼女姫 (ホワイトブックス) -

これはよかった。タイトルにもあるおとぎの国の話のようで、それでいてライトノベルのテイストもあって。むかしむかしあるところに国を奪われた小さなお姫さまがいて、彼女にはひとりの騎士だけが残されて、けれどそこで一頭のドラゴンに出会って……。そんな感じで展開していく話なんですけど、どこまでも姫のためにと活躍する騎士とドラゴンの組み合わせがよくって。

けれどなによりこの話を楽しませてくれたのは、文章のリズム感。すべてがすべてではないんですが、気づけばテンポよくつづられる節回しに乗るようにしてさくさくと読み進ませてくれること。暗い場面、熱い場面、楽しい場面、その他諸々の場面を描きだす歌うような語り口に、詩人や語り部の物語に耳を傾けるようなひとときを楽しませてもらいました。

話の筋としても、本来は敵対しあう者同士という騎士とドラゴンの間に、姫のためにという理由のみで休戦協定が結ばれて、それが最後には姫のためにと命を預けられる心からの信頼関係になり、姫のためにと戦い抜く姿を見せてくれる、とてもいいお話で。お姫さまがタイトルにもあるように小さな姫で、騎士とドラゴンはまあまあおっさんという感じの年長者なこともあって、子供を守りその幸せのために戦う保護者という感じの雰囲気もいいもので。めでたしめでたしという言葉こそ使われていませんが、そんな言葉も似合うラストまで含めて、とてもいい話でした。

出版社が正直なところ初めて名前を聞いた会社ということもあって、あまり広くは知られていないのではないかという気もしているところ。もっと評価されるべき一冊だと思います。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする