2018年07月14日

「好きなライトノベルを投票しよう!! 2018年上期」投票用

去年の下半期はパスしたので1年ぶりの参加。とはいえ今回も、読了本中に対象期間内作品でかつこれはというものがなかなか見つからず、直前まで不参加のつもりでいましたが、ぎりぎりのタイミングでいい作品が見つかりましたので、やっつけながら投票することに。

ラノベ人気投票『好きラノ』 - 2018年上期
https://lightnovel.jp/best/2018_01-06/

投票作品は以下の2つ。

『秘密の姫君はじゃじゃ馬につき』  感想(まだ)
秘密の姫君はじゃじゃ馬につき (ビーズログ文庫)
ここのところ買ってる小説の3分の2以上が女性向けになってる気がしますが、ともあれそんな少女向けより。
イラストレーターの名前にまず目をひかれる作品ですが、読んでみるとキャラクターの魅力にひきこまれる一冊。跳ねっ返りながらも国を守る騎士たらんとする意志は本物で、信奉者レベルで姉王女思いの主人公オフィーリア。第一印象は悪いながらもオフィーリアとのかけあいはおもしろく、なによりいやみなく部下の騎士たちの責を一身に負う背中が頼もしい上官のアレクシオ。美貌に才知に毒のある言動に、次期女王としての理想の体現者であり、かまいたがりな妹思いの姉王女セラフィーネ。もっともっといろんな姿を見せてほしいと思わされるキャラクターたちの世界がおもしろい。
【18上期ラノベ投票/9784047350854】

(番外編)

『リラクゼーション癒香 〜魅惑のセラピストたちによる癒しのマッサージ&洗体、そして貴方にだけ特別なコトを〜』
リラクゼーション癒香 〜魅惑のセラピストたちによる癒しのマッサージ&洗体、そして貴方にだけ特別なコトを〜 (オトナ文庫 103)
エロ作品に関してはすこし前から別ブログに放り投げることにしてるんですが、自分定義のライトノベルでよかった作品として、これもはずせないなという気持ちがありまして。原作ありですし、ややイレギュラーな作品かとは思いますがともあれ。
新規開店したばかりのマッサージ店(エッチなサービスあり)に偶然第一号の客として入ることになり、そこからリピーターとしてすこしずつ特別対応をも受けていくことになる話。読んでいるだけでこちらまで気持ちよくなってきそうなマッサージの描写がここちよく、またじわじわと性感を高めた末に絶頂へと導かれるていねいな流れが満足感を覚えさせてくれる。リピートすればするほど快い時間を堪能できる、こっそりオススメの一冊。
【18上期ラノベ投票/9784801516038】
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:59| Comment(0) | 読書まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月11日

ボクラノキセキ(1)

ボクラノキセキ 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
ボクラノキセキ 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

すでに18巻まで出てる長編マンガですが、最新刊のあらすじを見てたらなんだかおもしろそうで、1巻のあらすじを見てもやっぱりおもしろそうなので、かなり後発ですが読みはじめ。

読んでみるとこれが期待以上におもしろいことおもしろいこと。主人公はどこかの世界で滅んだ国の王女の生まれ変わりで、現代日本で生活する少年・皆見晴澄。小学生の頃は前世の記憶について気にすることもなく周りに話していたりしたものの、当然のごとく馬鹿にされたりいじめられかかったりしたことから、それらの言動は若気の至りとして、現代日本に順応した生活を送ろうとする男子学生であったという。

初出は2008年ということで、今から10年前ですか。でもここのところの異世界転生の流行り(いまは次に移行しつつあるという話も目にしますが)を見てると、なんだかそれをひっくり返したような設定で、とても新鮮に感じられるところがあるというか。しかも、生まれ変わりは主人公だけじゃなくて、実は主人公の高校のクラスメートに何人もいるらしいことがわかってきたりと、集団転移ものを思い起こさせる設定でもあるんですよね。

けれど舞台は現代日本だから、いわゆる中世ヨーロッパ的な元の世界であったような戦争は遠いかなたのもので、それにもかかわらず異世界の言語や文化、そしてなにより魔法の知識ははっきりと記憶に残されており、思い出しさえすれば魔法の力を行使することもできる。初め、前世の記憶をはっきり覚えているのは主人公だけだったものの、その影響をうけて自身の記憶に目覚めるクラスメイトたちが現れだす。けれど、彼らが必ずしも前世の王女ベロニカの味方だったとはかぎらず、人を傷つけ、殺める魔法の力が現代日本の高校にもたらされることになる、というのが1巻の流れ。

こう書くと、めちゃくちゃ現代異能的な話でもありますよね。現代日本への集団的な転生ものにして、現代異能アクションとなると……めちゃくちゃ新鮮で、めちゃくちゃワクワクさせられるじゃないですか!

1巻時点ではまだ、判明してる前世の記憶持ちは王女ベロニカの味方側の人たちだけで、アクションも偶発的なものだけでしかないけれど、魔法の存在しないはずの現代日本で適応していこうとしていた矢先に起こった以前の世界の縁や知識の流入が、彼の学園生活にどんな影響をもたらしていくのか、ものすごく楽しみにさせられますよね。

そして、告白して付き合いだしたその日のうちに、かつての主従だと判明してしまって関係がぎくしゃくしだしてしまった主人公カップルの行方はいかにというのも、とても気になりますね?
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 13:21| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サマータイムレンダ(1)漂着

サマータイムレンダ 1 (ジャンプコミックス)
サマータイムレンダ 1 (ジャンプコミックス)

Web連載ページ(少年ジャンプ+)

タ、タイムループものだーー!?

幼馴染の女の子が亡くなって、その葬儀のために故郷に帰ってきた主人公の話ということで、ビターな感じの青春物語が展開されていくんだろうか思いきや、そうきたか……という。いやだって、田舎の夏、埋めようのない喪失感へのとまどい、再会した家族や友人たちとの悲しみの共有……ときて、これもう完全にノスタルジックなストーリーの予感をほうふつとさせる出だしじゃないですか。そういうの期待しちゃう設定じゃないですか。

けど、1話目読んでるうちにすこしずつ違和感を覚えてくるんですよね。いろんな登場人物が出てくるうちに、だんだん幼馴染の死にはなにか裏があったんじゃないかと思わせる要素がまぎれこみだす。ミステリー的な展開になるんだろうかという気もしてくるんだけど、それだけならまだ現実的な非日常の様子として、青春物語への期待はそれほど動揺するものではなかったんですよ。でも、1話目も後半になると、さすがにもうその思い込みではごまかしきれないくらいにおかしな雰囲気が加速してくる。描写もどんどんサスペンス的になってきて、緊迫感が増してくる。非日常がさらに非現実に移行していることだけがわかって、けれどそれ以上には状況を飲みこみきれないまま、どういうことなのどういうことなのと盛大に疑問符を抱えているうちに、物語は一度目の結末を迎える。そうして2話目を読みはじめてやっと理解が追いついてきて出てくる感想が冒頭のひと言なのでありました。

タイプループものはなあ……たてつづけにいくつも読むと慣れが出ちゃいそうなんでやや避けぎみなところはあるんですけど、読んでしまったからには、こんなん、つづきがめちゃくちゃ気になるに決まってるじゃないですか! しかも、そうしてひきこんでくるのは開始から70ページ程度のことであって。早い展開、鋭いインパクト。すごいですよね。

設定的には、出没するドッペルゲンガーとか、本物との入れ替わりとか、都市伝説的というか、田舎の怪談じみた雰囲気でありつつも、スマートフォンが結構重要アイテムになりそうなのはわりと現代的であり。けど、主人公が目にする「影」はどいつもこいつも殺意の高さが半端なくて、ターゲット認定されたら逃げるまもなく追いつめられてしまうものだから、対面することがイコールで死につながるとまでいえそうなやつらで。そんな相手と対決する恐怖感はいかにもサスペンスフルな流れでありまして。さっきまで仲よく話してたあの人とか、頼りになりそうなその人とかも、あやしく見えだしたらそれだけで警戒心を極限まで高められずにはいられない設定がとてもいい感じ出してます。(カバー下の絵日記とか、もう猟奇もののホラーっぽい雰囲気まで出してますよね……)

すでに2巻も発売されてるということで、順番無視してそっちもすぐに読んでしまいたい気持ちにもなってしまうぐらい。めちゃくちゃ気になりますね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 12:06| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月09日

愛と指輪の重さ

愛と指輪の重さ (ハーレクイン・セレクト)
愛と指輪の重さ (ハーレクイン・セレクト)

表面的に反発する理性と、それでもなぜか惹かれてしまう心という、これまたとてもにやにやしい関係でありながら、この作品の場合は、惹かれる部分がより本能的な部分に根ざしているというか。あからさまにいってしまえば、気に入らない相手なんだけど、体は欲情を覚えてしまうという、これだけで言いきってしまういろいろ見落としてしまうものもあるんですけど、ともあれ、あれこれと理由をつけては警戒心をみなぎらせようとする理性と、それらを飛び越えてどきどきさせられる感情という、悩ましい葛藤にさらされるヒロインによるロマンス小説。文字媒体だと理性が主体になりやすく、理屈を超えた感情はなかなか伝わりにくいものかと思っていたのですが、相手の体を意識すればするほどあれこれとした理屈は簡単に崩れ去って、本能的な心理に流されてしまうことによろこびさえ覚えてしまうヒロインのある種支離滅裂な思考の描写が、理性を凌駕するほどに強烈で抗いがたい本能的な好意の表現としておもしろくあり。流されている間は幸せで、これ以上ないというほどに満たされた想いになれるのに、けれど思考が冷静さを取り戻してくるとやっぱり不安が募って一緒にはいられないという考えが湧き上がってくるのも、理屈をねじ伏せてしまう関係だからこそという感じもして。それでも最後は、殻に閉じこもろうとするヒロインの心を強引にでもこじあけて愛をうけいれさせてくれるヒーローの力強さに、幸せな気分で読み終えることができる。いい話でした。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 18:23| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月29日

2018年5月の読書まとめ

5月は9冊。やはりひと桁冊数だとどうにもものたりなさがある。ただ、なんでこんなに読了数が伸び悩んでるんだろうかと当時のログを見返してみると、あんまりおもしろく思えない本を読んでるときはペースがにぶりがちなのかなというか。でもそうはいっても読む前からおもしろいかどうかなんて判断つくわけないからいかんともしがたく……。

ともあれ、5月もほどほどに読んで適宜感想を書いてという感じでしたが、あらためてふりかえってみるとやや停滞ぎみではあったような。定期的におもしろい作品を摂取しないとなぜか調子がおちてくるところがあるような気がしているのですけど、だんだんそんな流れにはまっていってしまった月だったでしょうか。でもそうはいっても(ry

5月読了分からのお気に入りは以下。

[☆☆☆☆]禁じられた恋を公爵と  感想
禁じられた恋を公爵と (マグノリアロマンス)
海外ロマンス小説より。表面的には反発しあっていながらもお互いのことが気になってしかたがない。そんなベタな展開を真正面から描いてくれる話。こういうのでいいんだよ? いえいえ、こういうのがいいんです。

以上で、今月はいくつかおもしろい本を読めてわりと復調できているような気がするので、もうすこし感想の更新もしていきたいところ。ただ、おもしろいと思った本はわりと小説以外が多いので、どうなるか……。

5月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:3479
ナイス数:4

王たちの道 1 白き暗殺者 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)王たちの道 1 白き暗殺者 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
読了日:05月02日 著者:ブランドン・サンダースン
鬼の棲む国 (B-PRINCE文庫)鬼の棲む国 (B-PRINCE文庫)
読了日:05月04日 著者:桜部 さく
86―エイティシックス― (電撃文庫)86―エイティシックス― (電撃文庫)
読了日:05月06日 著者:安里 アサト
行き先は特異点 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)行き先は特異点 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)
読了日:05月14日 著者:
自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ? (MF文庫J)自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ? (MF文庫J)
読了日:05月17日 著者:三河 ごーすと
齢5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪竜認定 ~やだこの生贄、人の話を聞いてくれない~ (角川スニーカー文庫)齢5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪竜認定 ~やだこの生贄、人の話を聞いてくれない~ (角川スニーカー文庫)
読了日:05月19日 著者:榎本 快晴
革命前夜 (文春文庫)革命前夜 (文春文庫)
読了日:05月24日 著者:須賀 しのぶ
禁じられた恋を公爵と (マグノリアロマンス)禁じられた恋を公爵と (マグノリアロマンス)
読了日:05月27日 著者:エリザベス・キージャン,Elizabeth Keysian
叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士 (電撃文庫)叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士 (電撃文庫)
読了日:05月30日 著者:杉原 智則

読書メーター
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 18:43| Comment(0) | 読書まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月25日

禁じられた恋を公爵と

禁じられた恋を公爵と (マグノリアロマンス)
禁じられた恋を公爵と (マグノリアロマンス)

禁じられた恋を公爵と | オークラ出版

「愚鈍で、従順で、美艶な女」を夫人に望む公爵マーカスと、そんな彼に腹を立てながらも自身が後見人をつとめる女性の結婚相手としては家柄も財産も申し分ない人物であることから、何度も顔を合わせることになっていく若き未亡人クララの話。

これ、個人的にすごくよかったです。第一印象が悪かったせいで、マーカスがなにかしゃべるたびにあれこれととげのある言葉をはさまずにはいられないクララと、そんな彼女にうんざりさせられながらもエリーとの縁談を進めるためには顔を合わせざるをえず、そのたびに口論のようなやりとりになってしまい閉口するマーカス。いかにも犬猿の仲のようなふたりだけど、会うたびに言いあいのようになってしまうのはお互いのことが無視できないからであって。そして、言いあいのようなやりとりをしている時間は、腹立たしいものでありながらどこか退屈しないものがあって。そんな、表面上は相性の悪いふたりのようでありながら、実のところ平静さを欠いてしまうほどに気になって気になってしかたない者同士なのであったという、このいかにもにやにやさせてくれる関係性がとても好みだったのでして。

しかも、マーカスは早いうちにもしかしたらと自分の気持ちに気づくのだけど、クララのほうは自分の感情がわからず、マーカスの前だとすぐに冷静さを失ってしまう自分にとまどって、ますます揺さぶられていく心にふりまわされていく様子が伝わってくるのが、はたからみている読者としてはまた実ににやにやとさせてくれることで。知らぬは当人ばかりなり。ベタといえばベタなんだけど、それをこれでもかと見せつけられるのはとてもいいものがあって。

ふたりの気持ちとしてはそんな感じではっきりしているのだけど、お話としては、ふたりがそのままくっついてしまってはやや角が立つ。なんせふたりが顔を合わせる名目はマーカスとクララではなく、彼女の被後見人との縁談話を進めるためなので。いくら公爵が自分の気持ちに気がついても、結婚相手としてふさわしいのはエリーのほうであって。クララのほうでも、また別の理由で痛いほどにそれがわかっているものだから、一歩身を引いてしまう。後半になるとマーカス視点の章が減って、不安と動揺に駆られるクララの視点を中心に話が進んでいくうちに読んでいるこちらまでどうなってしまうんだろうかとハラハラさせられるようになった末での、いろいろ円く収まるラストは、ストーリーとしてもとても満足感のあるもので。いやあとてもいいハッピーエンドでした。

ニヤニヤできて、ハラハラさせられて、最後には幸せな気分で読み終えられる。すごくいいラブコメ(?)だと思います。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 14:26| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月20日

革命前夜

革命前夜 (文春文庫)
革命前夜 (文春文庫)

共産圏を中心に世界中の才能ある若者が集まる東ドイツの音楽大学に留学する夢が叶ったピアニストの主人公。ところがそこで待っていたのは、音楽家の技量としても覚悟としても主人公よりはるかに勝る俊英たちとの出会いで……。透き通るように澄んだ音、圧倒的な叙情感、主人公が望みつつも得られずに苦悩する音楽性をこれでもかと豊かに見せつけてくるライバルたちの演奏の様子。才能の違いを感じさせられながらも本のページ越しに肌にびりびりと響くような音の迫力ある描写が素晴らしかったですね。プロを目指す世界ならではの、上にはどこまでも上がいるのを痛感させられる感じ。けれど、劣等感にさいなまれているばかりでは留学してきた意味がなくなってしまうからと、負けてばかりではいられないと、天才たちに必死に食らいつくようにがむしゃらにピアノを弾く主人公の打ち込みぶりは、遠い東ドイツの地に留学まで果たしたピアニストの執念を感じさせる青春の一ページとして、さわやかな印象を抱かせてくれるものがありました。

ただ、後半になるにつれて、若きピアニストが主人公の音楽小説というよりも、東ドイツが舞台の政治情勢を描いた小説という感じになっていってしまって。それまで東ドイツという舞台性は背景程度に音楽小説として楽しんでいた自分としては、楽しむための身構えができないでいるうちに置いていかれた感じになってしまったところがあるというか。あとから帯を見ても、たぶんこの話の売りはベルリンの壁崩壊直前の東ドイツにおける政治的な機微のほうだったのかなと。あまり予断を入れないようにと手に取ってぱっとすぐに読みだした感じでしたが、ややもったいないことをしたかなという気もしたり。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:04| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月18日

透明な薄い水色に

透明な薄い水色に (百合姫コミックス)
透明な薄い水色に (百合姫コミックス)

やった、百合だー!

……いや、百合姫コミックなのになにを言ってるのという感じなんだけど、話的にはふつうに男の子も出てくるタイプのものなんですよね。さらにいうと、ふつうに男の子と付き合ってたり、男の子との関係が深まっていったりと、一見すると女の子同士のカップルが成立するみこみなんてなさそうで、それほど百合ものを読みなれてるわけではない自分としては、これは百合なのどうなのとある意味はらはらしながら読み進めざるをえない流れだったわけで。だからこそ、終盤の百合エンドな展開に喜びの声をあげてしまうものがあるのでして。なかなか意外な展開でしたが、こういうのもいいものですね……。

とかなんとかいう書き出しではじめてみましたが、この本に収録されている話は大きくわけて二つ。

ひとつめは、幼なじみの女の子に好意を抱く女の子が、けれど相手は別の幼なじみの男の子と恋人関係になってしまったために、言い出せず抑えきることもできない恋心を苦しく思う感じの話。

ふたつめは、アルバイト先の先輩の女の子に好意を抱く女の子が、けれどその先輩に想いは告げられず、それを知られてしまった後輩で満たされない心の隙間を埋めようとする話。

ストレートに女の子同士が好き合ってくっついて……という話ではない以上、紆余曲折あったりするんですけど、だからこそ女の子の泣き顔がとてもいいんですよね。言い出せない想いに悩んで、報われない想いに苦しんで。そんな抑えられない感情が涙となってあふれ出た瞬間を描いた表情。前段としてのもどかしい想いをしっかり描いてくれているから、胸をしめつけられるほどの気持ちがこれでもかと伝わってくるものがあって。特に、律からの否応もない「告白」を受けた一花と、失意の感情を傷のなめあい的な関係になってしまった中条にぶつける茜と。悲しさを激情でむりやり上書きするかのように怒りに染めあげられた表情が息を呑むほどに綺麗で、射すくめられるほどにまっすぐな心情として伝わってくることといったら。百合作品の登場人物に望む表情といえば、第一には作者もあとがきで書いているような「恋人に向けた笑顔」のはずなんですけど、この本の場合はもっと泣いてる顔を見せてほしいなんて、なんだかひどい人のようなことも思ってしまったり。それくらい、表情豊かでイキイキとした泣き顔を描いてくれてるんですよね。そして、だからこそハッピーエンドの感慨もひとしおだったり。

言い出せない想いをゆがんだ形で表現する不器用さがあったり、けれどその気持ちがあふれ出すとはっとさせられるぐらいにまっすぐだったり。こういうの大好物ですということで。とてもいい一冊でした。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:57| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月25日

2018年1〜4月の読書まとめ

1月は11冊。2月は9冊。3月が11冊で、4月が4冊。

久しぶりの読書まとめです。ちょっと感想がたまりすぎてたんで、一冊分の感想を書くより時間のかかるまとめを書くのは、読書メーターの貼り付けができる時期に書ける場合にかぎると条件をつけてみたところ、ある程度のところまで追いつくのに4か月もかかってしまったという次第。その間の読書量が伸び悩んでいるのはどうにかせんといかんところですが、去年の暮れぐらいから、小説を読むペースをやや落としてマンガやその他の本を読む時間を増やすようにした記憶があるので、たぶんその影響だと思われます。ほかの変化としましては、小説を読む順番を買った順からダイスふって決める形式に変えましたというどうでもいい情報もあったり。あと、4月だけなんだか読了数がやけに鈍ってますが、750ページもある角川の某選書を読むのに半月くらいかかった影響かと。あれはあれで面白かったんですけどね。

それと、3月下旬くらいからですが、それまで小説の読了分としてカウントしてた本の一部をカウント除外することにしました。ジャンルの区分としてはエロです。男性向けの。以前はたまに読んではまれに感想をあげてたりもしましたが、今後はおそらく、こちらに感想をあげることはなくなるかと。この辺はひとえに感覚の変化というか、女性向けの作品の感想もあげてる場所で、あからさまなエロ感想はあまりふさわしくないなと思えるようになってきたところがありまして。それまでも、個人的な脳内基準でアウトにならない文章にするべく、適宜修正を施したうえでアップしてはいたんですが、今年になってから、とうとう修正しきれない感想ができあがってしまいまして。それならそれでひっそりと供養するのもひとつの手ではあったんですが、困ったことにその本はあまりにも他人に勧めたくなるようなすごい一冊だったもので(エロだけど)。悩んだ末に、別ブログを作ってそちらにあげることにしました(探さないでください)。で、そちらはそちらでその本の感想だけあげるのもなんなので、男性向けのエロ作品の感想は今後全部、そちらにあげることにしようと考えた次第。そちらもいちおうそれなりの頻度で更新できたらと考えた結果、エロ作品の読書ペースが大幅に上がってたりして、こんなはずでは……という気にもなってるんですけど。


そんなこんなで、1月から4月に読んだ中からのお気に入りの本はこちら。

[☆☆☆☆☆]アリスマ王の愛した魔物  感想
アリスマ王の愛した魔物 (ハヤカワ文庫JA)
国内SFより。どこまで真実かわからない、けれどそんな与太者めいた語り口が真に迫って聞こえてくる、人を人とも思わぬ王の覇道の昔語りがすさまじい表題作を含む、傑作短編集。一つひとつの作品はどれをとっても満足度が高く、とてもいい読後感の一冊。

[☆☆☆☆☆]めがはーと  感想
めがはーと (ビッグコミックススペシャル)
マンガより。今年になってから読んだ中で最高の百合マンガはこれ。いえまあ百合なのはラストの一話だけなんですけど。それはともかく、ひとめ惚れした主人公の視点から見る憧れの人はとてもとてもかわいい。そして、呪いとして残された絆が唯一の縁となる。この関係性が素晴らしい。そのほかにもかわいいキャラが出てくる短編がいくつもある、とてもいい一冊。

[☆☆☆☆]弱キャラ友崎くん(1)  感想
弱キャラ友崎くん Lv.1 (ガガガ文庫)
ライトノベルより。経験値を積みながらより高いハードルを目指していく、ゲーマーによるゲーマーのための学生生活攻略ストーリー。やればできると思わせてくれる描写がうまく、そしてそのメソッドのたどり着く先、師匠であるところのヒロインがとてもかっこいい。この後の展開を期待させてくれるシリーズ第1巻。

[☆☆☆☆]エルフ皇帝の後継者(上)(下)  感想
エルフ皇帝の後継者〈上〉 (創元推理文庫) エルフ皇帝の後継者〈下〉 (創元推理文庫)
海外ファンタジーより。不遇な育ちのせいで自己評価が低い皇子が、心の底から頼れる友人なんて一人もいない宮廷で、降って湧いたような新皇帝の座につくことになる話。皇帝としてのふるまいなんて学んでないからうまくいかなくて、おちこんで、なんとかうまくいきそうになることもあって、かと思いきやてんでダメで、おちこんで、なんとかもち直して、またおちこんで、そうしていながらもまじめな取り組みが徐々に経験となって身についていく、未来への確かな予感を感じさせる。とてもいい感じの読み味と明るい読後感を抱かせてくれる作品。

[☆☆☆☆]魔導の矜持  感想
魔導の矜持 (創元推理文庫)
国内ファンタジーより。まわりの誰にも理解されず、有用性も見いだせない感覚をもって生まれてしまうこと。どれだけ異質だ無価値だと言われようと、その人にとってはまぎれもない「普通」の感覚を、大事にしていっていいんだと思わせてくれること。シリーズ第三作も、弱い者によりそう暖かな物語が胸を打つ一冊でした。

[☆☆☆☆]動物になって生きてみた  感想
動物になって生きてみた
非小説より。人間の感覚に置き換えることなく、動物そのものの持つ視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚を通して感じとれる世界の視点を再現しようと試みるネイチャーライティングの本。人間のものとは異なる、けれどなんとなく理解できなくもない世界の情景が浮かび上がってくるのが面白い一冊。


以上。今月もペースがあんまり伸びてないんでもうすこし頑張りたいんですが、どうなるか。ともあれそんなところで。

読書メーター貼り付けは4月分のみ。

4月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:1355
ナイス数:3

狼と香辛料〈9〉対立の町(下) (電撃文庫)狼と香辛料〈9〉対立の町(下) (電撃文庫)
読了日:04月02日 著者:支倉 凍砂
榮国物語 春華とりかえ抄 (富士見L文庫)榮国物語 春華とりかえ抄 (富士見L文庫)
読了日:04月04日 著者:一石月下
弱キャラ友崎くん Lv.1 (ガガガ文庫)弱キャラ友崎くん Lv.1 (ガガガ文庫)
読了日:04月06日 著者:屋久 ユウキ
(P[む]1-16)はるかな空の東 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[む]1-16)はるかな空の東 (ポプラ文庫ピュアフル)
読了日:04月25日 著者:村山 早紀

読書メーター
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悪舌のモルフォ(1)

悪舌のモルフォ(1) (シリウスKC)
悪舌のモルフォ(1) (シリウスKC)

『悪舌のモルフォ(1)』(青辺 マヒト)|講談社コミックプラス

美少年の下僕になってひたすら罵倒されながら興の向くままにあれこれつきあわされる話。いいよね。美少年。かわいくて。何言われても許せちゃう感じ。それを理解したうえで上から目線で罵倒してくる感じ。けど、そんな美少年になんだかんだ振り回されつつも離れられない元美少年作家の主人公もいいもので。書けなくなった作家の末路で自己評価が落ちこむところまで落ちこみきってるものだから、ストレートな美少年ご主人様のなにげないひと言に救われてる表情がとてもグッドだったり。ええ、ええ。つまり、自己評価の低いうじうじ系主人公と、そんな彼を戯れであれこれ振り回してくれる美少年ご主人様はいいものですということで。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:56| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする