2017年05月02日

蒲公英王朝記(1)諸王の誉れ

蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) -
蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一: 諸王の誉れ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) -

「楚漢戦争を題材に」というよりも、ケン・リュウ版項羽と劉邦という感じ。劉邦にあたるクニ・ガルの懐の深い好漢ぶりが爽やか。貴族の生まれでないために教養には乏しいけれど、その出自ゆえの気取らない態度と過酷な法の世に見せる思いやりで幾多の人々の心をつかむ人望の人ぶりがいかんなく発揮されるエピソードの数々が面白い。自分が人より優れてるなんて思っていないから間違いを指摘されれば改める素直さもあり、これは下々から推戴される君主の器。それに加えて、無視されがちな女性たちへの配慮も持ち合わされてるのが今風と感じさせるところでもあり。ガル大人と接することになれば、呂氏にあたるジアとのやりとりはとてもいい雰囲気でしたし(邦題のもとにしただろう場面なんて特に)、項羽にあたるマタとの意気投合ぶりも気持ちのいいもので、あれもこれもとワクワクとさせてくれるできごとばかり。本当に、のちの展開を楽しみにさせてくれる人ではあります。ただその一方で、下敷きにしている物語世界が広大なこともあってか、結構なスロースターターと感じられるところもあり。キャラクターに躍動感が出てきたと思ったときにはすでに200ページくらい経過してた記憶。荊軻(ではなくて張良と考えるのが自然か)による始皇帝暗殺未遂から始まって、陳勝・呉広の乱から各地で蜂起がつづくもまだ秦軍が優勢でありと、話の進行度的にも次の巻でどこまで話が進むのかわかりませんが、古今名のある作家が挑んできた題材ではあるので、それらにどこまで追随してくれるのか、楽しみにしたいです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする